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2016年6月16日 (木)

お酒呑みの喜びにありつく。(2016年3月26日・四柱神社、厨十兵衛)


そりゃあ、お酒呑みでございますから、

「美味しいお酒にありつく」ことは喜びでありますけれども、

「美味しくお酒にありつく」ことは、もっと尊い喜びなのでございます。

言葉、ちょっとの違いだけれど、大きな違いでして…。


えー、
誘惑箇所の多い中、
いっぱいのお運び様で、誠にありがとう存じます。
気楽なところがよろしいんじゃないかと言う事ですが、
一生懸命に書いて行きます。
どうぞ、最後までお付き合い下さいませ。

細君、YOKOさんが口々に申しますには…

「 落語のあとは、一杯やりたくなるのです 」

…との事です。

落語は想像力から成る芸ですね。
仕草も交えながらと言えど、噺家は喋るだけであります。
喋るだけ、
けれど、僕ら受け手の観客の頭の中には、
映画そのものが繰り広げられて行きます。
名人上手を指して「引き込まれる様な」とは、正によく言ったもの。
噺家さんから与えられる情報によって、
物語を自前で想像して行く…
声や音、場によって受けたものを自分の最適解でこしらえて行くので、
どうでしょう、
落語をご覧になった方ならば、
ご理解を得られるのではないか…と確信しております。

たまさか、1度は見たことがあるけれど、大した事なかった…
見た事なんてないよ、「笑点」と同じだろ…とお感じの方は、
どこかでちゃんと一席、筋の通った高座をご覧になって、
その際に、ご自身で集中して、噺をイメージ出来ていたか…
出来ていなければ、ご面倒でも是非、出来るまでお付き合い願いたいですね。
これは私のただの我侭ですけれど、
「引き込まれる」と「イメージできる」は同意でしてね。

噺家が真剣に高座を勤めます。
それを真剣に心で受けて頂けたなら、たぶん引き込まれると思う訳ですな。

「集中と緩和」なんて、
どこかビジネス書籍にもあった様にも感じますし、
自己啓発的な何某にも書かれている様に感じます。

噺を真剣に楽しんで聞く、引き込まれる、噺の世界に旅立つと言う「集中」、
その後に余韻を楽しみながら「緩和」の時間にお酒呑みのお噂に乗っかろう…と言う訳でしてな。
そんな一席でご機嫌を伺います。

松本駅ゼロ番線から蕎麦の香が漂えば、噺の幕開きとなっておりまして…。


「落語と蕎麦」は、
ズゾゾとすする仕草もあり、「時そば」と言う名作の存在もあり、
一対を成すような感覚もありますが、
僕らの場合は「菊生師匠と蕎麦」と言ったところ。

四柱神社の18時の開場時間に際して、
先にお酒を入れちゃうと、
ほら、いくら噺が面白くっても、ダレちゃうものなので、
堅い噺も柔らかくなっちゃうものなので、酒肴、噺の前に蕎麦なのでして。

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松本駅ゼロ番線の立ち食い蕎麦屋。
ここでお腹をあたためてから、四柱神社に向かうことになっています。
終演が21時頃で、そこそこの空腹感を覚える時間ですから。

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冷凍された生蕎麦を茹でる「特上」シリーズは、
3分ほど仕上がるまでに掛かりますが、駅そばとしては美味しいと思うもので、
「特上葉わさびそば」が、僕ら夫婦のフェイバレットですね。
ツユに広がるわさびの香が何とも言えない。

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「 古今亭菊生の落語百夜 - 第七十七夜 - 」

当日の根多帳として。

開口一番・前座
落語・あお馬「新聞記事」(+外郎売り)

落語・菊生「短命」
落語・菊生「花見小僧」

あお馬さんは、当代5代柳家小せん師匠のお弟子さんとのこと。
見事な「外郎売り」の口上、言いたてをご披露されました。
所作、声の作り方に小せん師匠の粋な面影を少し感じましたね。

菊生師匠は、
どちらの噺も明るい師匠にはよくお似合いでした。
特に「花見小僧」は生では伺った事がございませんで、
花と色の噺、楽しませて頂きました。
4月、5月と足を運ぶ事が出来ていませんのでいけませんが、
「花見小僧」は「刀屋」に続く、
おせつ徳三郎の馴れ初めの噺ですから、
続いて「刀屋」も演じられたのでしょうか。
いつか、こちらも伺ってみたいですね。

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お馴染み、マイクスタンドアートはこちらで。


終演後、四柱様にお参りをして緑町へ向かいます。

「美味しいお酒にありつく」ことが出来るお店へ。
その日、偶然に出会いがあり、お酒が美味しいのは勿論のこと、
「美味しくお酒にありつく」、厨十兵衛でありました。

日本酒居酒屋として長く松本で営業されていて、
いろんなご縁がある場所です。
当日は松本駅前で「風林火山」「ばんざい家」を経営されている、
中村の旦那が、部下の若い男性をお連れになっておりました。

普段、お店で拝見するお顔と違う…
けれど、プライベートでもない訳ですね。後進を育てる姿。
その合間に、結構かまって頂きまして、
誠々、実に「美味しいお酒」であった訳です。
是非、女将さん会は実現すると良いなぁ…なんて思う所ではありますが、ともあれ。

そんな訳でして、
お話をめいっぱい、居酒屋の空間をめいっぱい楽しんだため、
本当、気楽に楽しみまして、記録が大分疎かになっておりまして。
事細かには書けませんが、
こんなお酒とこんな肴を楽しみましたので、
ちらっとでも信州松本の日本酒居酒屋、酒場の雰囲気が伝わりますれば幸いです。

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兵庫・金鵄盛典・純米吟醸生原酒(山田錦)
福島・ロ万~Roman Revolution~・純米吟醸生原酒

先ず一杯。
どちらも東京の酒屋さん「革命君」さんから。
特に「ロ万」は革命君の店主殿の思いが詰まった…
店主殿の想いと蔵元さんの想いが詰まった1本だったので、
是非とも、味わいたいと考えていました。

金鵄盛典(きんしせいてん)は、
強烈なバナナ香と白ぶどうのイメージ。強く甘く膨らみます。
ロ万は、素晴らしい膨らみを持ち合わせていました。
米の旨さ、甘味のパワー、
奥ゆかしいけど、しっかり伝わり立っている酸の柔らかさ!
僕自身が好みの主質でもあると思いますし、
やや好みが異なるYOKOさんをしても「これ、美味しいね」と言う味わいでした。

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肴にお刺身を。

こちらが「あぶり太刀魚」で、

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奥に控えております「赤貝」を盛り合わせてもらいました。
あぶり、良いですね。
太刀魚の繊細な身を炙って美味しいのかと…
注文時に「食べたい」と言うYOKOさんに疑問を投げかけてしまいましたが、
そこは流石、厨十兵衛・井出さんでした。
文句の隙なんて、これっぱかりもないくらい美味。

…炙りのバーナー、欲しいですね。
自家製チャーシューとか炙りたい。
鰹のお刺身も藁で炙れませんかね。夢膨らむ。

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次杯に、
僕は、広島・寶剣・純米吟醸(山田錦)で、
YOKOさんは、福島・寫楽・純米吟醸を。

どちらも「厨十兵衛」で覚えた日本酒ですね。
僕が「写楽」を頼むことは、まず無くて、
YOKOさんが「寶剣」を頼むことは…たまにならあるかなぁ。
これが好みと言うもの、お気に入りと言うもの。
僕はあんまり「写楽」を頼まないけれど、
すごく楚々として綺麗で、ほの甘い、たおやかふんわりとした雰囲気は、
とても良いお酒だと思っています。
全国津々浦々の銘酒が揃うお店ですから、
本当に色んな味わいに出会うことが出来るし、
自身の好みに気付く事が出来ますと、
より一層、銘柄、ボトルに愛着が湧く様に思っています。

…こうやって、ちょっと粋がって書いていると、
むしろ自分自身で「写楽」を飲んでみたくなっちゃうんですよね。
美味しいのは、確かに知っているから。
不思議です。今度、僕も頼んでみよう。

翌日に呟いて残した記録には、

「広島・寳剣はシンプルストレートなシャープ美味しさ。
 福島・写楽は雄町米の印象が変わりますね!ふくらみと太さ、たおやかさ」…とのこと。

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「馬肉とすんきの和え物」

更に肴としてお迎えしたもの。
すんき漬けの酸味が僕は心地好いくらいだったけれど、
「すっぱー」と言う表情のYOKOさん。
適度な酸味を馬肉と共に。ウマイ。

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三の杯に、
僕は、秋田・まんさくの花・純米吟醸原酒“巡米吟醸・山田錦編”
YOKOさんは、福井・越の鷹・あらばしり純米吟醸を。

YOKOさんは“お任せ”で、井出さんに選んでもらったんだっけ?
「まんさくの花」は目星を付けていたお酒だったけれど、
他のお客様から注文が入った際に、瓶底間際の残量だったので、即注文。
何とか無事、我が酒グラスにお迎えできました。
久し振りの「まんさくの花」、すごく美味しかったこと、覚えています。
「越の鷹」、何回かYOKOさんが頼んでいたり飲んでいたりしていますね。
「写楽」などの雰囲気とは異なりますが、
「王禄」も好むYOKOさん、そちら寄りの趣向に合うのかも知れませんね。

記録には、
「まんさくの花が山田錦で醸すとこうなるのか…と感嘆。
 しっかりした体、外装は細身で、中には骨太、強さ。
 福井・越の鷹は、生酒の良さ。
 一閃静かに切り込んで入り、ツバメ返し、
 切り返しで膨らむ。とても良いお酒!!」…とのこと。

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四の杯として、
僕は、続いて信州松本・笹の譽・純米吟醸ひとごこち“中汲み”を。

昨今、家での晩酌事情が変わりつつあり、
ウイスキーも焼酎も美味しいなぁ…と…
ことウイスキーは食後と言う使われ方が多かったのですが、
食中酒の世界にも個人的に進出して来まして。
そうなると、日本酒の消費量が下がって来る訳ですな。

今期、なかなか「笹の譽」にありつく事がなかったので、
興味を持って注文しました。

記録には、

「含みに香あり。スマート、流線形の印象を抱きます。
 スッと入って来て、引っ掛かりなく、ホッと盛り上がる。
 瞬間に淡麗系のカテゴライズをしてしまいそうな綺麗さだけど、
 付き合うと味わいに発見がありそうな感じ」

…とのこと。

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「海老のタルタルカナッペ」

小腹が空いたと言うことで。

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YOKOさんの四の杯として、
奈良・風の森・ALPHA TYPE 1・無濾過無加水生酒を。
抜群の美味しさは相変わらずの「風の森」…
ミネラル感とフレッシュな口当たり、
どの時間帯、シーンになっても美味しく飲むことが出来る佳酒に揺ぎ無し…ですね。

うっかりと終電を過ごしてしまいそうなくらい楽しくて、
やや小走りに松本駅へと急ぎました。
楽しく、夢中な時間!
幸せの余韻に浸りながら、僕らは巣穴へと戻って行くのでした。

さて、今日のお話はここまでがよろしい様で。
ちょうどお時間となってございます。
また、お目に掛かりますまで暇を頂戴致します。
それでは……

ありがとうございました。

ありがとうございました。



ちなみに。

今週末の5月18日も「古今亭菊生の落語百夜」がございます。
18時開場、18時30分開演となっていて、
2題、根多出しがありますね。
「代書屋」と「夏どろ」、陽気に怒る噺ですよね。これ、どちらも。
「代書屋」は陽気な依頼者に代書屋さんが静かに呆れながら怒る噺で、
「夏どろ」は押し入った泥棒から泥棒する噺で、
「お前、何言っているんだ」と言いながらも説得される間抜けな泥棒が見所ですね。

お手隙ございましたら、是非四柱神社まで。
8月のスペシャルゲストさんの情報もきっとあるんじゃなかろうか…と思います。

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