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2019年2月 5日 (火)

【宮寒梅と木曽路】お年取り酒で知る、日本酒は美味しく楽しむ事こそが全て、正義だ。

 
 
良い酒に僕らは出会うことが出来ているな、と誇らしい。
 
良い酒とは、美味しいと思うお酒。
 
良い酒とは、楽しいと思うお酒。
 
2018年の大晦日のお話。
 
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えー、
誘惑箇所の多い中でございます。
いっぱいのお運び様で、誠にありがとう存じます。
気楽なところが、よろしいんじゃないか…てンですが、
一生懸命、書いて行く事としてございます。
どうぞ最後まで、ごゆっくりとお付き合いの程を願っておきますが…。
 
 
えー、聞けば信州の特色だってンですねぇー…
何がって申しますと、
年末、年の暮れ、押し迫った大晦日、おおつごもり。
「お年取り」の…ならわし、とでも習慣とでも…
ええ、申し上げれば良いのかしら。
 
おせち料理は大晦日のうちに食べ始めますしね。
その上に、年越し蕎麦をしっかりと入れて、
腹いっぱいに苦しんで年を越す…なんてなぁ、
信州のどこの家庭でも繰り広げられている、
年末のバトルロワイヤルだと思っておりましたが、
そう、世間様ではおせち料理は年が明けてからだ…とか、伺いますよ。
ええ、どちらに重きを置くか…
そう言う事なのかも知れませんですね~。
とどのつまりは、信州人は大晦日の晩ご飯こそが、
1年のうち、いちばんのご馳走になると言う訳ですな。
明けてしまえば、いつもの粗食に戻ると言う…
それか、おせち料理の残りを平らげる。
 
だからこそ…
ええ、ここからが本題なのですが、
だからこそ、お年取りの際に供する日本酒は、
特別なものを選びたくなって参ります。
 
今年は直前のお取り寄せで、
東京・革命君から、宮城・宮寒梅を用意しておりました。
用意があったものの…、
ある蔵元さんのFacebookに書かれた情報に惹かれます。
 
信州木祖村薮原、湯川酒造店の「木曽路・純米吟醸しぼりたて」です。
地元のローカルスーパー「デリシア」限定のお酒。
(Facebook:12月20日の投稿を是非ともご覧ください)
 
4合瓶で1200円と言う価格。
ごくお安い設定です。
「宮寒梅」もスペック、大吟醸級としては、
破格にお安い部類に入る…とは言え、
それでも「木曽路」の、2倍以上のお値段でした。
 
しかし、「木曽路」を醸す湯川酒造店のページを拝見する限り、
お値打ち価格だからって、何か手を抜いている訳ではなく、
むしろ、価格を抑えたからこそ、手に取ってもらいやすい…
すなわち、日常に日本酒を飲まない方も手に取り易くなり、
買って行ってもらう…
 
…それはとても大切なことです。
 
安いから美味しくなくても仕方がないのではありません。
安くて美味しいことは正しいんです。
これまで日本酒をあまり飲んで来なかった方が、
「ああ、日本酒って実は美味しかったんだ」と思って頂けるならば、
そりゃもうシメコのウサギってヤツです。
 
そう、高いお酒を飲んで「高いから美味しくて当然」と考える方も、
残念ながらいらっしゃるのだと思うんです。
高くても、お口に合わないものもございましょう!
高いお酒には高いお酒の味わい、雰囲気があり、
それが必ず、個々万人に美味しいとも限らないんです。
 
極論を言えば、嗜好品らしい結論に帰結するのです。
 
安かろうと高かろうと、飲み手の好みでしかないのだと。
 
それは「美味しいと思った者勝ち」でありますし、
金額が、酵母が、希少価値が…と、
お酒の味で楽しんでいない御仁はいつまでも引っ掛かりがあり、
「美味しいと思わない者のひとり負け」である…と言うことですな。
 
日本酒は嗜好品だから、値段とか希少価値ではない。
美味しければ正義。
美味しいことこそが正義。
 
美味しく楽しむ事こそが正しい。
高いお酒には高いお酒の良さがある。値段で木曽路を笑わせない。
だって、木曽路はすっごく美味しかった。
宮寒梅が高いから美味しいと思わせなかった。
宮寒梅も、いつものラインナップから一層の洗練さがあって素晴らしかった。
木曽路の美味しさはYOKOさんが、ニコニコとして飲んでいるから、間違いないよ。
 
どちらも「美味しい日本酒を食卓に届ける」ことに、
とても熱心に仕事をされている蔵元さんだと、熱く熱く美味しさが伝えて来る訳です。
 
今回は、いつものテイスティングメモと共に、
お年取り酒にまつわる僕らの酒呑みのお楽しみの中からの発見を、
一席、お伝え致したく…
 
…言いたい事は、既にお伝えしてしまった感がありますが、
どうぞ、最後までお付き合い下さいませ。
 
 
 
 
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宮城・宮寒梅・純米大吟醸“至粋”EXTRA CLASS
(東京・革命君さんより、お取り寄せ)
 
まずは香から…
 
スイートさとフレッシュな明るさがハッと閃く煌く、
とろみ、甘み、クリーン、爽快なイメージ。
甘さ、麹の香がキュンと入るけれど、
そこにツンとする様な、アルコールっぽいとも言える、
酸や刺激っぽさはなく、よく練れている印象。
 
飲んでみて、
 
そっと入って来たのち、
口中で、ふくらんでなお綺麗。とても美しい。
白い花がふわっ、ふわっ、ふわっ…と咲く様な印象。
香が広がる。すごく、何度も咲く。
 
締まりもある飲み口。膨らみ、綺麗な引きの中で、
米っぽさ、旨味がふっと戻って来る瞬間がたまらない。艶を感じる。
 
これはなるほど、ハイクラスのお酒だなぁ…と思う。
宮寒梅と言うと、45%のものをよく頂く機会があるのだけれど、
それらもとても美味しい。
美味しいけれど、1杯で説得力を持たせた様な…そんなお酒に感じます。
他の宮寒梅だと、何杯か、美味しく重ねそうな印象。
「至粋」は、ささやかな幸せ、美しさを湛えている。
遠くに、ミントみたいな…グリーンハーブみたいな…
香の強い酵母の香り高さとは違って、
こう…揺りかごを動かす様に、
時に、可憐な香味が蘇って、心を引き寄せる…。
 
YOKOさんに聞くと、「うーん、まろやかな感じ?」とのこと。
 
 
 
 
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信州木祖村・木曽路・純米吟醸しぼりたて(火入れ)
“アスパラマル契約栽培米美山錦”デリシア限定販売品
 
メモには…
 
えっ、あれ。シュワッと感あるかしら。これ。
うん、ある気がする。美味しい。
アルコールも立っている。感じる。
けれど、香と旨味、甘味が追い掛けて来て美味しい。
雑味も嫌味もない。酸が立ったタイプのお酒でもない。
しっかりした酒質…までは行かない。ハードタイプではない。
しぼりたての硬さも少ない。
甘味の弾け、動きが本当に良くて、
味覚の浅いところ、深いところ、どちらにも甘味が美味しく入って来る!
これで、1200円!?
余韻は、さっぱりしている。食事が進む。
用意したご飯が、みんな美味しくなる。
 
YOKOさんに聞くと、「うん、美味しい!」と即答。
 
…とのこと。
 
「宮寒梅」は先に書いた通りで、1杯に説得力。
「木曽路」は、信州の食卓に合う酒、ざっくばらんな日常の中に、
こうした年末の、のんびりとした夜に、晩酌に…
何杯もリピートしながら飲むお酒なんだと思う。
造りの目的が全く違う気がする。
でも、求めている所は両蔵ともに、端的に書いて「美味しさ」だから、
文章にして、ややこしくなっちゃうね。
 
どちらも素晴らしいお酒。
両極端の様で、共に美味しいのだから、
同じ方向を見ている、そう言えなくもない。
 
 
「こころに春をよぶお酒」、寒梅酒造の「宮寒梅」、
スタンダードなお酒と区別して、
「Extra Class」とし、
全量を自社栽培米を用いて、精米歩合35%以下としているそうです。
4種あるうちの1種が、今回の「至粋」です。
 
「こころ通う酒・日本で最も星に近い酒蔵」、
「木曽路」は「十六代九郎右衛門」も醸しています。
特に「木曽路」は信州内での流通が多いでしょうか。
「十六代九郎右衛門」は信州内外問わず、人気ですよね。首都圏でも。
信州木祖村薮原宿の湯川酒造店が醸しています。
( https://yukawabrewery.com/ )
 
今回は「アスパラマル株式会社」が生産した、
酒造好適米「美山錦」を全量で用いた…とのこと。
 
デリシアで販売されている姿にも現れていますが、
「火入れ酒」ですが「しぼりたて」です。
よく「しぼりたて生」は要冷蔵であって、
デリシア実店舗で販売されていた様に、
冷蔵設備内ではない、
いわゆる室温、お酒の陳列棚に並べられている…事が無い方が、
品質が保たれているだろうお酒です。
 
「しぼりたて」には、「しぼりたて」らしい、
ガス感があり、美味しさの一因ともなります。
「火入れ酒」にはガス感って基本的にはありません。
 
けれど、それを実現してしまった技術と企業努力がある…
それが、今日の僕らを感動させてくれた、と言う事なのです。
この点、湯川尚子社長が、Facebookにしっかり書いてくれたからこそ、
「なるほど、だから美味しいんだ!」と、
とても納得して味わうことが出来ているし、
蔵元さんの情報発信の有用性、有益性をヒシヒシと感じます。
 
「しぼりたてで火入れ、でもフレッシュ」には、
以下の様な工程を経ているのだそうです。
 
上槽(お酒を搾る=モロミを酒粕とお酒に分ける)
中取り(搾り始めから終わりまでの部分を選別する)
無ろ過で瓶詰め(濾過工程を経ず、瓶に詰めて行く)
パストライザーで瓶燗急冷
(瓶に入ったまま火入れ作業を行い、温度を上げた後、急ぎ冷やす)
 
・火入れ作業は、簡単に言えば低温殺菌…みたいな処理と思って下さい。
 生のままのお酒は酵母が動いています。生きています。
 この酵母の動きを失活させることが火入れ工程です。
 
ここまでの処理を、搾った当日に行って、
翌日には出荷すると言う…きっと荒事的…
しかし、フレッシュさを届けるには最高に理想的な…
凄まじい企業努力、熱意を感じるじゃありませんか!!
その後、流通経路によって直ぐ店頭…とまでは行きませんが、
ちょうど良くお酒も落ち着いて、
僕らの食卓に届いている、と言う事になります。
 
 
ちょっとだけ世の流れに暴言を吐きますが、
SNSを眺めていると、
「日本酒の価値を高めよう!」と言う事で、
1万円どころか10万円近いお酒が発売されています。
 
それって「高いから美味しいお酒」を助長している様にも感じるんです。
味も素晴らしいかも知れない。
でも、それ以上に「高ければ美味しくない筈はない」お酒、
飲まなくても「きっと美味しい」お酒…
でも、お酒の本質は飲んでこその美味しさじゃありませんか。
人それぞれに好みがあるはずなのに、
「高額、希少価値」と言うお酒の味とは本来関係がない価値観で、
千差万別の人の味覚を無効化させてしまう気がして…。
 
伝えるべきは「高いから美味しいはず」ではなくて、
「プレミアムだ」でなくて、
いかに、そのお酒を醸すために技術を、心を賭して来たのか…
…ではないでしょうか。
 
 
今回のこの2本の日本酒との出会いによって、
こうして文章を書くに至っております。
心が動かされる、愛おしいお酒たちであると感じています。
 
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当日は大晦日でありましたから、
しっかりと年越し蕎麦を設えました。
 
蕎麦は伸びない内に、お召し上がり頂きたい。
木曽路、宮寒梅…両蔵の日本酒は、もっともっと伸びて行き、
日本酒の美味しさを伝えて、広げて行ってくれる事でしょう。
 
…と言ったところで、本日はここまで。
お開きのお時間となって参りました。
本来であれば、何段でもお語り申し上げたい所ですが…
今日の晩酌が待っておりますので、このあたりで。
ご高覧のほど、誠にありがとうございました。
 
ありがとうございました。
 
ありがとうございました。
 

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