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2016年3月15日 (火)

酒の縁とは交点にあり。(2016年2月20日・厨十兵衛)


それは、趣味でも何でも良いんだと思う。
たぶん、仕事のコミュニケーションだって、そう言う事だと思う。

話す機会はたっぷりある。
交点にお互い立ち止まって、言葉を交わす。

お酒呑みの場は、色んな人生の交点である。

そう、厨十兵衛で出会っている、
カウンターを囲む皆さんの
社会的な立場とかそう言うのは正直ほとんど知らない。

いらないもの、なのである。

人生の交点だから、人となりは、
話してみて、お酒を飲む時間を共有してみて、
わりと知っていたりする…と思っている。
知らないこともいっぱいある。
それは酔いの最中に、気にならない。

この日は、
落語の話が出来る…僕が知っているのは、3人いて、
そのうちのひとりに出会って、
オススメの噺を伺って、
翌日から先の出勤時の車中での楽しみを得た。

今日が明日へ繋がって行く事を実感するのは、素敵なことだと思う。


先達てカエルのお店で心地好く飲み…
何よりYOKOさんが福引を当ててくれたので、
とても幸せな気分で、はしごを駆け登ろうか…と言うところ。
緑町に歩いて来て、「厨十兵衛」へ。
店内はよく賑わっていて、こちらに案内されました。

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久し振りのテーブル席。
いつものカウンターの景色と結構な違いがあるので、
何だかウキウキしますね。
“落ち着かない”なんて事はなく、
違うものが見えると言う期待感があります。
カウンターにはK西さんもお見えになっていましたね。

Dscn1578

先ず一杯、
YOKOさんは、
福島・かすみロ万・純米吟醸うすにごり生原酒、
僕は、
滋賀・七本鎗・純米吟醸搾りたて生原酒“滋賀県産玉栄”をお願いしました。

「かすみロ万」、その数日後に家に届くことになりますが、
やはりお気に入りの味わいです。少し飲んできた所に、
和やかさと豊かさを両立して、華やぎも感じられる重み付けが、
とても心地好く…、あ、僕がYOKOさんからひと口もらった際には感じたものです。

「七本鎗」はずーっと追いかけて行きたい銘柄です。
メニュウにあれば、必ず頼みたいと思うし、頼んでいます。
派手さがなく、しっかりとした美味しさ、実直なイメージが好きなんです。
純米に比べて洗練された雰囲気を醸す純米吟醸系。
その期待に存分に応えてくれる味わいでした。肴にも実に良いです。

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焼サーモンのいくらおろし

ここ最近、頼むものが定番化して来ています。
大好物過ぎて…
焼き魚、たっぷりの大根おろし、味の良いいくら醤油漬け。
少しずつツマんで食べられる辺りも気に入っています。

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合鴨の治部煮

こちらも。
お腹が空いている時、寒い時には堪えられませんネ。

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続いて、次杯。
YOKOさんは、福島・写楽・純米吟醸おりがらみを、
僕は、2度目になる静岡・英君・山廃純米“石橋ヲ叩イテ渡ル”を。

YOKOさんは名前の覚えが良い「写楽」を選びました。
この冬は初めて…かも。
ほの甘い雰囲気と後半にふっくら盛り上がる雰囲気、優しさを感じる味わい。

「英君」、以前は冷酒にて頂いたボトルですが、
この日のメニュウの中には「常温・お燗酒」のカテゴリに分けられていました。
それはとても興味が湧きます!
きっと良いお燗酒の温度帯に行き着いたのだと考えて、
「英君を。温度は合う温度にして頂いても良いですか?」とお願いすると、

「SOJA、これは色々試したが、ひやが良かったんだよ」

…と十兵衛の大将殿。

ならば、そのままの温度、室温常温、「ひや」で頂くことにしました。

一言で言えば、調律…を感じました。
落ち着いた滋味の雰囲気。酸は飲んですぐは立って感じもしましたが、
口が酒に慣れてくると、その立ち具合が程好く感じられ、心地好く、
奥の方に甘味が伸びて広がり、
山廃の香…と言うよりも、厚ぼったい…でもけして鈍くない、
人肌燗の様な低めの温度で、時たま感じる柔らかな酒の香に似た、
そう言う香が漂って来て、
「ちょうど良い」んです。なるほど、これはこの温度が素敵なんだな…と、
説得力すら感じました。
飲み進めることに肩の力が必要ない印象を抱きました。
お銚子の瓶底を裏返すような、
「あれ、気がついたらないぞ」と思わせるような。

落語「夢の酒」では、
お燗酒しか飲まないと言う大旦那が、
夢の中でお燗の上がりを待ちわびている内に、
起こされてしまって夢の中のお酒を飲み逃し、
「ひやで飲んどけば良かった」と後悔してサゲるものですが、
いやはや、この場合は十兵衛の大将の言う通り、

“ひやで飲んでおいて良かった”…というところ。

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YOKOさんは、
大将にお任せでお願いをして、
宮城・山和・純米吟醸無濾過生原酒“美山錦”、
僕は、今冬の味わいをやっぱり知っておきたくて、
福島・辰泉・しぼりたて純米“うすにごり生”を。

「山和」、すごく良かったですね!
「山和」らしい親しみやすいお酒の雰囲気と、
新酒らしいフレッシュな勢いとが共存していて、すごく美味しいと感じました。

らしさと言えば、「辰泉」も。
例年通りの嬉しい美味しさです。外さないです。
いつも僕が美味しいと思うボトルでいてくれるんだから、たまらない。
厨十兵衛の日本酒メニュウは実に豊富で、
「頼みたいって思うものがなくなっちゃったな」と思う事なんて、
まず間違いなくありえないのだけれど、
どことなく「どうしようかなぁ、あと一杯」と思う頃に、
だいたい目に留まって頼むことが多いです。
今回も然り。美味しく頂きました。お気に入りの蔵元さんの味。

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そんな訳で、
うどんを入れた治部煮も到着して心と体の中を温めます。

そうして僕らは次に掛けるはしごの先へと出掛けて行くのですが、
後半、いろんな話を前述の兄さんにさせてもらっていて、
僕としては落語の話は、
あまり出来る方がおりませんから…
せっかくなので、この機会に、
オススメして頂いて聞いた噺をまとめておこうかと思います。
ええ、一部の方になるとは思いますが、
まさに「おあとお目当てお楽しみに…」と思って頂けたなら幸いで。

…今回お会いしたY田さんが「枝雀」、
M本さんは「圓生」、Y口さんが「志ん生」がフェイバレットでしたよね?
僕は、「圓菊、志ん朝、5代目圓楽」と答えたい所…ですかネ。


「鷺とり」

…教えてもらった枝雀師匠だけ、サゲが異なるんですね。
聞き障りのあると言う理由で、
現代では、また江戸落語の「鷺とり」では、
まるで「愛宕山」の様な、「元に戻る」と言うサゲが主流で、
「ゴツゴツゴツゴツ!ひとり助かって、4人死んだ…ッ」
…と言うサゲは少ない…なんて文章を読みました。
「浜野矩随」にも通じますよね。
最初はお母さんが自害してしまうサゲに嫌悪感を抱きました。
けれど、
今では5代目圓楽師匠が演じられた通り、
母の死をきっかけに覚悟を決めた矩随の生き様を感じて、
「合う」と思っています。
6代目圓楽師匠の高座を伺った事がありますが、
お母さんが生きる噺は、壮絶ではないものの、
それはそれで、聞き障りは良い訳で…
じゃあ枝雀師匠の「鷺とり」は玄人向けかって言うと、
雀のお話、鶯のお話、本題の鷺を捕らえるお話…
とても喜劇がかっているもので、
その楽しさのままに、サゲに入るので、
音源を録音した会場も笑っていたし、
別に凄惨ではないんじゃないかと思っています。

Youtubeで検索すると「鷺とり」は、
枝雀師匠の独壇場と言う感じがしますね。
でも、実際に伺ってみると抜群の良さがあります。
テンポ良く進んで行きます。まさにオススメの噺ですよね。
いくつか聞いた上で、僕も誰かにオススメしたいと思える仕上がり。
よって、今こうして書いている訳ですが。

「天神山」は、
東京、江戸落語では「安兵衛狐」に直されている噺。
ヘンチキの源助から始まり、安兵衛さんの狐のカカアへ。
本質が上方にあると分かる感覚ですね。
江戸落語は嫌いじゃないけれど情緒的過ぎる感じ。
上方落語では人の人らしさが出ている雰囲気、生活感がある様に思います。
人の良い所も、悪い所も。

「兵庫船」、
上方だからこその旅噺ですね。江戸落語はあんまりないですよね。
正に上方の娯楽として存在する落語のひとつと思いました。
船と旅と言う事では「三十石」を思い浮かべました。
比べると、一大叙事詩とも思う「三十石」に対して、
旅情はないものの、
ただ前半には当時の文化がふんだんに散りばめれ、
後半は今は昔の言葉遊び。色んな娯楽のある噺と感じました。

まだまだお三方、面白い噺があったら教えてくださいませ~。

さて、こんな所でちょうどお時間。

また、明後日に更新出来たら良いのだけれど。
僕らがはしごをした次のお店でお会いしましょう。

ありがとうございました。

そう、今回のお酒呑みの交点は落語だったと言うオチであります。

初めて関西生まれの方に「なんでやねん」ツッコミを頂いた記憶はあるのに、
その前後の記憶が全くないと言う、
そう楽しく大笑いをしていた酔っ払いの夜の記憶。

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