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2017年8月30日 (水)

廣戸川・厨十兵衛の昼の日本酒会(2017年8月27日・厨十兵衛)

 
 
 
 
 
その後…の時間に、
 
ふっと、ボトルを手に取って、いつも使っている利き猪口に注ぎ、
 
グッと太い腕を持ち上げ、口に含む。
 
口角が上がる、ニヤッと小さく笑って、2度、うんうんと頷いた。
 
 
 
 
 
えー、
誘惑箇所の多い中でございます。
お暑い最中、いっぱいのお運び様で、誠にありがとう存じます。
本日は、
気楽なところがよろしいんじゃないか…てンですが、
一生懸命、申し上げることにしてございますので、
どうぞ、最後までよろしくお付き合いのほどを、願っておきます。
 
えー、
発端…と申しますものはナ、
そう言えば6年前にもなるのだなぁ…と思う訳でございますし、
何よりも、ご縁が結びっぱなしであった事に、喜びを感じるのでございます。
“10年ひと昔”なんと世に申しますので、
6年ぽっちは、光陰は矢のごとしの様なものでして、
昨日今日と同じだなんとは申しませんが、
えー、そんなに時間が経ったのかなぁ…とは思いますな。
 
 
…東日本の大地震があり。
松本の銘酒居酒屋の旦那衆は、復興支援を為したいと考え、イベントを催しました。
「城下町ほろ酔い散歩」と題しまして、4回ほど。
 
 
城下町ほろ酔い散歩2011・福島編(2011年10月2日・信州松本)
 
第2回・城下町ほろ酔い散歩・福島編(2012年4月8日・松本)
 
第3回・城下町ほろ酔い散歩(2012年10月14日・信州松本)
 
第4回・城下町ほろ酔い散歩 (2013年4月7日・信州松本)
 
 
第1回、2回、4回が福島県とのご縁の賜物となっておりまして、
今回の松崎酒造店の杜氏さんもご登場されておりますね。
(第3回は宮城県をテーマに据えた回でした)
 
そうですねぇ、第1回をご覧になって頂きますと、
信州中野・丸世酒造店の関晋司さんも、これから蔵に入るところだったんですね。
着実に腕を磨き、今や製造責任者となっており、「五九醸」で、
ご案内の通りですけれど、ご活躍されている訳で、
今回の主役、松崎さんもまた、この年から造りを始めておられますから…
ええ、そう考えてみるってぇと、この6年は色んな事があったんですね。
 
 
さて、今回の噺、日本酒会と申しますものは、
福島県岩瀬郡天栄村、松崎酒造店さんが醸します「廣戸川」、
こちらの杜氏さんが松本においでになり、
松本市は緑町、日本酒居酒屋「厨十兵衛」さんにて催された、お楽しみ…となってございます。
 
 
Dscn7368
 
 
お天道様が天辺に上る正午より、
 
信州松本と天栄村を繋ぐ酒縁、
 
そして、酒宴の幕が上がる…なんてことになっておりまして…。
 
 
 
 
 
日曜日の昼に営業している日本酒居酒屋「厨十兵衛」…って、
こんな書き方で良いのかしら。
ともあれ、「厨十兵衛」、夏頃から日曜日の昼に営業して、
日曜日の夜は営業しない…なんて形態になっています。
 
昼と言っても、いわゆるランチタイムだけ…とは違っていて、
詳細は、是非問い合わせてみて欲しいのですけれど、
夕刻あたりまで営業している様でして。
 
前回の「信州亀齢・つきよしの」の日本酒会、
「而今と写楽の山田錦を飲もう」の会、
僕らは出掛けていないけれど、
「善哉・笹の誉」の会と、最近催された日本酒のイベントは、
日曜日の昼に設定されている事が多いのであります。
 
通常営業での話題に、
“何故、今回の会の開催になったのか…”
…なんて、十兵衛の大将殿に聞いてみると面白いかも知れません。
本当に、本当に…色んな方々が関わっていて、
今回の会に成っている…ひとえに全て、人と人との繋がり、ご縁の賜物でした。
 
実際に、会の終盤に須坂の「新崎酒店」の旦那や、
僕らが会を終えて、四柱神社にお参りに行こうと歩いていると、
伊勢町の「アガレヤ」の旦那が歩いてお見えになったりとか。
本当に、人の紡ぐ糸があり、輪になっていて、和が生まれている…と思います。
 
 
Dscn7363
 
 
会を始める前に、松崎酒造店・松崎祐行杜氏から挨拶がありました。
 
いちばん最初、2011年、これから蔵に入ると言う時期、
松本に来て、お酒の会があり、色んな方々と出会って、
そして、こうしてまた再び松本に来る事が出来る、
“帰って来られる”ことを、幸せに思います。
精一杯、去年に作ったお酒です。
定番、限定、季節品とあるので、是非、楽しんで行って下さい…と。
 
「帰って来る」と言う言葉は、実に嬉しく感じました。
冒頭に、当時のブログへのリンクを貼り付けましたが、
何だか、すごく懐かしくも感じ、また新鮮にも感じます。まだまだ熱い記憶。
あれからしばらく経っていても、
心通う日本酒が取り持つご縁の1日が、まだ今も続いているんだと、
改めて、思う事が出来ました。
 
 
 
 
さて。
 
会は、この後に乾杯へと移って、全8種類のラインナップで進んで行くのですが、
今回のブログを書く際に、
「あれ、何故に銘柄って“ひろとがわ”なんだろうね?」と思ってしまい、
調べたので…是非、お付き合いを…さぁさ、寄り道をして行って下さいませ。
 
 
銘酒「廣戸川」に使われている仕込水は、「釈迦堂川伏流水」としてあります。軟水。
 
釈迦堂川は、上流にある龍生ダムに関わる河川で、阿武隈川に合流します。
Google検索すると、隣接する須賀川市が大量にヒットしますね。
8月下旬の釈迦堂花火大会が有名だそうで、まさに今時分。
 
実際、松崎酒造店の蔵元をGoogle Mapで見てみると、
蔵の近くに1本の川が流れていて、まさしくこれが「釈迦堂川」なのですが、
地元の通称として、「廣戸川」と呼ばれているそうです。
これが酒銘の由来とのこと。
 
実際に龍生ダムには「広戸川ダム」と書かれた碑もあるそうで、
関東森林管理局の平成29年7月13日付けの資料には、
「釈迦堂川地区(広戸川)水源地域整備工事」ともあるし、地元に根付いた名前の様です。
 
蔵元がある福島県岩瀬郡天栄村は、
昭和30年に牧本、湯本、大里村分立、広戸村から合併した村なのですが、
蔵元がある「下松本」(!!)、
この地域は、どちらかと言うと旧牧本村になるので、
広戸村から広戸川ではないのだろうなー…なんて言う推測です。
山間の村ですから、生活の基盤にもなる川の存在は大きく、
広く、「廣戸川」の恩恵を受けたお酒…と言う事ではないでしょうか。
 
また、「岩瀬郡」も藩名で検索すると、
陸奥白川藩、越後高田藩、常陸土浦藩に掛かる地域の名称の様です。
これも、いわくがあり、
その後、Twitterで字を書くに思い切り誤字るのですが、
古くは「石背郡(いわせごおり)」と呼ばれた地域だそうです。
 
須賀川市には石背国造神社(いわせくにつこじんじゃ)があり、
“くにつくり”と言う神社の名付けは、近代より古い時代を想像させます。
岩瀬村は2005年の平成の大合併で長沼町と共に須賀川市に合併されいて、
神社は長沼の地域ですね。
 
「先代旧事本紀」(せんだいくじほんぎ)に、
建彌依米命(たけみよりめのみこと」を国造に定めた事が始まりとあるそうで、
この先代旧事本紀が800年代の成立とすれば、そのあたり…かな、と。
 
読みが同じなので、きっと本質的には「石背(いわせ)」の土地なのですが、
現代では読み辛いので、「岩瀬」に改めたのではないでしょうか。
 
歴史はやっぱり深くて…調べれば調べるほどに繋がって行くので、
今日はこの辺で。
 
天栄村は須賀川市だけでなく、
鏡石、会津若松、郡山、白河、下郷、西郷、矢吹と隣接しています。
 
須賀川市の「いわせ悠久の里」と言う温泉施設には行ってみたいなぁ。
ナトリウム塩化物温泉で福祉系の役割があるタイプの様です。
長野県内にも似た設備の施設、ちらほらとありますが、
お値段もお安めで使いやすい印象がありますね。
 
 
 
 
それでは本題に入って行きます。
 
今回の日本酒会、ラインナップはこちら。
リストは登場順となっております。
 
 
Dscn7377
 
 
1. 廣戸川・大吟醸・原酒1回火入れ
2. 廣戸川・純米大吟醸
3. 廣戸川・特別純米
4. 廣戸川・純米吟醸
5. 廣戸川・純米吟醸・生酒
6. 廣戸川・純米・秋あがり・27BY
7. 廣戸川・純米・秋あがり・28BY
8. 廣戸川“石背”・純米
 
 
以上、8種類。
こうして比べて飲む機会は初めてです。
 
 
 
Dscn7362
 
 
こちら厨十兵衛の“手始め”。
今日は、ダシが利いた玉子豆富にじゅんさいでした。
じゅんさいも、良い…ツルツルした部分がしっかりしていて、
茎はしっかりと食感があるもの。YOKOさんの大好物のひとつ。
 
 
 
 
【 1. 廣戸川・大吟醸・原酒1回火入れ 】
 
 
非売品。
市販されている大吟醸は、2回火入れ、加水のもの。
精米歩合は40%、アルコール度数は17度とのこと。
 
「廣戸川で、唯一香のあるタイプです」…とのこと。
 
上立香のタイプとしては白桃っぽいけれど、華やかな香があって、
酸と甘味のバランスの良さを感じる。
すごく美味しい。
トロッとした質感、喉越し、米味、味幅のしっかりした、味のある吟醸感。
温度が室温に近付いてきても変化が少なく、
フィニッシュはいつの間にか過ぎている感覚で、
前半の良い印象が、臓腑に落ちて行った後も続いている様な。
 
一杯で説得力があるお酒…と思います。
相反することだけれど、
「ひと口で十分な満足感」もあれば、
「次を求めたくなる美味しさがある」とも思います。
 
 
 
 
【 2. 廣戸川・純米大吟醸 】
 
 
毎年7月に限定品として発売されるもの。
精米歩合は45%とのこと。
 
ぽってりとした、長閑で和やかな雰囲気。
後半は“スマート”と言う言葉を使うより“スムース”が良いのかなぁ、と言った風情。
ウイスキーだったら、オイリーなんて表現に近いのかなぁ。
こう、こってりした雰囲気も感じます。
旨味が乗って来ている、そんな塩梅で。
 
 
 
 
秋になり、10月の始めから29BYの造りが始まるそうです。
だいたい4月末くらいまでの醸造期間。
 
3番以降の「廣戸川」に使われているお米は、
福島県産の酒造好適米「夢の香」とのことです。。
「ゆめのかおり」と読むのだそうですが、
今までずーっと「ゆめのか」と読んでいました。
 
(余談ですが、富山県の酒造好適米「富の香」も、かおり読み)
 
蔵に入った、戻った当初は普通酒の造りが全醸造量の9割だったそうですが、
現在の比率は、特定名称酒の方が多く醸す様になったそうです。
火入れ工程は蛇管にて。
 
全国新酒鑑評会での連続金賞の栄誉と共に、
後援に農林水産、経済産業、外務省及び内閣府も含まれている、
2012年から開催の「SAKE COMPETITION」においても優秀な成績を獲得しています。
前者は順位付けが為されないけれど、
後者は順位が表示され、名立たる銘醸が並んでいる中の、
2014年はFreeStyle部門での大吟醸の1位、
2016年は純米部門で2位、
2017年、今年は純米部門で9位と言う結果でした。
 
現状の造りの規模は700石。
長野県に住んでいると、
もう少し少ない蔵元さんもいらっしゃるので、
「中くらいの規模?」なんて思ったりしてしまうのですが、
おそらく世間一般では、それでも小規模な造りになるのだと思います。
 
 
 
 
【 3. 廣戸川・特別純米 】
 
 
蔵に戻って来て、まず仕込みを始めた…礎となる1本。
ネームシップの様な存在ですよね。「特別純米酒」は。
 
上立香はそっけない。綺麗でシンプルな香。
飲んでみると、
「うん!」と自然と頷く、バランスの良さ。
奥からの、含み香が強い…とメモをした所で――…
 
 
「酒造りにおいて、意識しているものの中に、
 上立(の香)で、うまい酒ではなくて、
 口に含んでこそ、香り立つ様なお酒であること」
 
 
…―――と言うものがある、と伺います。
なるほど、まさに仰る通りの味わい。
 
福島県は、本来は甘味が特徴的な日本酒が多い県。
長野県も同様に、甘味に重きが置かれた部分があって、
馬刺し文化だったり、お蕎麦の文化だったり、似た特徴の地域。
山の生活が主体で、保存食が多く供される…
福島県としては海がある県だけれど、天栄村は山間の地域になり、
基盤としては、味が強い保存食などに対しても美味しく合わせられる、
しっかりとした日本酒が好まれる地域だけれど、
山を越えた那須の地域もあるため、
意識して、甘味を抑えて醸している…とのことです。
辛口だけれど、甘味も感じる。
低アミノ酸、低酸度のお酒である様に…と言う醸造理念。
 
鑑評会等においては、試飲の際に飲み込まないものだからいけないけれど、
やっぱり、日常、飲む時は勿論飲み込む訳で、
喉越し、喉の通り、綺麗に入って来る様なお酒が良いなぁ…と感じているそうです。
「廣戸川」は派手さのあるお酒ではない、とのこと。
 
 
―――ふむ。
 
そうして、実際に醸造の長として携わっている松崎さんのお話を伺ってみると、
有言実行と言うことなんだと思うのですけれど、
理想、追い求めているものと、「廣戸川」のお酒から受ける印象に重なる部分が多く、
理論と実行が正しく拮抗さを持っているんだなぁ、と感じます。
 
それってすごく大切なことですよね。
「こう言うお酒を醸したい」と思い、
「こう言うお酒になっています」と言う事が出来る。
 
それなりに多くの蔵元さん…いや、杜氏さん、醸造に関わる蔵人さんに、
ご縁があって会うことが出来ている中で、
皆さん、常に考え続けている…なんて感じます。
「ここをもっとこうしたい」とか、
「もっとこうしたら良い、気に入ってもらえる仕上がりになるんじゃないか」…とか。
挑戦を楽しんでいる方々も多いかなぁ。
 
「北安大国」の山崎杜氏はアスリートさんだから、いつも挑戦している感じがして、
でも、抜群の安定感のある美味しさと、「居谷里」の様な意欲作も出していて、すごいなー…って思うし、
 
「岩清水」の小古井杜氏は、情報収集なども良いも悪いも揃えた中で、
プログラマーさんかと思うくらい、自分の理論を整理して形作っている気がする。
その上で、高みを目指して、常に改良手段を考えているイメージ。
その上昇志向はいつも尊敬して見ています。
 
 
「廣戸川」は、1200kg仕込みを軸にして、麹歩合も合わせていて、
繰り返す中で、きっと鋭敏に醪の表情を見て、情報を得ることが出来るのではないか…
…なんて思いました。
初めてお会いした頃にも感じていたものだけれど、「誠実さ」…醪に対する付き合い方。
 
間違いなく人気のある蔵元さんであって、
福島県と言えば、「大七」「飛露喜」「写楽」と来て、「廣戸川」と十兵衛の大将が言うくらい、
そんなポジションにあるので、
これから増石だったり、従業員さんが増えたり、
たぶん、増えると組織を動かす役目になるから、現場が少し遠退かざるを得なくなったり…
色んな変化がきっと訪れるのだろうけれど、
理想のお酒と、それが実行され続けて行く誠実さの中で、
「廣戸川」のこれからが醸されて行くのだろうな―…と感じました。
 
 
…おっと、閑話休題と言ったところで。
 
自分は酒屋さんでも問屋さんでもないし、
ただの、「廣戸川」を美味しく飲みたいだけの飲兵衛でしかないので、
経営とか、メディア掲載だとか、どれだけ売れるか…なんて言うのは、
実はあんまり関係ないんですよね。
 
本当、望むのは、
アガレヤだったり厨十兵衛、ばんざい家などで、
たまには「廣戸川って、やっぱりうまいなぁ。まっちゃん、頑張ってんだなぁ」と思いたい…ってくらい。
それを、各店主殿にお伝えすると、「だろ!?まっちゃん、頑張ってんだよ!」って、
きっと言ってくれるんだろうな…って思うんです。
そのご縁こそが、今、ここに松崎杜氏が松本に帰って来てくれた理由なんだろうな…って。
 
 
 
余韻が長いと言うことなのか、純米大吟醸の方が長く楽しんでいる感覚。
自然消滅を待つようなカタチで伸びて行くような。
 
特別純米は、キレると言えばキレるのだけれど、
それは、ザクッと落とすのではなく、中盤の含みで盛り上がった香を、
少し湛えながら、名刀で豆富を切るような感覚で、ストンと落として行く印象。
 
 
 
 
【 4. 廣戸川・純米吟醸 】
 
 
特別純米と並ぶ、定番商品「純米吟醸」を。
 
「今後、米違いのお酒を醸して行きたくて、
   それは、このスペック、純米吟醸にて」…とのこと。
雄町や山田錦と言った、
西が本場の酒造好適米も使ってみたい…と仰っておりました。
 
封を開けてすぐは、少し乳酸っぽい香を拾うのだけれど、
あっと言う間になくなって行きます。
 
透明感、アッサリ、スマート。
よりクリアな質感を感じます。
特別純米と比べたなら、より辛口と呼ばれる部類に入るのかと。
YOKOさんも、後半の開き方を特長と感じたようで、
開いた後に、辛く感じる…と言っていましたから、
中盤からの盛り上がり、そしてキレへの流れを明確に感じた模様。
 
透明なプラスチック製の下敷きでなくて、
薄く乳白色の透明さを持つ下敷きをイメージしました。
前者は、厨十兵衛のラインナップだったら、どちらかと言えば山形の「ばくれん」とか。
ただ、スキッとした透明な辛口ではなく、そこに淡く色の付いた…と言う感覚。
 
純米吟醸、よりシンプルにお酒らしい味わいであるとも言えるのですが、
これが、酒菜が入る事で、ガラッと印象が変わります。
食を助けると言うか、八面六臂の活躍と言うか。
ただ、そのまま試飲しただけでは、真価が分かりにくい感じなのかも。
食と合わせた際の飛躍は目覚しい。
辛く、しっかり醸しておいでなのでしょう。
その強さこそが、酒菜に対して寄り添ってくれる感覚でした。
 
 
 
 
そう言えば、こんなお話もして頂きました。
 
「良いものを作ろうとすると、昔ながらに戻るのかも知れない」
 
新しい技術も確かに良いとは思うけれど、
脈々と伝えられている、昔の良い所も、自分なりに落とし込んで使って行く事が、
大切なような気がする…とのこと。
 
これ、実生活でもありますよね。
昔ながらのセオリーとされている事の中には、
現代においてもセオリーとして通用する、
人間の根底に関わる様な事がありますね。
「たまたま上手く行ったもの」と「定石に則って上手く行ったもの」では、
後々の再現性に大きな差が生まれて来てしまいます。
自分の生業なんて、まさにその通りで、
よくお客様に、目先の対策で合格しても、後々を考えて下さい…と、
進言することもありますね。
 
ちょうど、毎日1枚、百人一首に登場する歌を書いているのですが、
遥か平安時代の歌であっても、
恋や情景を眺める人の心持ちには大きな差がないものです。
 
先人が培った知恵もフル活用しての酒造り。
それは素敵だな、と思い、伺っておりました。
 
 
 
 
 
今回の厨十兵衛のお料理、主題の器はこちら。
 
 
Dscn7370
 
 
今回も色々、盛り沢山に散りばめられていました。
 
厨十兵衛のポテサラ、合鴨のロースト、タルタルカナッペ、
南蛮風の揚げものは、鱧だったっぽい?
蟹の身の天ぷら(抹茶塩)、茄子の揚げびたし、
新秋刀魚の塩焼き。
 
 
Dscn7371
 
 
お刺身も凄いんです。
ボタン海老、鮪大トロ、帆立、縞鯵、金目鯛、黒鯛、雲丹…
鯛の身が、ちょっと自信ないかも。
 
 
…Sずか氏と我が家のYOKO氏が、揃って大トロをお酒がない時に、
「お酒があると思って」と口に放り込んでいるのは、ちょっと面白かったなぁ。
 
あと、抹茶塩、よく出て来るものに比べて、抹茶量が多く使われている様で、
塩味もしっかりしているのだけれど、
それ以上に、めちゃくちゃ香高く、美味しいです。
普段、塩もツユもつけないで天ぷらを食すのですが、
この抹茶塩は、ウマイものだなぁ…と感じました。
 
 
 
 
【 5. 廣戸川・純米吟醸・生酒 】
 
 
12月から2月期、冬に発売される純米吟醸の生酒。
 
火入れ酒がラインナップの9割。
3℃の冷蔵庫で自家熟成されたもの…とのことです。
 
安定した品質…と言うものは、実に素晴らしいもので、
総じて、火入れ版と物凄く差がある…とは感じませんでした。
こう言う時だからこそ、より良く比較できましたが、
余韻に、生の方が少し重みがあるかも…と言った感じ。
嫌な重さではなく、こう…羽根布団をもう1枚重ねるような。
甘旨味が、ゆっくりと残る印象。
含み、旨味はとても綺麗な仕上がりだと感じます。
柔和さも、少し感じるところ。
 
メロン様の香に、米っぽいふっくら感が含み香にあって、
味わいは、火入れ同様にスッキリさが持続して心地好いものでした。
 
YOKOさんも「スッと入って来る」とのこと。
 
 
 
 
飲み進めて行くと、
 
特別純米の落ち着きが、すごく良くて、
純米吟醸の綺麗さが、すごく良くて。
 
生酒は温度が上がって来ると風合に変化があって、
酸が少し上って来て、また違った辛さを感じるかも。
 
 
 
 
【 6. 廣戸川・純米・秋あがり・27BY 】
 
 
二夏越しの「秋あがり」のお酒。
滑らかさがあり、甘酸の雰囲気が、口中で膨らむ。
純米らしさもあるのだけれど、
熟成を経たからなのか、純米吟醸に通じる様な、
あっさりとした雰囲気もある印象。
 
 
【 7. 廣戸川・純米・秋あがり・28BY 】
 
 
発売を控えた今年の秋あがり。
酸がしっかりしたタイプに感じる。
旨味の伸びがあり、
温度によって、表情を変えて来る印象。
 
「ひやおろし・秋あがり」の意義としては、
現代では、生酒の品質や保管性能の向上から、
この点では意味に変化があるかも知れませんが、
諸説ある中で、
新酒の荒々しさが、夏を過ぎて秋口に、
貯蔵を経る中で、良い塩梅となるからこその発売…とも伺った事があります。
 
空気に触れても変化が見込めますし、発売された後、
こうして街の日本酒居酒屋さんなどで出会って、
季節の食べ物と合わせて、是非、楽しんでみたいものです。
 
ちなみに、この純米酒に使われている「夢の香」は、
地元・天栄村の米作り名人さんが手掛けたものなんだそうです。
お米もきっと美味しい土地なんだろうなー…って思います。
観光協会のウェブサイトを見てみると、
特産物は、ヤーコンと長葱となっている様子ですけれど。
 
 
 
 
 
【 8. 廣戸川“石背”・純米 】
 
 
前述の通り、「いわせ」と読みます。
帰り道に出会う、アガレヤの旦那に「石背が美味しかったんですよー!」と話すと、
「あぁ、悠久の里だったお酒でしょう?」と聞いて、驚きました。
第1回のほろ酔い散歩の時に、飲んでこそいないのだけれど、
「悠久の里」と言う銘柄はあり、
松崎杜氏に伺うと、
平成の大合併によって「岩瀬」の名前がなくなってしまう事から、
せめて酒銘に名を残したいとの事で、「石背」が誕生したとのこと。
お酒、日本酒は品格ある文化そのものですから、
こうして名を残すと言う人類が脈々と受け継いで来た風習を担うに相応しいですね。
 
地域限定酒と言う扱いになる「石背」、これ、とても美味しかったです。
これまでの7本も、もちろんなのだけれど、
地域=地元と言うことで、きっと食文化が信州と似た…それが影響するのでしょう。
信州で育った僕の好みにも、ドンピシャに合って感じられました。
特別純米と純米吟醸の良い所を合わせ持つ様な印象すら。
綺麗さと味乗りとが、とてもちゃんと成っていて、
味わいのバランスがとても良く、飲む心地好さを感じます。
 
飯米「コシヒカリ」を使ったお酒…と言うことも驚きで、
酒造好適米と言う専門職のお米でなくても、上手に醸せばお酒は美味しい!
…と言う事を、五臓六腑に理解させてくれる感覚です。
 
 
 
 
ひと通り飲んでみて、僕は「石背」や「大吟醸」、「特別純米」をリピートしたかしら。
特に気に入っていました。
 
感じることは、
 
すべて、廣戸川に雑味がなく、キレがある…と言うよりもフィニッシュが綺麗。
切ると言う動作を意図した言葉ではなく、
自然な流れで喉の奥へと消えて行く…
透明感や雑味の無さは、最近の信州中野「岩清水」に感じることが多いけれど、
たぶん、それとはロジック、理論が異なる気がする。
酒屋万流とは言うけれど、良いお酒同士を比べると、
ひとつの「綺麗さ、雑味のなさ」においても、高水準を維持して差がある事を感じられて、
「すげーなー…」…って、ポカンと口を開けて、感嘆恍惚の心境。
 
 
実に、堪能しました!!
 
 
 
 
 
 
Dscn7380
 
 
〆には、ご飯物で「うな天どんぶり」を。
 
 
Dscn7382
 
 
この汁物も素晴らしく美味しかった。
銀鱈が入ったもので、塩味のシンプルさが際立って、
柚子のアクセントが非常に良く響く。
 
最初、鰤かと思いました。旬の鰤みたいな脂。
でも、この時期に鰤とは…?と思っていると、
先に大将に聞いて下さっていたY口さんご夫妻から、ヘルプがあって、
こうしてブログ化できていますが、
それを聞かなかったら自信満々に「鰤」って書いていましたとも。
 
 
Dscn7383
 
 
デザートにチーズケーキが出て来て、お開きとなります。
 
 
 
 
 
充実、そして満足!
 
また来年も造りの済んだ、そして次の造りに入る前の頃合に、
こうして松本においでになって頂けると、
美味しくて、楽しくて、幸せなんだけどなぁ…と、
その空間にいた、どなた様もお思いになられたことでしょう。
 
さて、長講一席、最後までお付き合い頂きまして、
誠にありがとう存じます。
 
「廣戸川」の魅力を、体験した全てを出来るだけ申し上げたつもり…
…ではございますが、もちろん、語り尽くせぬものでございます。
是非、松本の街のみならず、
どちらかにてお見かけの際は、
食と共に楽しんで頂けましたら幸いでございますし、
厨十兵衛だけでなく、風林火山やばんざい家、アガレヤ、
まだ他にも、美味しく日本酒を飲ませるお店がございますので、
お出掛けして頂きまして、お酒が取り持つ縁、そして美味しさ、
楽しんで頂けましたら幸いと存じます。
 
本日はここで、ちょうどお時間。
 
ご高覧頂きまして、誠にありがとうございました。
 
 
ありがとうございました。
 
 
ありがとうございました―――――…。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
今回、少しは調べ物などしたりする中で、
「城下町ほろ酔い散歩」にも協力して下さった、
東京池袋・地酒屋こだま、たけさんのブログに、
僕らが初めて、松崎さんに出会った…その年の冬、
たけさんが蔵見学に赴いた内容が書かれていました。
 
「地酒屋こだま」のホームページの「廣戸川」紹介ページにリンクがありますので、是非。
今回の昼十兵衛に参加した方は、もう、本当に是非。
この場所で、廣戸川は動き出しているんだと、知って頂けたらな、と思います。
 

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