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2013年3月 7日 (木)

第18回・食酒楽会 〜 一滴入魂・一食入魂 〜 (2013年2月22日・中野市三幸軒)

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えー、
誘惑箇所の多い中、
いっぱいのお運び様ァ、誠にありがとうございます。
気楽なところがよろしいんじゃないかと…思うンですが、
一生懸命、書いて行く事にしております。
どうぞ最後まで、お付き合い下さいませ。

えー、今回と言うものは、
一筆入魂の心持ちで書いて行こうと思っておりますよ。
イベントを経て、
こう、「書きたいなー」と強く思いました。
きっと忘れないイベントなのだけれども、
書き残す事で、より強くこの記憶と共にありたい…そう思うんですな。
何しろ、良いイベントなんです。
お酒は美味しい、お料理も美味しい、雰囲気もね、良いんですよ。
あの時間と場所を思い返すだけで、良い心持ちに、豊かな心になれますよ。

当日へ向けての「一会入魂」の思いがありました。
信州の人間にとって、
夏と冬、どちらが忙しいかと伺えば、
数多ご異論もございましょうけれど、やっぱり冬だと思いますね。

普段の忙しさに加えて、雪に文字通り足を取られる。
時間が足りない、あぁ、もう夜か。
日も短いですしね。
1日、夜までがあっという間で、どこか損した了見になりますよ。
その中で、会に向けて企画を練る…
また、たゆまぬ酒造り、より一層の料理の構想を形作る…
下に隅にと置けないくらい、
下ごしらえが入念に為されて、当日を迎えていたんだと思いますし、
また、皆さん、当日もお忙しそうでした。
それを微塵も出さないから、僕らは心から楽しんだ夜でありました。

さて、一滴入魂、
本来はどこから出た言葉か…と申しますと、
刀や彫刻の世界、名を彫り込むご職業だと思いますね。

無心になって造る、
では魂は造っている間、どこにあるのか。
造った品に移っていると考えますてぇと、腑に落ちますね。
名を彫り込むと言う事は、
「我が魂の在りか、ここに在り」と、
一時は魂の居城に刻む作業と言う事ですね。

酒には魂が詰まっておりますよ、
けれど瓶は…ねぇ、作られたものですね。
名前の書き様がありません。
瓶に大層に彫ったって、ねぇ?
資源ゴミになったら、魂も一緒にくっ付いて行っちまいますよ。
魂は、酒は、僕らの五臓六腑に染み渡り、
この旨さが、命になる。
魂が伝わって明日への命に…元気になります。

「阿吽の呼吸」と申しますより、
登り龍、天高く真っ直ぐに駆け登って行く龍を思い浮かべました。
2匹の龍が、グングンと威勢を上げ駆けて行くからこそ、たいへんに様子が良い。
片方が、頑張っても頑張っても追い付かない、
ヒイフウヒイフウ、息切れしては何にもならない。
お互いが真剣勝負、才能と努力、その成果をぶつけ合う…
んー、
そう考えますと「阿吽の呼吸」と言う言葉も合いますか。

一滴入魂「岩清水」と言う龍、
一食入魂「三幸軒」と言う龍、
この双龍を描いて、僕らに見せてくれる…届けてくれる、
一会入魂「善光寺屋酒店」さんと言う存在。

なら、
僕らは、お馴染みY本さん共々、「一楽入魂」であります。

この夜、「食酒楽会」と言う楽しみを、
めいっぱいに感じ、出来るだけお伝えしたい、
書き残したいと思うからこそ「一筆入魂」で挑みます。

食酒楽会とは、
人生を豊かにする食と酒をより楽しんで頂ける様、
それぞれのプロが工夫を凝らしておもてなしをする会です。
(  食酒楽会パンフレットより  )

さて、ちょうどお時間。

おあとがよろしい様で。



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道中、姨捨サービスエリア。
澄み渡った冬らしい、良い空。

今も思うと、この翌日には雪が降る訳で、
健やかに信州中野を目指して出掛ける事が出来たのは、
とても幸運だったのだと感じます。

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19時の開演を前に中野市「三幸軒」前に到着。
気候が良ければ、歩いてお散歩しても良いかなぁ…と言う心持ち。
とにかく、
僕もYOKOさんも、
数度、これまでの「食酒楽会」に参加して来て、
お酒も、お料理も折り紙付きの楽しさを知っている訳です。

車から降り立った瞬間が好きなんですね。
こう…「来たぜ〜!」と、「いよいよだ〜!」と言う感覚。

手始め…と言うより、
ウェルカム・ドリンクとして、
善光寺屋さんが、何やらスタンバイ。

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【  歓迎酒  】
【  あったか吟醸甘酒  】

パンフレット・コメント:
今年最初のサプライズはこれ!
芳醇な酒粕を少量の吟醸酒と共に溶かし込み、
プロならではの隠し味で仕上げました。
まずはホッコリ一息。

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冬、この季節には温かいものが何よりご馳走です。
まずは甘酒で、
会の始まりまで、美味しく繋ぐ…と言うカタチ。

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鍋の中をちょいと拝見しますと、
”隠し味”が見え隠れしております。

香は、ほとんど普段の甘酒と言う感じ。
どこか懐かしい、優しい香。
もったりとした香の厚さを感じます。

飲んでみて思うのは、
普段の甘酒より、ずっとずっと美味しい!
まるで「ミルク・カクテル」みたいだと思いました。
むしろ、ミルクが入っている…と思うくらい滑らかで、
口の中で、ほわっ…と広がります。

隠し味”林檎”の、なんて特長的な甘味が心地好いんでしょう!
砂糖、シロップの類、
ナチュラルな素材と言えば、蜂蜜よりもまた…
砂糖も少し入っていると伺いますが、
林檎の味わい、香、生の林檎の雰囲気が、
どこか遠くに、しかし確かに存在していて、
普段の甘酒より、ずーっとずっと飲みやすい。

加温した…煮たものでも焼いたものでもない、
これまで感じた事がない林檎の味わい。
何かに例えたい…と考えると、
やっぱりホット・ミルクを思い浮かべます。
ホットミルクに林檎ジャムではなくて、
やっぱり皮ごと薄く切って浮かべる様な…
そうした旨さ、香が実現されているんです。
隠し味の隠し味になっているのは、
パンフレットに記載がある”少しの吟醸酒”、
これが味のコシになっているのかなぁ…と思いました。

長野県の特産品「林檎」であり、
また全国に誇る酒産国である中の、
このコラボレーション!
全国に広がると良いのに!…と思うくらい気に入りました。

善光寺屋さんに「これ!すごいですね!初めて飲みました!」
…と(返す返すも僕はたぶん)興奮して伺うと、
料理人・上野さんのレシピ、発想なんだそうです。

企画段階で登場した際には、
善光寺屋さん含め一同、感心したのだそうで。
造り方もとても簡単ですが、
要所要所に、ちゃんと勘所が活きていて、凄い。
良い味なんです。

けれども、
善光寺屋さんが心を遣って下さって、
「おかわりどうですか?」とお声掛け頂いたのに、
僕は「岩清水の新酒が良いです」と答えてしまいました。

「食酒楽会」のブログ、
「三幸軒」のブログ、
井賀屋酒造場「岩清水」の新酒としては、
先達て、2月初旬から中旬には情報があり、
手に入れようとすれば、手に入れられそうな状況でもありました。
難なら先んじて中野市に来ても良かった。

しかしながら、です。

目前にこの…「第18回・食酒楽会」があって、
おそらく、この会で味わう「岩清水」が最上至極、
いちばん贅沢な味わい方だと思いました。
中野市、「岩清水」が醸された土地、
醪が育った風土、人、小古井宗一杜氏の笑顔の中で、
新酒を味わった上で練り上げられた、
素晴らしい相性の料理と共に味わう、
この機会を、今日この日まで、
大事に大事に、取り置いておいた…そんな心地でした。

だから「新酒を飲みたい」と思ったのだけれど、
先々、語り継がれる甘酒でありました。
飲まないと、
甘酒に関わる人生を損しているんじゃないか…ってくらい。

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開会の挨拶。
お三方、揃い踏みです。

毎年毎年、進化している日本酒「岩清水」、
「岩清水」を醸造する小古井さんの技術、勘。
「今年ほど苦労した年はない」…と言う言葉から始まりました。

「米が硬い、米が割れる」…
理想とする造りがある中で、
日々、五感で情報を得る麹、醪の顔、触感、呼吸…
これは常に”勘”であって、
目に見えている様で目に見えないところ。
確かなものは、分析して数値化出来る、
ほんの少しの情報だけ。
求めている状態、最高の状態に持って行くまで…
その苦労、日々は研鑽、戦場。
”米の状態が悪い”と言う要素は、形作った理論を揺さぶる。
杜氏の判断しなければならない理論を分岐させる、
それはつまり、計画を揺らがせるのだろうと思います。

その中で、
「人間が酒にとって、醪にとって、いちばん良い環境を造る。
   これが”酒造り”だと思う。
   自然に逆らわず、麹菌に寄り添って醸す。
   これを常に心懸けて、今年は取り組みました」
…揺らいでも良い信念、自信を、
更に覆う素晴らしい経験をされたのだと感じました。

後に伺ってみると、
醪が発酵を盛んにしたいのかなぁ…と思う場合は、
杓子定規の方法では、それでも抑えるのだけれど、
今年はある程度自由にさせてやる…
すると、程無く落ち着く…ずっと管理が楽に感じた…と、仰っていました。

「三幸軒」料理人・上野さんからは、
お料理の説明がありました。
この頃には前菜3種が届けられていて、
新年会と言う事で、
会の中では初登場となるお刺身を扱ったもの、
また卵を使った料理は味が濃いため、
先にお寿司を、お寿司はまた混ぜ合わせて…
前菜3種盛りの手ほどきが簡単に為されますが、
これは本当に大切な順番だったと感じます。
それはこの後、食べた順番に沿って書いて行きますので、
見て頂ければと存じます。

…お寿司と言う言葉では書き表せない、
「あぁ、上野さん、また何かに美味しそうに企んでる♪」
見た目以上の味わいに、いつも出会えるから、たまらない。

さて、いよいよ!
待ってました、この瞬間を!

【  乾杯  】
【  岩清水・純米五割麹・中取りおりがらみ  】

パンフレット・コメント:
今年最初は新酒のお披露目です。
麹歩合を通常の二割から五割に引き上げた濃厚な旨口酒で、
昨年はあっという間に売り切れてしまいました。
今日のお酒は特にバランスのとれた
中取りを無濾過のおりがらみでご提供。
手間と贅を尽くした一本です。

香は、バナナみたいだ…と思いました。
すごく厚みがある香、訪れる香に層がある香。

周囲から…隣はYOKOさんから、
「美味しい!」と声が聞こえる。
そんな中で、僕は僕として、
このひと口の出会いをとても楽しみにして来て…
襟を正す、背筋を伸ばすと言うか、
ボールペンを持ったまま、メモのスタンバイをして、
そんなに気張らなくても良いかも知れないのに、
何と言うか…
「心を込めて出会いたい」と思う酒です。
どれだけ心血注いで醸しているか、
そのほんの少し、一端は知っている自分だと思うので。
そっと器に近付きます。

まず「軽い!」と思いました。

例年と比べて”軽い”のではなくて、
例年と同じかそれ以上、強さはしっかり感じるのに、
僕らへの感じさせ方が、”軽い”…と思いました。

味の旨さ、濃さ、
小古井さんの「岩清水」、”五割麹”を飲みたくて、
飲む事によって、満たされる、五臓六腑に知れ渡る…
「あぁ、この旨さだ」と思う…
そうした根本の魅力は相変わらず持ち合わせている。
味わいの強さはパンフレットにある通りに、
「濃厚な旨口酒」であるのに、
飲み切った感覚は、軽やかですらある。

「きっと、酸がごく繊細なんだ」

…と思いました。
これを例えて、
工業的に二酸化炭素を充填した炭酸水と、
酵母の呼吸、発酵によって生み出される、
スパークリング・ワインのそれの様に、
とてもきめ細かい炭酸の差を感じました。
「岩清水」の酸の組成の素晴らしい状態…

「酸度」と言う数値は、
比較的”まとまった”数値であって、
その中にはリンゴ酸やコハク酸、酵母の残骸など、
全て引っくるめて「酸度」であって、
同じ数字であっても、
成分組成によって味わいは大きく異なるんだそうです。

手の中、
器の中にある今年の「岩清水」、
強くあり、また軽さ…しなやかさを持っている。
イメージは、ランナーズ・ハイの様な最高にテンションが張った状態。
強く逞しさと、柔らかさ軽さ、共存しないはずの動と静が、
良いバランスで共に生きている。

まるで、生のバナナみたいだ。
皮をペロンと剥いて、かぶり付いた。
完熟した美味しいバナナ。
それは香だけが果実感があるのではなく、
味わいもまた、果実にしか持ち合わせない甘味や、
生きる酸を感じられる。

また、空気に触れて色んな表情を見せてくれます。
ブドウならば「ナイアガラ」、
皮の裏の濃い甘味、やはりこれも香だけなら経験はあるのだけれど、
(  それは日本酒にしてもワインにしても  )
その甘味までここにある、
ただ甘いだけでない、果糖、酸が自然に織り合わさっての美味。

年々、ひとつの極み、どんな味わいが極めたものなのか…
それは分からないし、ずっとずっと追い求めて行くものかも知れませんが、
進歩している、進化している…そう感じられるものでした。

会場では、濃厚さを誉める声、
ワインや梅酒を連想させる声を伺いました。
やっぱりキーワードは酸と甘味なんだと感じます。

新酒はこれだけではありません。
市場としては、
「五割麹」は先行蔵出しと言った趣で、
平成24年醸造年度、仕込み1号は白いラベル、
「純米吟醸」が発売されております。

これは空気に触れさせる事で、より良い状態になるとのこと、
開場前にデキャンターに移してあったものが供されました。

更に華やかを身にまとって、羽衣を湛えた雰囲気。

空気に触れさせた意義がある様子で、
よく開き、かつ程好く柔らかさを伴っている様に感じます。
スマート、シャープな雰囲気を前半に持ち、
口の中で膨らみ、心地好さを維持したまま解けて行く。
包容力のある、とても端正な顔立ちの青年を思い浮かべさせます。
香は雪原にきらめく美しい光る雪のイメージ。
ブドウと言うジャンルに沿って想像するなら、
ナイアガラなどよりも、
もっと…シャルドネの様な、西洋系の白ブドウのイメージ。

「岩清水」の純米吟醸、
生も美味しいのですけれど、
火入れにしても、とても気に入っているボトルです。
「透き通る」感じ、その特長。
透明感、クリアと言う無味無臭のイメージでなくて、
本当、どう例えれば良いのか、
山間の清流よりも街にあり、
春風より冬の朝であり、赤ずきんや白雪姫よりも、
雪女の素肌の様な、そう、”透き通る”美しさ…
これが火入れ酒のイメージで、
生酒ですと、雪女がお燗酒で、ぽっと頬を赤くした感じですか。

えー…訳が分かりませんね。すみません。

人様、それぞれ、十人十色、
今年も良い酒、色んなイメージを抱かせてくれると思います。


さて。

「  ようやく上野さんへ追い付いた  」

…と思って、箸に手を伸ばします。
開会、乾杯後、ずーっと新酒のメモに夢中になっていて、
遠くの方で、
YOKOさん、Y本さん、
向かい合わせた山ノ内町のおじさまの、
大いに喜ぶ声が聞こえていて…ようやく追い付いたカタチ。

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上野さん肝入り、「旬前菜三種」…
声だけで分かります。隣のYOKOさんの歓喜の顔。
「食養生」の考えと言うか、
「あぁ、そんなに喜んでいるなら、きっと寿命が伸びている」
…と言うくらい楽しそうな声。

さて、自分も喝采の中に飛び込もうか!

【  旬前菜 三種(a)  】
【  鮮魚のチャイニーズタルタル 寿司仕立て  】

パンフレット・コメント:
食酒楽会では初めてのお刺身です。
普通のお刺身では無く、魚を中華風タルタルにしました。
酢飯と一緒にお召し上がりください。

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お刺身は、マグロ、イカ、タイの3種、
同じくらいの大きさにして、
混ぜ合わせ、形作った物の上にウニ。

ひと口食べて、なるほど”中華風”…
こうした食べさせ方は、僕にとって新しく、
「お刺身と言えば醤油」と言う概念に、
疑問の楔を快く打ち付けてくれる感覚。

香る、また舌触りで気付く、オイル感。
ただのオイルじゃありません。
ネギの香が乗ったオイルは、
ネギの旨味、旨い香が乗り移っていて、
口の中で伸びて行きます。
いや、膨らむと言った方が良いのか…。
僅かな塩気で食べる感じ。
オイルのコーティングもあって、
お刺身としての食感はプリッと元気が良いけれど、
味わいは、やや淡白なものに感じます。

酢飯は3層になっていて、酢飯と酢飯の間に、
味噌の様なものが挟み込まれています。
食べてみると、山椒の香と味噌の甘味。
酢飯の酸味も手伝って、どこか梅肉の様な爽やかさを感じます。
お米が持つ甘味よりも、
山椒、味噌など味付けされたものとの相性によって、
より一層、お米の甘味が引き立つ様な…そんな酢飯に感じました。

冒頭の挨拶では、
「お刺身とシャリを合わせる様にして食べてみて下さい」とのこと。

それぞれ楽しんだ上で、組み合わせてみますと…。

「  あっ、完成される!  」

それぞれ隣り合っていたけれど、
単独で各々の方向性を持っていた料理が組み合わさって、ひとつになる。
料理人・上野さんの狙い通りなのだろうけれど、
こんなにも味わいが生み出されて来るのか…と言うくらい、引き出される。
”完成”と感じる程の、お皿の上での変化。
ただ、本当に双方を摘まんで口に放り込んだだけなのに。

酢飯と一緒にネギ・オイルで和えたお刺身を頂くと、
お刺身だけでは感じ得なかった味が、
今、ここに「出て来る!」と感じました。
より一層、お刺身そのもの美味しさを感じます。

油と塩の雰囲気が優勢だった頃から、
酢飯が、その勢いを一気に削ぐ、
ネギ・オイルの良い部分だけ引き出して来る、妙味!
刺身の良いところ、
刺身が持ち合わせていない旨味をネギ・オイルが助け、
酢飯が包み、甘味を底上げして、山椒味噌が心地好い味わいを演出する!
ネギ・オイルの味わいに、
ウニの旨さ、コクが加わると、
更に別角度の脂と言うか…旨味がこってり重なって、
何とも言えずに旨い。

…これ、きっと食の中の酸が良いんだろうなー…と思います。
「食」にもそう言う言い方をするか分からないけれど。
お刺身と酢飯を合わせて、とても丁度良い塩梅になっている。
お酒を間に挟んでも、
それぞれの旨さが膨らんで、また特長が味覚の刺激になって、
お米、寿司、食事の様であって、きちんと酒肴になっている。

”チャイニーズ・タルタル”と言う発想と、
それだけで終わらせない組み合わせ先の創造。
また食べたい!

「  温かいものは温かいうちに…  」

前菜に続いて、スープ。
先にこちらを楽しむ事にしました。

【  湯(スープ)  】
【  特製肉団子の蒸しスープ  】

パンフレット・コメント:
シンプルな見た目はスープと具材を、
純粋に味わって頂く為です。
お団子のしっかりした食感は砂肝がアクセント。
出汁にもこだわりました。
特別純米と良く合います。

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確かにパンフレット通り、見た目はとてもシンプル。
けれど、黄金色のスープに翡翠色に見える茹でキャベツ、
満月の様な肉団子…香辛料のあしらいの無さは、
それそのものにたっぷりの美味しさを持っているもの…
…と、想像を掻き立てます。

「  …おっ  」

…と思わず笑みをこぼすほど、スープに感じる素晴らしい香。
軽くとろみが付いたスープには、
甘味ある塩、甲殻類のエキス、ホタテ様の甘味…
スープと言うより、抽出されたエキス、
混ざり合ったものを、ギュウゥーッと絞り上げ、
とても上品に仕上げた雰囲気、
エキスになってはもう原型の量や、
渾然一体となってカタチは分からないけれど、
この液体には、この芳しさには、
多くの素材が使われていて、余す所なく旨味を凝縮させたもの…と思う。

肉団子は比べて、アッサリした構成。
酒肴にもなろうと言う地味の活きた味。
YOKOさんは食感が気に入ったと言っていました。
肉団子自体は細かめにミンチしてあるのだけれど、
ここにハッキリとした砂肝の食感が加わると、
”つくね”の軟骨より、もっとメリハリがある食感と…
食感だけでなく、
砂肝だからこその味がキチンとあって、より旨い。

ただ、これもまた更にもう1段階、進化しました。
肉団子が満月の様にスープに浮かんでいる意味、
崩れ易い細かいミンチである意味は、
”肉団子をつき崩して食べる”…と言うこと、
離れたミンチとミンチの間に、絶妙にスープが入り込んで、
これがもう、えも言われぬ程、旨い。
レンゲの上にすくって、
スープごと「ガバッと」と食べた時の口の中の幸せな味わい!
全部の味が、どれかが強い…と言う訳で無く、
口の中、食む度に肉団子が、またジュワッとスープが…
…と体感できて、実に美味しいと思いました。

これには「岩清水」本醸造無濾過瓶火入れ20BYのお燗酒を試します。
本醸造が持っている少しの苦味とサッパリした感じ、
そして根底に繋がる酒の体、旨味が、
肉団子&スープの旨味が膨らむ中に、程好く引き際を作る感覚。
甘味、旨味の対角線上の味わいを重ねる事で、
より楽しむ事が出来る組み合わせでした。

さて、続いて再び3種盛へ。

【  旬前菜 三種(b)  】
【  鴨の焼物と地葱のオイスター煮  】

パンフレット・コメント:
合鴨のロースを時間を掛けしっとりと焼き上げました。
甘辛いタレで煮た葱との相性は最高です。
火入れ特別純米のまろやかさとも抜群です。

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”よく出来た料理”と言うのは、
きっと無駄が無いこと…とも思うんです。
一品と言う完成に蛇足は不要。

鴨肉、甘く炊いた葱、マスタード、菜のおひたし。

このバランスが絶妙でした。

鴨肉には強い味付けはされておらず、
肉の甘味や香も、そっと…でも確かに感じられ、
”チャイニーズタルタル”や”肉団子&スープ”とも異なる、
もっと原型の…鴨肉本来の美味しさを、とても食べ易く感じます。

これに足される葱の甘味。
葱が持つ甘さもしっかりとタレに移っていて、
強烈ではなく、穏やかなもの同士で、
じんわり組み合わさって、
食べて行くうちに、どんどん甘味で鴨肉の旨さが混ざりあって来る感じ。
この甘味にアクセントを加えるのがマスタード。
酸味がありますから、
ピリッとすると同時に甘味で撫でやかな気分になったところ、
甘酸っぱい、甘辛い…何とも言えず絶妙な美味しさで、
舌の上で繰り広げられる味わい舞台、
交互に繰り返される甘・酸がたまらないンです。

そして、最後に湯がいた菜の…
最も自然な、濃いものを頂いた後の煎茶感…
鴨・葱と一緒に頂いても、また旨い。

YOKOさん、
「すごく気に入った」コールが出るほど、でした。

最初は、

「  あ、茶碗蒸しだ  」

…と、そうした味の想像で手にしたのですが。

【  旬前菜 三種(c)  】
【  とろとろ卵と鶏チャーシューの親子カクテル  】

パンフレット・コメント:
打ち合わせで思わず皆が唸った一品。
低音でゆっくり加熱したトロトロ卵に、
数種の旨味を加えた濃厚な逸品です。
小古井君曰く「これって記憶に残る料理だよね」と。
新酒の純米吟醸とどうぞ。

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「あわわわわ!」

目の前に星が浮かぶ…と言うか。

けして、けして、けして、
見た目では伝わらない…目で見た通り、
自分の様に「茶碗蒸し風」と思う様な、
そんな想像では追い付かない、
慌てふためく様な、素晴らしい旨味!

なんだろう、
「うわー、うめー!」と言いながら、
バッティングセンターでホームランを打ちっ放したくなる様な…
高社山にダッシュで駆け上って、「うめー!」と叫びたい様な…

…こんな表現しか出来ないくらい、
飛び起きるくらいの美味しさ。

旨味の塊!
背筋に稲妻が走る漫画表現すら似合うくらい凄い旨味の量。

トロリとして、ムース状と言う程、硬くなく、
ソース…と言う感覚に近いです。
滑らかに仕上げてあって、ポタージュスープの様な見た目。

濃厚!…とは後になってから思った事で、
ひと口目、舌の上に乗る甘味と旨味、
同時に口いっぱいに広がり、鼻先まで駆け上る、
甲殻類の旨味…
各旨味の素、海老やホタテの…例えばミソ部にだって、
こんなに旨味は秘められていない…と言うくらい、
華やかで香高く、
香だけでなく、味わいもしっかり素材の旨味を感じます。

塩や醤油で味がするのではなく、
抽出し尽くしたダシの濃さだけで味を作っている…
そんな印象があります。
だから、塩気などで味を感じている自分ではなく、
溢れる様な甲殻類の旨味で感動している…それに気付く。

こってりのラーメンとか、チーズケーキとか…
最初のひと口目って、「濃厚」よりも「旨い!」と思う訳で。
それはきっと脂分、乳脂肪分の成せる技なんですね、きっと。
しかしながら、このカクテル、
そうした”油だからこそ”の…瞬間最大旨さが最初だけ…とは違って、
素材の、どうしたらこんな組み合わせを思い付いて、
実現できるか分からないけれど、
最後の最後まで、舐め取る様にすくって食べても、
いつも必ず、とても旨い。
油分ではなく、素材同士の自然に寄り添った造りだからこそ、
最高に良い状態になっているんだなぁー…と想像します。
思い返しながら、
この文章を書いていますが、正直、すごく辛いです。
口の中が思い出して辛い。それ程に旨い。

”親子カクテル”と言う事で、中には鶏肉も入っていました。
甲殻類の香がまず強く感じていたけれど、
ソースでは、
更に鶏肉の旨味と香がバックボーンになっているんだろうと思うんです。
ただ、鶏肉そのもの、食べてもダシガラみたいに味が抜けている…
…そんな事はもちろんなく、きちんと調理されていました。

最初は鶏肉に対して「炭火かな?」と思いました。
それ程に香ばしい匂いがします。
炭火特有の爆ぜた匂いに似た感覚なんです。
鶏肉に飴色の照りを乗せて、じっくり遠火で焼いた感じ。
甘やかな、とても香ばしい匂い。
北京ダックや壷焼きのチャーシューで感じる香がありました。
しかしながら、後々伺ってみると、フライパン調理。
「フランベをして香を付ける…燻製の様に」…とは、
上野さんに、その後伺ったお話。

それぞれ別の香、独立した香なのだと思います。
甲殻類、鶏肉の香ばしさ。
これを卵のソースで上手にまとめ上げた逸品。

「小古井さーん!僕ぁ、これ大好きですよー!」

…と、伝えると、

「でしょう!?これ、凄い旨いでしょう!?
    記憶に残る味でしょう!?」

…と、興奮が興奮を呼ぶ美味しさでした。

パンフレット・コメントにも、とても納得。

【  海鮮炒め  】
【  牡蠣と冬野菜のオイスター炒め  】

パンフレット・コメント:
食べごたえのボリューム感を出しながら、
旬の牡蠣の風味を損なわない、
やさしい味わいに仕上げました。
冬野菜の甘味と、
お燗をつけた特別純米の旨味が絶妙です。

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牡蠣、どう仕上げたら、
こんなにふっくらふわっふわの状態を
維持していられるんだろう…と言う程に、
ツルンとした舌触りを残しながら、
しっかりと熱が加わっていて、
熱を加える事によって、
締まって小さくなる事が多い牡蠣、
温物、熱々の料理でこんなにも美味しいと感じた事は、
今まで、自分の経験では初めての事でした。
「フリッターみたいなイメージで…」とは上野さん。

牡蠣エキス、生姜…そうした香を楽しみながら、
冬野菜の甘味が地にしっかりとあって、
日本酒を美味しく飲ませてくれます。
なんてオールマイティな料理!
しかも温度があっても美味しく、少し冷めて来ても美味しく、
今日は「中野土びな」の特別純米に合わせる事を主体にしていますが、
他の「岩清水」のどれにも合い、
また「岩清水」に限らずに、色んなお酒に合わせても楽しむ事が出来そう。

何より、
オイスターソースがちゃんとオイスターしていて旨い。
牡蠣の味わいがしっかり感じ取れる、これが嬉しい。
”オイスターソース炒め”は中華料理で、よく登場し、
また家庭でもオイスターソースは手に入るので使いますが、
牡蠣のエキスで仕上げられたソースであっても、
オイスターソースを使う事で、あたかも牡蠣があるかの様な感覚は、
自分はなかなか感じないと思っています。
「カキ油」と言っても、
ガーリックオイルの様なフレーバー・オイルとは異なる。

この一皿、全体に響き渡る牡蠣感はどうでしょう!
これこそがオイスターソース!
旨味溢れる香!
牡蠣の旨味は、冬野菜が出す甘味と一体になって、
双方の良い部分を組み合わせる事によって、
相乗効果、引き出されていると思いました。
味も染み込んでいるのに、
きっと煮た、炒めた加減が、本当にちょうど良いのでしょう、
食感をしっかり残したまま、頬張る美味しさ。

「中野土びな」ラベルの特別純米酒は、
とてもシンプルに米の旨味を湛えた雰囲気の日本酒で、
打てば響く、
ここぞと主張する牡蠣の味、
ほっくり甘味、冬野菜の味、賑やかなお皿の中に、
ご飯を持って来るかの様な組み合わせで、頂く事が出来ました。

この辺りで再び「五割麹」を試してみると、
今度はメロンの様な…完熟のメロンを思わせる雰囲気を感じました。
食材や温度の差、空気の中で、
色んな表情を見せてくれる様で、
どの角度でも、酒の体はしっかりしていて、
求める味わいを返してくれる様な…そんな印象に感じました。

【  鶏煮込み  】
【  鶏モモ肉と手羽先の白湯煮込み  】

パンフレット・コメント:
モモ肉と手羽先はそれぞれ最高の状態になる様に、
火入れの時間を変えています。
鶏ガラからとったスープも使い、
鶏の旨味たっぷりです。本醸造のお燗でお試し下さい。

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見るからに、しっかり煮込まれている…と思える雰囲気。
餡のとろみと言うより、
全体的に、たおやかな見目、手に取って口にして、
想像していた通りの、ほろほろと外れ、柔らかく…噛り付くより先に、
口の中に飛び込んで来て、何とも言えず…旨い。
もちろん味は付いているのだけれど、
これも付けられた”味”を味わうと言うより、
素材の中から出て来た風味、
本来の美味しさが味覚を楽しませてくれる料理と感じました。

一緒に炊いたと言う鶏白湯が、きっと相当に美味しい…
そうしたトロミの中の香、コラーゲンがきめ細かく融け混んだ舌触り。
鶏白湯の淡白さを、まず感じて、
ここに鶏肉の旨味が飛び込んで来る、
噛み締めて、香を感じた頃に、
再び、鶏白湯の餡味が覆い、これを繰り返す感覚。
全体に穏やかで、ナチュラルな雰囲気なのですが、
ここに「岩清水・本醸造無濾過瓶火入れ」が加わると、
一層、彩を感じます。
「中野土びな・特別純米」だと、
日本酒が持つ甘味、美味しい甘味が、
より落ち着いた雰囲気になり、それはそれで美味しいし、
心地好いのだけれど、
「本醸造」が持つ酸は、更に全体を膨らませる…
食べるルートの中には、景色を作る様な感覚に思います。
冷酒で口の中を洗う様に頂くより、
鶏スープの旨さをいつも感じたまま、
温かさ、燗酒と合わせると美味しい一皿でした。
ただ、当時、やや温度が上がった新酒の
「岩清水・純米吟醸」とも、美味しい相性でした。
「本醸造」より、更に華やかさを持つ「純米吟醸」、
軽いタッチで鶏肉と合わさって旨い。

色々と飲み比べながら、楽しみました。

メインディッシュ…いや、メインイベント?

食卓に置かれていた、ガスコンロ。

これを使った料理、登場です。

【  お鍋  】
【  白菜と豚肉の四川煮込み ジュージュー鍋仕立て  】

パンフレット・コメント:
唐辛子の程良い辛味と中国山椒の香りが食欲を刺激します。
熱した油で一気に仕上げますので、
油の跳ね飛びにご注意ください。
香ばしい香りと賑やかな音で演出します。お楽しみに!

Dscn0674

「〆は、鍋かなぁ…」と、
ガスコンロで条件反射的に思ってしまうのだけれど、
いよいよ、と置かれた鍋の上、想像と異なる。

何か薄く…液体が敷かれている様子。

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このまま点火を迎えます。

「えっ!?」

鍋の中身がないじゃないかー…と思うも束の間、
振り返って見るとーー…

Dscn0676

いつの間にか用意されていた具。

Dscn0677

油が跳ねるかも…と言うので、
用意されていた紙で、「わっ」…と鍋の周囲を取り囲みます。
鍋を囲んでいる今宵の飲み仲間との共同作業は、楽しいです。

Dscn0678

投入!

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ジュバァ…グツグツ…

「おおー」…と感嘆したのも寸時、

10秒も経たない内に、コンロの火は落とされます。

「  さぁ、どうぞ!  」

…と、上野さんは仰るのだけど、
さて、点火から、ここまで30秒も経っていないやも知れません。

Dscn0680

正直に、当時の自分を思い出すと、
「ど、どうぞと言われても…」と言った心境。
「もっとグツグツ煮ないのでしょうか?」とか、考えていました。
「鍋物かなー…」と安直に考えていた地点から、
一気に完成まで駆け抜けました。
狐に摘ままれた様な感じ、
きっとこれは既に「細工は流々」であって、
目の前で繰り広げられた事は「仕上げを御覧じろ」…と言うこと。
未知なる料理に、最初は戸惑いもしましたが、
それこそがサプライズ演出らしくあり、
今ではとても楽しかった記憶。

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取り分けました…の図。
鍋なのか、焼き物なのか…この料理には、初めて出会います。
どんな味わいか…
きっと僕らだけでなく、会場みんな、とても興味を持って、
すごく楽しみに口に運んだ事でしょう。

「  …!  」

火を掛けた時間が短いから、あまり熱くない…と思ったら熱い…
わわわ、中国山椒の香が、すごくイイ…と思う、
ここまで、ほんの一瞬。
頬張ったお肉が口いっぱいに広がる…すると……

「  !?  」

「  にく、すぅ…っごくウマイ!  」

「  俺、やった!人生に勝った!  」

…大袈裟でなく、本当にそう思いまして。

このお肉を食べた時の感動ったらありません。
食べた自分に驚くくらい旨い。
見た目とか、匂いとか、想像していたものを遥かに凌駕して旨かった。

一見、湯気があまり立って見えないのだけれど、
芯は、ごく熱く、
ほとばしる香、中国山椒だけでなく餡の甘味や肉、エキス分、
これらはある意味で上立ち香、
食べた時の豚肉の豚肉らしい味わい、甘味、旨味は、本当に感動しました。
自分も大好きだけれど、
「豚×煮込み」料理の大定番、
「角煮」に対して”角煮は味がありすぎる料理”…とさえ思うくらい。

豚肉本来の旨さ、
シンプルで、どこか淡白とすら思う旨味部分、肉味は、
「角煮」ならば、
味付け、染み込ませている味が主体になりますが、
これは、この料理は、
本来の豚肉の美味しさを活かしたまま、
見事にダシ、餡の味わいで覆われて、
強く染み込んでいない分、
より一層、豚肉の美味しさをド直球で味わっていると思う。
程好い味わい、加減が絶妙。

熱さ、辛味、そうした美味しさの中で、
中国山椒の弾ける様な鮮やかで鋭い香は、
旨味いっぱいの鍋の中で、いつまでも何度でも輝く様に立ち上がって来る。
そう思うと、
本質的に僕は豚肉は、
茹で豚…シンプルに、豚料理として淡白に食べたい、
食べたら美味しいと思っていて、
だけれど、ただ茹でただけでは贅沢だけれど美味しく食べられない訳で、
調理調味と言う相棒役が必要で、
四川風、辛味とごく強い香をまとった今日の餡は、
白地の豚肉のキャンバスの上で、衝撃的とさえ言えるくらい、
めいっぱい猛り、踊った様な…そんな感じです。
豚肉がシンプルだからこそ、味は栄える。
組み合わせの妙、この極致と感じました。

…日本酒も合間に飲んでいたけれど、
それは小皿に取った1回分を食べ尽くしたあと、
おかわりした後半の話で、
正直、旨過ぎて、前半はお酒と共に…と言う余裕がなかったです。
素晴らしい。
「味が強そうだ」と思う事なかれ、
流石…と言うか、会は18回も重ねている「食酒楽会」です。
感動は大きいけれど、
ビールで流し込まないと食べられない様な、味の強さではなく、
程好い…本当、日本酒に程好い度量になっていて、
「本醸造」「特別純米」などにも良いし、
「五割麹」でも美味しく頂いていました。

いやぁ、腹いっぱい!

…鍋の興奮冷めやらぬ中、締めの一杯が登場。

【  〆(しめ)  】
【  三幸軒定番 担担麺  】

パンフレット・コメント:
最後に当店人気の担担麺をご賞味頂きます。
白胡麻のコクとマイルドな辛さが絶妙。
まったり絡むスープが、長い余韻を残します。
今宵の〆の逸品、ご堪能ください。

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フルサイズ!?…と思う見た目。
スープはたっぷり、
麺は半分くらいの量で盛り付けられていました。
わー、これは食べ切れないかも。

Dscn0684

わぁ、これ口に入って行かないかも。

そんな言葉を口々に吐き出しながら、
気が付くと、するすると、ひと口、またひと口。

胡麻の香、胡麻の甘味、何だかいつまでもすすっていたい感じ。

アッサリした中華そばや塩ラーメンでも、
〆と言うものは良いかも知れないけれど、
この何とも言えない、胡麻の甘味は後を引く…
すごく幸せな心地になる感覚。
お腹はいっぱいなのだけれど、人好きのする甘味、
裏にちょっぴりの辛味、
少し硬めに茹でられた麺のぽくっとした食感。

今日の最後に「担担麺」を出すと言う、
その選択、感性が本当に素晴らしいと思いました。
〆って、アッサリ口直しして帰りたいんじゃなくて、
最後の最後まで、心地好い食事で満たされたいが為に味わいたい。
入りは軽く、挽き肉の粒を噛み締める、
胡麻の香で満たされる、余韻にちょっとの辛味がまたひと口を呼ぶ…
「食べ切れないかも」なんて思っている内に、
「あぁ、麺が終わっちゃった」と思うほど、夢中で食べていました。

あぁ、何とも素晴らしく!

ご馳走様でした!


「岩清水」小古井宗一杜氏は、

「完熟麹で完熟醪を目指す」

…と造りの目標を掲げておいででした。
完熟の…理想の麹であるからこそ、
無理なくお米が融ける…発酵に繋がる…
醪を長期低温で長く引っ張る事で、
じっくりじっくり麹自身の力で頑張って、
完熟と言う最高の状態を造り出してもらう…
多くの杜氏さんが仰られる事ですが、
「人間は酒造りにおいては環境を調えるだけ」
…寒ければ毛布を掛ける、
暑ければ扇風機を出す…それくらいしか出来ない訳で。

小古井宗一杜氏にお話を伺うと、
いつも、とても色んな事を考えていて、
カードを目の前に広げて、
それぞれの有利点、不利点を様々な角度から考えていて、
誰かが「いいよ」と言ったものではなく、
自分の造り、
自分の理想に合わせて、
「いちばん、これが正しいんだろう」と言う道を、
直感もあるでしょう、
けれど、きちんとした理論を伴って正規化して進んで行く。
そうした進化して行く日々を過ごしているのだと感じます。

小古井さんは、すごくすごく頑張っている。
三幸軒の上野さんも、今日の料理を見れば、
どれだけ頑張ったかって言うのは、分かる。
こんなに工夫してあって、
「言うは易し」と言う中で、美味しさを実現している。
言うが易いなら、行うは難し、
料理への情熱、創造性って素晴らしい。
そして、
18回続けて来た…善光寺屋さんの尽力も無くてはならないもの。

みんなみんなが、素晴らしい心を持って取り組んでいる。

中野市に来る度に、元気をもらえる。

美味しいから…それも、もちろん理由にあるけれど、
「自分も頑張りたい!」
…頑張っている、見ているだけで誇らしい仕事を感じるから、
僕も僕自身が出来ること、目指すもの、
今、やりたいと感じるものを、
一生懸命に、取り組みたいと思う。

今回のブログ、出来るだけ早く更新したいなぁー…
…と思ったけれど、なかなか時間が取れなかった。
その中で、「じゃあ、簡単に書いてしまおう」とは、
とてもじゃないけれど、思えなかった。
感動を伝えたいから、一生懸命に書こうと思った。


さて、長く書いて参りました。

新しい命、本年度「岩清水」に出会い、
趣向を凝らした料理、笑顔溢れる宴席、
YOKOさんとふたりで、
いや、あの場にいた皆で、
めいっぱいの、十二分の、腹一杯に満たされて、
楽しんだ素晴らしい日、申し上げて参りました。

「  美しく咲けば 皆が寄って来る  」

古今亭圓菊師匠の座右の銘であります。
咲く姿を今年も拝見できて、
一緒の時間を過ごす事ができて、
また再び、中野市に訪れるまで、しばしのお別れ。
名残惜しく感じながら、
2月22日、あの夕べを思い浮かべて、心を温かくする。

ちょうどお時間となってございます。

ありがとうございました。

ありがとうございました。


さて。

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翌日は善光寺屋酒店さんに立ち寄りまして。

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丸世酒造店「勢正宗」にて新酒を買い求めまして。

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井賀屋酒造場にて、
色んなお話を伺って、松本へ帰ると言う…
そんな、何度も繰り返している翌日でした。

何度も何度でも繰り返します。
何度も何度でも中野市に来て、楽しみます。
人に会い、元気をもらう…
僕とYOKOさんは、この旅が大好きなんです。


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コメント

22日はありがとうございました。

SOJAさんのブログをみるとすごくやる気が出てきます!
最初はここまで続くとは思っていませんでしたが、自分の作りたい料理、美味しい岩清水をお客様に喜んでもらい、直に感想を聞ける。今では主催者側も楽しくやらさせてもらっています。

今年は節目の20回も待っているのでガンガンやっていきますよ〜。

また中野に遊びに来てくださいね。

投稿: 三幸軒(上野) | 2013年3月 8日 (金) 22時02分

上野さん、読んで頂きまして、
本当にありがとうございます!
そして、当日は本当に楽しかったです!
素晴しい会、
とても満足の行く会でした!

一生懸命に仕上げられた会、
向上心の潮流がそこにあって、
触れる事で刺激を受ける、元気になれる…
本当にそう感じています♪

その後、ぽんぽこの湯も再開されたと伺いました。
また食べに行く日、そんなに遠い日でなく遊びに行く事が出来そうです♪
その節は、どうぞよろしくお願い致します!

投稿: SOJA | 2013年3月 9日 (土) 09時20分

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