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2011年12月11日 - 2011年12月17日

2011年12月16日 (金)

第14回・食酒楽会(2011年11月4日・中野三幸軒)

えー、
誘惑箇所の多い中、
取り分けてお越し下さいまして、
誠にありがとうございます。
気楽なところで、
一生懸命、書いて行く事にしております。
どうぞ、よろしくお付き合いの程を、願っておきまして…。

ええ、一殺多生…なんてぇのは、
世の権力者の心理なんて申しまして、
転じれば、何かしくじりとか、マイナスがあって、
負の側面がありながらも、
良い結果を残す…なんて事にも言えるんじゃないかなぁ…と思うんですな。
まぁ、戦国の世が世なら、
お大名様は、ご自分がその“一殺”になったりもしちまうもんですが…。

えー、私どもで申します“一殺多生”なんてぇものは、
ごく他愛ない、可愛らしいもので、
こう、何かを嗜むと、何かを取りこぼすてんで、えー、
今回の「食酒楽会」は、メモを置いて参りましたよ。ええ。
こうして、おしゃべりする為の基盤となるメモ!
もうね、傍らに置いていたんですよ。箸の横にメモ…なんて感じで。
たまさか、メモを取ろうと間違えて箸で紙ィなぞったり、
それでも忘れて来たんです。

でもね、それと申しますのも…
ね、何故置いて来たんだってぇ事なんですが、
この忘れたと言う“一殺”に対して、
本当に多くの“多生”があったもんだから、これは仕方がない。
ええ、心行くまで、日本酒と料理とを楽しんだ…と言う事ですな。

さて、そんな日本酒の夜会を申し上げるお支度が調いました。
おあとがよろしいようで。


【 2011年11月4日 】

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【 中野市・三幸軒 】

【 第14回・食酒楽会 】

本当に、
本当にいろいろあって、11月4日の僕とYOKOさんは、
何とか三幸軒に辿り着いたッ!…と思った。

いつもは姨捨のサービスエリアで休憩するし、
そもそも、ホテルにチェックインしてから、
こっちに来るはずだった…だったけれども。

中野インターを降りて、長い下り坂あたりで、
数分はごまかしている車内時計が19時頃、
「これなら行ける!これなら間に合う!」…
…なんて言っていた頃ならば希望を持っていたけれど、

松本を出たあたりでは、
それなりに「わわわわわ」となっていた訳で。

でも、何とか、みんながみんな、
すっかり無事で今、ここに在る。
僕らは、19時ちょっと過ぎに三幸軒に駆け込んで、
「間に合った、良かった」と言い、
小古井さんに会い、関さんに会い、
座った席のお向かい、
差し向かいの位置には、お馴染みのY本さんがいて、
背中に「酒」の文字の法被で善光寺屋さんがいて、
きっと厨房では上野さんが、今頃一生懸命に料理を作っている。

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うん、たぶん、
僕が中野市で見るべきお顔、会いたいと思う人たちに会えて、
その笑顔の中に飛び込んだからこそ、実感……
僕らはやっと「ほっ」としたんだと思います。

僕は3回目、
YOKOさんは2回目の「食酒楽会」への参加。
前回、初めて参加した時のYOKOさんの喜び様は、
僕は一緒に飲んで食べてをしていただけであるけれど、
“連れて来た”と言う所で、とても誇らしかった。
食と酒の相性、組み合わせ、マリアージュは、
よく謳われるもの…けれど、
こんなにも体感したのは、味わったのは、
この食酒楽会での楽しみが金字塔を打ち立てている。
松本から宿を取ってまでも来たいと思う。
それが僕らにとっての「食酒楽会」であり、
僕は僕で、敬愛する「岩清水」の蔵元を囲む会、
そして、大好物の三幸軒の料理を楽しめるとあっては、
行く価値がある、行く甲斐があるってぇモンで。

「間に合う」「間に合わない」に、
こんなにも一生懸命になったのは、
それだけ楽しみにして、それだけ大事に思っているからこそ。
さぁさぁ、お楽しみの幕開きとなります!


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「食酒楽会」に良いところは多くあります。
その中のひとつに、パンフレットの出来の良さがあり、
過去2回の参加においても、
その見易く、分かり易く、今晩の指標になるべく作られた、
ごく素晴らしい、主催者さんの研究を感じられるパンフレット…
これが良い、ここを飲んで欲しい、合わせて欲しい、
そして楽しんで欲しい…そんな思いが伝わるものなのです。

伺えば、
全ての料理は1度以上試作をし、
料理人が独り、試すのではなく、
蔵元も含めた主催者側で試作会を開いて検討し、
良い所は伸ばし、改善点は直し…そして当日を迎えるのだそうで。
その努力を、心意気を言葉に表したものが、
「食酒楽会・本日のおもてなし」パンフレットなのです。
今回もまた、パンフレット・コメントを添えて、
ブログ「酒 宗夜」、感謝を渾身の一筆に代え、書いて行きます。


【 乾杯酒 】

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乾杯酒は、
中野市「勢正宗」の伝家の宝刀、
純米無濾過生原酒、
“全国的に珍しい”熱掛四段、
平成22酒造年度醸造ボトルから!

パンフレット・コメント
→本日のゲスト蔵、丸世酒造店「勢正宗」の特別限定酒
 「熱掛四段・純米無濾過生原酒」です。
 通常の三段仕込みに、蒸したもち米をサッカーボール大の
 おにぎりにして、もろみに投入し、四段とします。
 そのまま一晩寝かせて搾ると、ふくよかな旨味が増して、
 厚味のある味わいのお酒となります。

全国的に、
この「熱掛(あつがけ)」と言う方式を実施する蔵元は少なく、
近隣では、
例えば新潟は妙高市の「千代の光」や、
群馬は前橋市「かつらがわ」ぐらい。
多くの蔵元は「四段を打つ」場合は、
蒸米の融け易さを考慮して、
元々、米をある程度水と合わせたもの…
甘酒四段を使う場合がほとんどだと思います。
熱掛…故に、勢正宗らしい味わいが生まれる。

乾杯を経て味わってみると、
甘く、濃醇でメロンの様な香味があります。
生酒のまま夏を越して来て、味わいは一層熟れて美味しい。
生熟の気配はなく、張り、充実感があります。
けれど、それは強過ぎずに、
心地良くまろみを伴う中盤を経て、
キリッとした締め括りと、
同居しての関さんが醸す酒に生きる、
優しい感じが印象として残ります。
常温よりも少し低いくらいの温度域が、
いちばん僕は好み。
爽やかさと旨さがちょうど良いんだ。

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乾杯!


「勢正宗」丸世酒造店・関さんのお酒について先に書きましたが、
式次第と致しましては、乾杯の前に開会の挨拶がありました。
僕らの目の前にはお料理が届けられ、
それぞれの袂には日本酒を用意して、善光寺屋さんが声を掛け、
今回の食酒楽会、
ゲスト蔵である関さんからも挨拶を頂戴します。
そんなにかしこまった言葉で自分も書く事はないんですが――…

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…なんだか背筋を正したくなると言うか、嬉しくて。
「岩清水」も「勢正宗」も、
僕は日本酒を楽しんでいる人生の中で、
この2蔵の酒は、無くてはならないくらい大好きだし、
ありがたいことに、同じ時代を共に生きている。
岩清水を醸す小古井さんも、
勢正宗を醸す関さんも、僕は大好きで、
そうじゃなかったら、
酒落語で両蔵をテーマに書いたりなんかしない。
第3弾の「のぼり鯉」は勢正宗を、
第5弾の「中野土びな」は岩清水をテーマに書いた噺。

こうしてひとつの場に、
「岩清水」と「勢正宗」がある。
すごく幸せな気持ちで、関さんの挨拶を聞いていました。

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「甘口、辛口、ひと口で何が良いかとは難しいから、
 それが日本酒の奥深いところ…」と言う関さん。
あくまで辛味と言うものは、
生物学的に舌の機能から言えば、刺激でしかなく、
するってぇと、日本酒の辛味とは刺激か?…とすると、
飲んだ方なら分かるでしょうけれど、刺激とは異なる感じで。
味わって、甘味と言うのは人間には大好物。
分かり易いから反対のものに「辛口」と名付けた様な…
…辛口と言うものにも、
様々な種類と言うか感じさせ方があって、
奥深い…そんなお話であり、
また長野県内屈指の名杜氏、岡谷・高天の伊藤訓杜氏の言葉…
新聞記事から、
理想の酒は「舌先でほんのり甘味を感じる辛口」とあることなど。
日本酒にまつわるお話を聞かせてくださいました。

【 旬前菜 】
【 和牛ロースのステーキと里芋サラダ 】
【 天使の海老の軽い炙り 】

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僕は乾杯酒のメモを取っていたのだけれど、
すぐ隣…早速箸を伸ばしたYOKOさんから、
「ねえねえ、美味しいよ~!」とお呼びが掛かります。
お呼びが掛かるくらい、初っ端から喜びの味であった様子。

そもそも「豚か牛か?」と言う問いには、
僕もYOKOさんも「豚肉のほうが好き」と答えるタイプで、
普段使いも牛肉を買った試しがありません。
そんな僕らが、
「ああ、牛肉ってこんなに美味しいんだ」と久し振りに思ったメニュウから!

「 和牛ロースのステーキと里芋サラダ ~山椒香る麻辣ソース~ 」

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パンフレット・コメント
→適度な脂のさしが入った、旨味のある牛ロースを、
 甘味噌で焼き上げました。
 里芋サラダ、ソースと共にお召し上がり下さい。

YOKOさん曰く、お肉がすごく美味しい。
乾杯酒とも合うし、ちゃんと美味しい味がする…とのこと。
好物の里芋をしつらえてある里芋サラダも、
「とろっとしてふわっとして美味しい」とのことでした。

なるほど、牛肉は“旨い!”と思わせるもの。
香がとかく良く感じました。
牛肉の香、それ自体も美味しさとして拾いますが、
なるほど、味噌に裏打ちされる人好きのする良い香が、
牛肉の香を更にふくらませ、
また味付けの中に豊かに存在していて、
甘味、牛味があって、白ネギが相反した刺激になって美味しい。
味噌の旨味を静かで豊かな平原とするならば、
白ネギのアクセントは陽光と言った心持ち。

里芋と牛肉の間には、
玉葱か何かのチップがあって、食感に彩りを添えます。
多芸と唸りたくなる構成。
ミシッとした牛肉の旨味、
ナチュラルな里芋の美味しさに、
硬く香ばしいチップを挟み込む…一品にも工夫を感じられて素敵で。
里芋はサラダと銘打ってあるけれど、
里芋をとかく食べやすく練った様な印象で、
YOKOさんが喜んでいた様に、
ごく舌触りが良く、あっさりとしたものでした。

思い返すに牛肉には蜂蜜の様なコクが見え隠れしていたように思います。
全体に心地好い甘さが香っていたな…と。
カリッカリのトーストに蜂蜜を掛ける…
それは想像するだに美味しそうではないですか。
それを味噌と牛肉で香ばしく旨味を乗せて表現していたと感じます。

続いて、前菜のもう一品。

「 天使の海老の軽い炙り ~シンプル葱醤油で~ 」

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パンフレット・コメント
→本日の目玉食材のひとつ、フランスで最高品質の
 証明である「クオリサート」認証を受けた海老です。
 素材を生かすように軽く炙りました。
 甘味と旨味をご堪能下さい。頭の味噌もお酒と共に。

ネギ醤油をちょんちょんと付けて、
身の真ん中から、ひと思いにガブリとやります。

“海老が旨い”と書くと、どんな香を想像されるでしょう。
どんな旨味を想像して頂けるでしょうか。

海老の味が濃い、海老の甲殻の香…
例えばお味噌汁が海老や蟹の殻で劇的に海の味わい深くなるとか…
それをきっと「海老が旨い」と人は言うと思うんです。
事実、自分自身もそう思います。

天使の海老、そうした海老の強い香に攻め込まれない…
海の差なのか、名声の由縁なのか…
透き通る旨味があって、肉質の差を感じました。
水の違い、気候の違いを感じる味わいの差。
硬い殻に覆われて、
赤いボディに身を包んでいるもののイメージで食べると、
その上品で浮き足立って小躍りしそうな味わいに驚かされます。
なるほど、“天使の海老”…
海老が旨い。海老が旨いけれど知っているエビ旨さではない。
でも海老が旨い。
何に近いって言えば、甘エビに近いのだけれど、
甘エビに肉の繊維を加えて、歯触りをプリッとさせた様な…
それにしてもご説明し切れない海老味なんですね。

海老の味わいに乗るネギと醤油の塩味とコクも良く、
また相反するところに存在する香菜(シャンツァイ)が利いて、
本当に美味しく天使の海老を楽しむことが出来ました。
パンフレットにあった海老の味噌も旨味の凝縮感が、
無理なく伝わって美味しかった!

YOKOさんと僕の感想としては、
「もっとあっても良かったなぁ」と後ろ髪惹かれる思い。
でも、きっと今以上にあったなら、
それが主役になり過ぎてしまいますからネ。
天使の海老を知り、また食べたいな…と思わせてくれた事、
これは、とても良い経験であったな、と思います。


差し向かい…左手側にY本さんが座っていたのだけれど、
そのお隣には、丸世酒造店の関さんが座って下さいました。

お持ちになったお酒は、
先程のもち米熱掛四段仕込み・純米無濾過生原酒のほかに、
火入れをした22BYのもの、19BYのものとお持ちでした。
(今時分、世間を賑わせている新酒と名の付くものは23BYとなります)

特に19BYの素晴らしいこと!
とても綺麗な酸を感じました。流麗。
19BYは、それはそれで飲んだことがあって、
力強く美味しい印象を当時持っているのだけれど、
こうした熟成を辿るとは!
流石としか言い様のない美味しさで、
ある部分は洋酒っぽさを想起させる熟成なんですね。
よく熟成されたダークラム、
もしくはローランド・ウイスキーのバーボン樽長期熟成品の様な、
かぐわしい素晴らしい香と酸の融合、そして気品。

酵母は金沢酵母…きょうかい14号酵母なんだそうです。
ベースとなる香はよく知っているのだけれど、
新酒の頃にも19BYは、
14号系だって話した記憶も思い出せばあるけれど、
こんなにも上品さを兼ね備えた香になるんだ!…と思ったのは新発見!
…なんて感じていましたが、
なるほど、ふと思うと石川県の銘醸「菊姫」のそれをなぞらえると、
共通点がある様な心持ちが致しまして。
熟成の神秘を感じました。

YOKOさんも、ニコニコのお味でした。
熟成した日本酒は、たまさか苦手なものもあるYOKOさん。
この勢正宗は、奥に古酒っぽい香を拾うけれど、
それ以上に美味しく、今日の会の“イチバン”だと言います。
(その後、五割麹の燗酒にも感動し、
 両蔵に最高に美味しい1本を見つけるのですが)
自分が盃を目の前に置き、メモを取っていると、
「いただきー」と盃を持って行ってしまうくらい気に入ったそうです。

【 点心 】
【 小布施栗と豚肉煮込みのパリパリ春巻 】

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パンフレット・コメント
→大粒の小布施産の栗を使用しました。
 チーズをつけながらどうぞ。
 栗の甘味と勢正宗のまろやかな純米酒がよく合います。

合わせたい日本酒は、
旭の出乃勢正宗・純米酒や勢正宗の普通酒。
普通酒、またはレギュラー酒とも呼ぶ、
日常飲んで頂ける、特にリーズナブルな価格設定の日本酒…
長野酒メッセで今年は304種類を試飲した経験から言っても、
勢正宗と岩清水の普通酒は、
県内屈指の美味しさだと僕は感じています。
勢正宗の普通酒と言うのは、
柔らかくて、変なくどさがなくて良い塩梅。
岩清水の普通酒“秀撰”は、スペシャリテと言う感じがしますね。

春巻、ホクホクとしているのは栗なのでしょうか。
揚げられた香ばしい匂い、甘味をまず感じながら、
割って出て来る豚肉の味わいが広がります。
豚肉は煮込まれた味わいが良いのか、
それとも餡が、よく豚肉や春巻皮にマッチしているのか、
驚くべき統一感があって、
栗の旨さが融合し、かつアクセントの様に、
肉味、餡味の中で、燦然と主張して来る感覚。

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内包される奇跡を感じるくらい、僕は美味しいと思ったし、
YOKOさんも「すっごいすっごい美味しい」と言って、喜んでいました。
中華料理で栗を食べるのは初めてで、
更には豚肉とこんなにも美味しく、
こんなにも相性が良いものだとは知らなかった…とのこと。

うん、確かにこんな春巻は食べた事が無い。
煮込んだ豚肉の味わいが融けているのか、
こんなに味の良い餡があって良いものか…とすら思う。
香の甘味に栗が一役買っていて、
たぶん、春巻の中、揚げられる…熱が通される中で、
最高の融けあい、絡み合いを経ての味わいなんだろうな…と思う。

パンフレットの別項に、
小布施栗は全国的に有名で、お菓子の需要が特に多く、
良質で大振りのものは地元では数が少なく稀少品とありました。

加えてパンフレットの紹介文より、

“濃密な果肉、色つやの濃い、
 豊かなフォルムの小布施栗は、
 農家の人々の品質改良に注いだ努力の賜物です。”

栗において「濃密」なんて言葉、これまで聞いた事がありません。
でも、けれども、今ならばその言葉を選びます。
選ぶ旨さが分かります。

付け合わせのミョウガがまた美味しかった。
甘酸っぱさ、酢のキリッとした感じが、
付け合わせとしての妙と言うもの。

そしてチーズ!
チーズもよく合っていました。
春巻にチーズと言うのも試した事が無かったけれど、
春巻そのものが、すっごく美味しいから不要の様に思ったけれど、
いやいや、けしてそんな事は無くて、
美味しさの重なりに、とても重要な要素としてあって、
甘い香、栗や豚肉、春巻の香、きつね色に揚げた香、
その雰囲気にチーズの香が利いて、
また味わいもマイルドさ、甘味をより引き出してくれるんですね。
こりゃあ、旨い。
写真には、あまり良く写してあげられなかったけれど、
ものすごく美味しかった~!

全体的に甘味が美味しい構成に、
勢正宗が持つ優しい甘味が、よく合いました!
僕はどちらかと言うと普通酒の方が、より合うと思いました。
同じ香がする、同じ甘味がする…
だからこそ織り重なって美味しい組み合わせだと思いました。

【 海鮮 】
【 スルメイカとブロッコリーの葱塩炒め 】

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パンフレット・コメント
→イカの淡白な旨味を楽しめるように、
 さっぱり葱と塩で炒めました。
 いくつもの食感と、軽く飽きない味わいに仕上げました。
 岩清水「本醸造」のやさしい酸が旨味を増してくれます。

合わせたい日本酒は、
岩清水・本醸造・無濾過瓶火入れとのこと。

「これだよ!」と思いました。
どこかで中華料理を食べていて、
「あー、この料理を岩清水と合わせたら旨いンだろうなー」…と思う。
思う味わいがまさに「これだよ!」と言う感じ。
岩清水と三幸軒の王道的組み合わせ方だと思いました。

イカには生姜の香が乗っています。
全体に上手に広がっている生姜の甘い香。
部分部分にヒリリと生姜が息づいているのではなく、
エッセンスとして広く響いているカタチ。

岩清水の本醸造には、少し苦味があるのだけれど、
これが良く合うんです。イカを食べると岩清水・本醸造を飲みたくなる感じ、
岩清水・本醸造を飲むとイカを食べたくなる感じ。
痒い所に手が届くような合い方なんですね。
口の中を川に見立てて、
両サイドから寄って行って、ブリッジする組み合わせ。

強い油も塩気も感じず、程好いところ。
ご飯が欲しくなる味強度と言うより、
流石、酒に合わせる頃合をよく感じられるものでした。
イカの淡白さは、
しっかりした歯応えの中でよく素材の味として感じられ、美味。

【 鶏肉炒 】
【 鶏肉とバジルのタイ風炒め 】

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パンフレット・コメント
→ナンプラーをベースにフレッシュバジルと唐辛子で炒めました。
 和食には無い調味料は新鮮で、香り高い一品です。
 これにはお燗ですね。
 ナンプラー(魚醤)にだって、日本酒は合うんです。

合わせたい日本酒は、
先程の岩清水・本醸造無濾過瓶火入れの燗酒、
勢正宗・普通酒の燗酒との事でした。
加えて、次の料理にも合うとのことで用意されていた…
…小古井さんがお燗番となって、点けてもらった、
岩清水・純米五割麹・無濾過瓶火入れも登場。
一気に燗酒の流れへと、食楽は進みます。

何と言うか、転じて和の雰囲気にも感じました。
香はエスニック系、ナンプラーの香もあるのだけれど、
フレッシュバジルの洋の雰囲気もあり、
鶏の大きさ、レンコンの雰囲気は“いりどり”の様であって、
多国籍と言うより無国籍、
青々とした香が全体にあって、
鶏肉の柔らかさや味わいは絶妙で、
ひと皿のバランスの良さが、全てまとまって、
馴染みある料理、現代日本の雰囲気に感じたんですね。
よって、転じて和と思った次第。

食感を楽しむことが出来る構成も、また良かったです。
前段、イカの食感は歯応えと噛むほどに楽しい風合、
この鶏肉とバジルの炒め物には、
細かく切られたニンジンなどと、
それよりは少し大きく、食感として強く感じさせてくれたレンコン、
その間に柔らかい鶏肉と言った造りなので、
また別の楽しみを迎えた感覚。

合わせる燗酒、勢正宗は旨味を包み込むように、
時に包まれるようにした相性の良さ。
鶏肉の旨味、ナンプラーやバジルが融けた油に、
勢正宗のまろやかで柔らかい燗酒は合い、
また、岩清水は癖との相乗効果がありました。
共に特徴的な食材、ナンプラーとバジルの癖に相対して、
負けず、強く受け止めてくれる感覚でした。

更に岩清水・純米五割麹と共に頂きましたが、
詳細は次項として、この頃合には、
勢正宗のもち米熱掛四段純米原酒“ひやおろし”を頂いておりました。

パイナップルっぽい香もあり、するっと入って来る。
常温域でも美味しく頂く事が出来ました。
酸がしっかりしていて、強さが酒にあり、
こうして三幸軒の料理にもよく合っていると思います。
三幸軒の料理は塩が強過ぎず、素材の味も味付け同等に感じられる、
そして多彩。その料理のどれにも程好く応えている感覚。

YOKOさんが言います。
「このお酒、さっき関さんが言っていたみたいな感じがする」
それはつまり、伊藤訓杜氏が仰っていた言葉、
「理想の酒は舌先でほんのり甘味を感じる辛口」…
…まさにこれがそうした日本酒ではないか?
なるほど、香の中に序盤は入り易さ柔らかさ、ほの甘さがあり、
後半に伸びるに連れて強さ、味わいのパンチを感じ、
残る印象としては甘辛で言うならば辛口に属すると思います。

関さんに「先程のお話のお酒って、
まさに関さんの勢正宗ひやおろしに言えますね!」
…そう伝えると、「そう言ってもらえると嬉しいなぁ」とのこと。
もちろん元々、そう言った意味で伊藤杜氏の言葉を使ったのではなく、
“日本酒っていろいろあって奥深いよ~”…
“単に辛口ばかりが良い酒かって言うと、辛口にもいろいろあるよ~”…
…総じて、日本酒は深さがあって、いっぱい楽しめる、
そうしたお話の中に言葉を使っただけで…
けれども、
関さんのお酒が、ひとつの日本酒の理想に近付いているなら、
なお一層に23BY、これからの造りにも期待したいと思うものでした。
雪の状況にもよりますが、
やっぱり春に中野市に日本酒を買いに行きたいものです!


このあたり、日本酒と料理を楽しみながらの談笑中に、
テレビ「秘密のケンミンSHOW」で拝見した、
信州中野市で大ブームになっている
「えのき氷」についての情報をお聞きしました。
ええ、衝撃でしたとも。


【 海鮮・茸 】
【 秋鮭・ヤマブシタケ・野菜の盛り合わせ 】
【 甘酢ソースがけ 】

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パンフレット・コメント
→秋鮭、白子、食感が楽しいヤマブシタケ等、秋を盛り込みました。
 旨味の鮭に、ふわとろの白子、歯応えの茸がアクセント、
 甘酢がしっかり絡んで、素材の美味さが光ります。
 甘口の五割麹をとびきり燗で。甘酢ソースとの相性がおもしろいです。

合わせたい日本酒は、
岩清水・純米五割麹無濾過瓶火入れの飛び切り燗…小古井さん曰く、
55℃から57℃で飲んで頂きたいとのこと。

実はこの燗酒、10月13日の「長野酒メッセ」において、
304種類の試飲の中の1位の得点☆4.2を付した銘柄2つのうちの1つ。
これまで自分も何本か購入していましたが、
冷温で満足してしまっていて、燗酒にした事がありませんでした。
今思えば、なんて勿体無い、過去の自分よ。
酔っ払っている当時のメモに、大袈裟かも知れなくても、
偽りの心一点もなく、大真面目に、
「やっぱり世界一ウマイ燗酒じゃねぇの!?」と書いてありました。
長野酒メッセを経て、
1度、YOKOさんに飲んでみて欲しかった。
「美味しい」を共有してもらえたら、すごく嬉しいと思っていました。
それがこうして岩清水が育まれる中野市で、
三幸軒で、杜氏を前に飲むことが出来る贅沢。

YOKOさんも「甘みがあって本当に美味しい」とのこと。
いやあ、嬉しい。そして美味しい。
翌日、回収してもらったメモを受け取りに蔵に足を運びましたが、
もちろん、購入して帰りましたとも。
そして、大切に飲みましたとも。

甘味と酸味が素晴らしいバランスで存在していて、
あたたかいことが至福に感じられます。
美味しい甘味があり、けれどくどさに通じず、
燗酒にイメージとして持たれがちな酒臭さなんてありません。
米の充実した豊かな世界を感じさせます。
甘くて濃くて飲みやすくてホッとさせる味。
大好物!

…岩清水・純米五割麹を熱く書きすぎて、
すっかり合わせたお料理について書いていませんでした。

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写真を再掲載。
掛かっている甘酢ソースは、食べる直前に掛けられました。
わざわざ器に取り、客席に運んだ後、
料理人・上野さん本人が掛けて回りました。
熱々の素材に掛けられ、それまでの香から、
酢の混ざる、唾液が出て来そうな香が立ち上ります。

甘味、酸味の組み合わせがズバリ、良い。
素材の命が生きて力強く、
そして酸が立ち、感じる甘酸っぱさ…
これと純米五割麹の燗酒が、本当に良く合う!
甘味が重なって融け合う感じなんです。
キノコもいっぱいに餡を絡ませていて、
なんて贅沢な食べ方だろう!…と当時のメモ。

岩清水・純米五割麹に合う料理は、
実はごく難しいもの。
冷温も燗酒も、そのままで飲んでも十分に美味しく、
美味しさの源の甘味を上手く活かして食べさせるものって、
なかなか無い様に感じます。
素材の甘味を引き出し、甘酢でギャップと整合を管理して、
素揚げされた香ばしさに、
素材が持つ甘味が一層際立ち、
甘酸っぱさと味わいが混ざり合い繰り返し、最早つまむ箸が止まらない。
日本酒「岩清水」と三幸軒の料理、
小古井さんと上野さんのタッグの素晴らしさを、
ここに舌で感じている様でした。
何を食べているか、よく分かる。
甘味は酢を引き立て、酢は料理を引き立て、
岩清水の甘味、コク味は、素材の甘味を引き立てる。
味を付けすぎると、何を食べているか分からなくなる場合もある訳で、
いやはや、素晴らしいコンビネーションを味わう事が出来ました。

【 〆 】
【 旬野菜のやさしいあんかけご飯 】

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パンフレット・コメント
→今回は結構濃い味わいのお料理なので、
 最後はホッとするやさしい味わいで。

もち米の良い香。
もち米を炊いた良い香が椀の中から感じられます。
塩の風味より、もち米の風味が強いです。
いや、ほんの少しの塩がもち米の美味しさを引き出した…
…と言う事なのかも知れません。

よく飲んでよく食べて、ここまで来ていたけれど、
香に酔っている内に、
フガフガとかっ込んで夢中になって頂きました。

もち米を使ったのは、
もしかしてゲストとして参加した勢正宗のもち米仕込みを意識して…
…なのでしょうか。
飯米にはない丸く柔らかく、
野暮って言われる事もあるかも知れないけれど、
ぬくもりある味わいでした。うまい。


ひとしきり会が落ち着いたところで、
関さんも各席行脚を経て、戻って来て〆になります。

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これからも僕らは中野市に足しげく通うと思います。
理由は、このおふたりの醸す日本酒が、
心から楽しみで、飲んでみたくて…
「岩清水」と「勢正宗」が大好きだからに他なりません。
きっと、その都度、お昼ご飯は三幸軒に寄り、
今月の限定や五目焼きそばを餃子と一緒に食べる事でしょう。
今度は春巻も頼んでみたい。

Cimg6079

最後は“一本締め”で、皆々様のご多幸を願ってお開き。
ごちそうさまでした!

Cimg6080

僕は僕で、その後に今回登場した日本酒を集め、並べてこの写真を。
今回、僕らを楽しませてくれた、
小古井さんと関さんの日本酒を並べました。
心行くまで楽しんだ中野市での一夜を申し上げまして、
さて、お時間と言う所でございます。

長く思いを綴りました一席、
お付き合い下さいまして、誠にありがとう存じます。

寄 れ ば こ そ
  食 の 楽 し み
    酒 共 に あ り
     逢 瀬 誓 う は
       旨 き 故 な り

この冬も旨い日本酒を、
魂をめいっぱい力いっぱいに込めて醸す事と思います。
そのひとしずくに心からの期待を、
「岩清水」「勢正宗」、
両蔵の無事の醸造、祈願いたしまして、
今宵、「酒 宗夜」ここまで。

ありがとうございました。

ありがとうございました。


【 過去の食酒楽会:参加記録 】

【 第2回・食酒楽会、岩清水の新酒を味わう!(2009年2月27日・三幸軒) 】
( http://sake-soja.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/2009227-cefb.html )

ちなみにピースサインはY本さんのもの。

【 第10回・食酒楽会(2010年9月3日・中野市三幸軒) 】
( http://sake-soja.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/10201093-9e63.html )







翌朝、メモを回収して、
井賀屋酒造場の今期新兵器などを拝見し、
「えのき氷」を買う事が出来るコンビニへ。

Cimg6083

購入。

Cimg6084

記念撮影。
もし、ご購入の方は、
中野市の中野上交差点付近のセブンイレブンがオススメです。
出来れば、そのセブンイレブンで買うべきです。
そのセブンイレブンから、
岩清水も勢正宗もごく近くにて、日本酒を醸しております。
更に、今回登場した三幸軒も近いです。


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