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2011年8月28日 - 2011年9月3日

2011年8月30日 (火)

浅草・上野、寄席二題(2011年6月&8月)


えー、お運び様でございます。
気楽な所を一生懸命、書いて参ります。

「寄席(よせ)」と呼ばれるものが、
落語を聞くには、たいへんよろしい様でございます。
寄席を知る洋酒店の主様曰く、
「笑ってやろうって空気に包まれている」…
…そんな風に聞かされておりました。

初めてYOKOさんと浅草演芸ホールに行きました。
寄席です。
どなた様も聞いた事があるでしょう、浅草の名所のひとつです。
憧れがあります。

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この場所に立った時には、ときめいたものです。
佐渡にいる絶滅危惧種です。

入場料である「木戸銭」を支払う場所が分からず、
とりあえず目の前に見えたモギリさんの所へ突撃。
「木戸銭を…」
「ここじゃないんですか?」
「はい、外で…」
…と、指差すままに外に出て、角を2度ほど曲った所で何も無い。
入り口脇に小さく見えるチケットカウンター。
素通りを2回ほどして、ようやく小さなチケットを購入。
これは今はもうないナワテ通りの中劇だったり、上土・エンギザであったり、
なんとも昔馴染みの匂いが致します、小さなチケット。
たまらなくワクワクと胸、高鳴りました。
僕らが出会った空気と言うものは、
僕らを、より一層落語…そして演芸と言うものを、
好きにさせてくれる、興味深い空間でした。
そのお話を致しますので、
しばらくの程、お付き合いくださいませ。


【 2011年6月18日 】

【 浅草演芸ホール 】
【 6月中席・昼の部 】

入って1階席は、
ほとんど埋まっていて、腰を落ち着ける隙間が見当たらない。
飛び飛びにひとつとか、そう言うのは多いのだけれど。
そんな訳で、試しに2階席へ足を運んでみると、
これが空いていて、
最前列で空いていた端に座ります。
座りますが、これが舞台照明の後ろ。
暑い。
しかし、耐えられない事は無いし、
そもそもが外を歩き回って直ぐ。
体から発する熱さもあるものですから。

あっ。

…と気付きますのは、上からの景色ゆえのもの。
噺家さんが扇子を置きますあたり、
扇子を叩きますあたり、
床、板の間の色が異なるではありませんか。
寺社仏閣の手すりの様に艶やかであり、
そうして一部だけ色が剥げておられる。
するてぇと、「ドン」「トントン」と扇子を打ち付ける仕草。
浅草演芸ホール、毎日、落語が行われております。
そうして、のべ人数では何名の噺家さんが上られた事でしょう。
全ての噺にその所作がある訳ではないと思うけれど、
それでも、少しずつ時代が付されている…と言う事が分かり、
殿堂たる場所にいられるのだな、と感慨深く思いました。

僕らが到着した際に高座に上られていたのは、
むかし家今松師匠。
今でこそ知る、古今亭圓菊師匠の二つ目時代の名。
是非、しっかり聞きたかったのですが、
座席が馴染む頃には降りられてしまったので、
実質、寄席体験は、お次の出番の方から。

三遊亭歌之介はお馴染みの故郷・鹿児島のお話を交えて。
「続きはまた明日に…」なんて言えるんだ!
…と驚いたものですが、歌之介師匠のお馴染みの〆方でもある様で。
この時点で5月15日の菊生百夜第48夜を経ているから、
お弟子さんの三遊亭ありがとうさんを見ているんだけれども、
自分自身の知識…歌之介師匠の認識が浅く、
「あのお弟子さんのお師匠さんだよ!」…なんて、
喜べたはずだったのに、取りこぼしてしまいました。
思えば、この当時から更に落語が好きになり、
いろいろ調べている自分に気付かされます。

続いては漫才。昭和のいるこいる師匠のお出ましでした。
この賑やかさ。「へーへーほーほー」は笑顔にさせる大定番ですね!
初めて落語をライブで拝見した塩尻・レザンホール開催「れざん亭」にて、
大喝采、そして「のいるこいる師匠はすごいなぁ!」と思っている中で、
YOKOさんが会場唯一のサイン色紙当選と言う、
素敵な思い出、あの日をちらっと思い出しながら、
笑わせて頂きました。

続いてのご登場は桂文楽師匠。
「看板のピン」と言う噺は、ここで初めてお聞きしました。
若い衆をいなす親方は、
出来れば重みがしっかとある方が良い噺なんだなぁ…と感じております。
ドッシリ構えた親方を感じ、
筋を知らなかったからこそ、「看板のピン」には、
若い衆ときっと同様に目を丸く致しました。

続いてお出ましになったのは、三升家小勝師匠。
この日、木久扇師匠、円丈師匠がいらっしゃらないため、
番組表のこの位置におられた扇遊師匠が後続へ、
小勝師匠が代演となってのご登場でした。
8月に松本にお見えになる円丈師匠をいち早く見られる!…
…と期待していたので残念ではありましたが、
その後、8月の松本での口演は想像以上の素晴らしさでしたし、
当日はそれはそれで小勝師匠の小噺も聞くことが出来たので、
良かったのではないか…と思います。

続いては太神楽。鏡味 仙三郎社中のご登場。
積み上げる立体の凄さは、2階席からはやや不利にも感じますが、
のんびりと“高み”なる見物をさせて頂きました。

お仲入り前の出番は、川柳川柳師匠でした。
ここで初めて拝見をし、存在を知りました。
「ガーコン」の一席。
当日もそうでしたが、
昭和のいるこいる師匠が、
不思議な歌を歌うのだけれど、
その本物をお聞きした気がします。
いや、のいるこいる師匠が偽者ってぇ訳じゃあないんですが、
歌い込んでいる、
そこに時代の背景が見えるのは、
川柳師匠ゆえと感じられるものでした。
その後、Youtubeの落語協会映像で、
同様なのだと思いましたが、
立ち上がり、お戻りになる直前の、
ファイナル・ガーコンは、
何とも味があって、とても好きです。

お仲入り後は、
やや時間が押していたのか、
早め早め、トントンと進んで行きました。

初音家左橋師匠は「宮戸川」を。
直近で、古今亭志ん朝師匠の「宮戸川」を聞いていたので、
筋が分かり易く、話に入って行き易かったです。
この噺も様々パターンがありそうで。

続いて、吉原朝馬師匠は「六尺棒」を。
短い噺でしたが、掛け合いが楽しい…と言うか、
小憎らしく面白い噺。
ネタ自体を初めてお聞きしたので、
ワクワクしながら、想像力をこと働かせながら楽しみました。
親父さんの飛び出して行く姿が浮かびます。

続いて、あした順子師匠は、
あしたひろし師匠がご不在のため、おひとりでした。
先日は座布団を取ったりやったりするカラフルな長寿番組の前半で、
内海桂子師匠とコンビを組まれておりましたが、
この日、いちばんの笑いを起こしていた様に感じました。
ドーンッと賑わいました。
前座さんの春風亭朝呂久さんを呼び込み、
お馴染みの「男はあなたひろし」「女は君さ、順子ぉ」を演じましたが、
朝呂久さんが慣れておらず、まご付く中で、
いつの間にか順子師匠のセリフが入れ替わったあたり、
その瞬間、大いに笑ったことをよく覚えております。

続いては、
今思えば、もっと落語を知っていれば…と思う、
率先して聞きたい噺家さんのおひとり、柳家権太楼師匠。
ここで初めてお見受け致しました。
「子ほめ」の一席。
2階席では、あの迫力が少し届き難く、
そして自分自身も権太楼師匠の面白さを知る前だったので、
何となく見てしまった事が惜しい。

続いて、入船亭扇遊師匠。
あっと言う間に終わってしまいました。
井戸端会議、上戸のお噺でした。
もっと聞いていたかった!

続いて、三味線漫談、三遊亭小円歌師匠。
出囃子を数曲、弾かれて降りる。
既に予定時間をかなり押しており、5分も居られたでしょうか。
もっと聞いていたい!…と思う後ろ髪。

昼の部のトリは、金原亭伯楽師匠。
僕らには聞こえなかったのですが、
1階席の方で、お出ましになられた師匠に、
「火焔太鼓!」と言う声を掛けられた方がいた様子。
「お声がかりがありますと、嬉しいものです」…と、
予定終幕時間から15分ほどオーバーしても、
「火焔太鼓」を最後までキッチリ演じて下さいました。
なんだか幸せ。

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その後、
スコールの様な打ち付ける雨の中を帰る事となるのですが、
YOKOさんとふたり、
とても満足して帰ったのを覚えております。
実に思い出深い、寄席への初回でございました。

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そう言えば、日本酒ファンと致しましては、
「豊島屋」の緞帳も非常に興味深いです。
翌日、「豊島屋」のご当人に「多摩独酌会」上でお会いしたので、
お話を聞く事が出来ました。
「業平文治」の中にも登場する「豊島屋」、
現在も美味しい日本酒を醸しておいでです。


続いてはお盆休みの間に見て来た寄席を。
今度は上野に足を運びました。


【 2011年8月15日 】
【 上野・鈴本演芸場 】
【 爆笑暑中見舞 】
【 三遊亭圓歌・連日熱演つかまつり候! 】

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指定席になるお盆中の鈴本演芸場。
おかげさまで前から3列目。
非常に快適に拝見する事が出来ました。
早期予約の勝利!
初めての鈴本演芸場です。
なるほど、確かに御徒町から5分ほど、
上野駅からだと10分ちょっとと言った距離。

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ゆっくり食べるはずが、
なんだかんだで開演前に、
ほとんど食べ尽くしてしまいましたが…
お弁当を頂きながらの寄席行楽。

太神楽曲芸・翁家和楽社中から始まりました。

続いて、落語は三遊亭多歌介師匠。
夫婦小噺…とでも題せばよろしいでしょうか。

最初から最後まで…
あぁ、いや小円歌さんの時以外は、
前から2列目、噺家さんの正面で完全に寝ていた馬の骨が、
「ふあああああー」と大きなあくびを発しました。
瞬間、凍り付く客席。

もちろん多歌介師匠は、
それを気にせずに噺を進めますが、
その直ぐ後で「眠そうな方もいますから…」と言った際に、大爆笑。
おそらくは、元々あったセリフなんだと思いますが、
「ここで、こんなに受けるとは…」なんて苦笑いされていました。

この馬の骨、大トリの圓歌師匠の噺の中でも、
「ふああああー」と大あくびをしたんですよね…。
何をしに来たんだって、あぁ、涼みに高い金を払って来たんだなぁ、と。
でも、頼むから、僕らのお楽しみを邪魔しないで頂きたい。

続いての漫才・ホームラン師匠は、初めて拝見しました。
勢いある漫才なのですが、
広島県安芸郡出身の師匠が、
「今日、広島からおいでの方、出身の方って居られますか?」
…と聞くと、おひとり居られたそうで。
「おっ!嬉しいですねぇ~!どちらで!?」
そうお客さんにお聞きしますと、
「市内!」と。
僕らは「広島県の何市の市内?」と思ったけれど、
「どーせ、おれぁ郡だよ~!」
…と吼える。
そうだよねー、“市内”って確かにブルジョワチックな響き。
ここでも大きな笑いを取っておいででした。

続いての落語、桃月庵白酒師匠はお馴染みのお笑い「子ほめ」を。
それにしても、
この一連の中で、みなさんが「明日の新聞に注目」とか、
「明日の朝にはお亡くなりかも知れませんから」と、
圓歌師匠をネタにしておりましたね~。

続いては落語、三遊亭歌武蔵さんのご登場。
角界噺…と言った所でしょうか。
“前歴:お相撲さん”と言う経歴もお珍しい。
体格通りの太々しい声が印象的です。

続いては三味線漫談、三遊亭小円歌師匠でした。
お馴染みの出囃子などもお聞かせ頂きながら、
「両国風景」を弾き、唄い。
たいへん見事なもので、寄席が一体、夢中に三味線と、
よく通る声に聞き入っていたものです。

続いて落語は三遊亭金馬師匠。
「四人癖」と言う噺でしたが、
ええと、こう言って失礼に当たらない事を願っておきますが、
たいへんに愛嬌のある方だなぁ、と。
金馬さんの笑顔は特徴的で、
4人の癖のうちの目に手を当てる仕草の愛嬌のあり方、
ええ、見る事が出来て良かった!…と感じました。
別の日は、正蔵さんの位置なので、
僕としては金馬師匠で大正解でした。

続いてはものまね、
江戸家猫八師匠…と番組表にはありますが、
息子さんで2代目を襲名したばかり江戸家小猫さんとの共演でした。
(2011年3月襲名・それまでは「そろそろ小猫」にて)
いやぁ「共演」より「競演」を宛がいたい。
おふたりで演じられた秋の虫たち、
このハウンリングする音色は名人級の音域でした。

また江戸家猫八師匠、当代、先代と、
「分かりやすいネタのものまね」を意識して来られたそうなのですが、
二代目小猫さんは、あまりにマニアックなネタで攻められる…
その後の「誰もネタ元の動物が分からなくってシーン」とするあたり、
すごく好きです。笑みツボを突かれた思いでした。
今後も見て行きたいと思いました。

続いての落語は、古今亭菊之丞師匠。
一度拝見したかった師匠です。
映像や音源で拝聴するその声が、何とも男振りの良い声で。
落語「片棒」を口演されましたが、
長男さんのはっちゃけ振りで終わりになる筋。
祭を引き合いに出し、神輿を担ぎ、
「わっそぉわっそぉわっそぉわっそぉ」なんて言う様は、
ええ、非常に「合っている」なぁ、と。
良い声、威勢、とても満足。

仲入りが入りまして、
続いての漫才は大瀬ゆめじ、うたじ師匠、
相も変わらず理屈のお話で、くすりくすりと笑いを生んでおりました。

講談は宝井琴調師匠、大岡政談の中から「人情匙加減」を。

続いての落語は、柳亭市馬師匠で「高砂や」…
初めてお聞きする噺でしたが、なんと良い声必須の噺でありましょう。
耳、ありがたく拝聴しましたとも。
「助け舟~!」のサゲのいななきが、印象に残ります。

トリひとつ前には奇術、伊藤夢葉師匠。
ひょうひょうとされていましたが、
そうですね、ほとんどの印象が“ご趣味”のムチの音に集約されます。
空気を裂く音だそうで、
心臓に悪いくらい大きな炸裂音でした。
度肝を抜くとか、そんな言葉を宛がいたい宛がいたい。

そして、大トリ。
落語は三遊亭圓歌師匠で、
お馴染みの「中沢家の人々」を。

本当に、流石である、
当然であるだろうから、それを言うのも口幅ったい。
集中し、とても大きな声で笑っている自分に後から気付く。
夢中でした。本当に楽しかった。
みなさん、御歳82歳を強調されていましたが、
拝見して思うのは、
「老いて元気」なのではなくて、
ただ、ごく単純に、
「圓歌師匠は老いていない」と思いました。
小円歌師匠曰く、
「会う度に“触らせろ”って言うんです」
「楽屋のおじいちゃま方は可愛いんですよ~」
…なんて「あぁ、言いそう」と思わせてくれる、
懐の深い雰囲気が何とも良い。
どうやら2011年12月に茅野に来られるご様子。
是非、もう1度以上、拝見したいです。

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帰り際、番組表の圓歌師匠を拝見。

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あるのは敬意ばかりなり。
素晴らしい寄席時間、
鈴本演芸場、
納涼名選会・鈴本夏まつりの昼の部でした。


…と、めいっぱい楽しみました寄席二題をご報告。
ありがとうございました、ありがとうございました。


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