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2011年3月27日 - 2011年4月2日

2011年3月30日 (水)

笹の譽、良い眺めの先に見えたもの。(2011年2月5日・笹井酒造)


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僕らが見たのは、
ただ「良い眺め」だけじゃない。

その向こう。
光の先にある未来。

松本酒の発展を感じる。

もっともっと長野県が松本市が、
世界の日本酒を引っ張っていく事が出来ますように!
その流れを感じる日。



今回、面白いのは「出会いが一緒」と言う事かも知れない。
「縁がある」と言う事かも知れない。
そうだ、蔵見学が正式に決まった日だって、
旅第10回の途中に岡谷で工事渋滞に巻き込まれて…
その遅れがなければ、
笹井さんが配達に横川商店店頭に来るタイミングで、
僕らはあの場所に居なかったはずだ。
そのあたり、間違いなく「縁」があるのだと思う。

僕らが「笹の譽」を「飲んだ」と記憶しているのは、
「第1回おらが酒呑み歩き」の会場である。
( http://sake-soja.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/20092009411-fd0.html )
「蔵シック館」の前に、
今思えば、笹井さんが居たのだろう。
当日の笹井さんの顔って、あんまり思い出せない。
知っていたのに、初めて見る「笹の譽」を見ていた。
僕の印象は「程好い」程度でけして深くはない。
むしろ、YOKOさんが喜んでいたのを覚えている。
あまりYOKOさんが気に入るお酒を見繕えない中で、
「笹の譽・大吟醸」を、喜んでくれていた。
なるほど、このお酒が良いんだな…と思って、
笹井さんの顔を見た瞬間の記憶がある。
そして、長野酒メッセに今まで見えなかった事、
けれど、今年は参加してくれるから、
僕は再び出会えると喜んだ事など、
お話を聞いたんじゃなかったろうか。
結局その後の2009年の「長野酒メッセin長野」は、
僕が風邪で床に臥せって断念する事になるのだけれど。

松本平に暮らしている中で、
僕は2009年4月11日に初めて「笹の譽」に出会った。
今でこそ「笹の譽」の文字を、
新聞でも何でも探す様になったから気付いているが、
実際は生活の中、いろんな所で「笹の譽」を見掛ける。

僕らがよく行く出先では、
山形村のファーマーズガーデン、
内田のファーマーズガーデンには、
「笹の譽」が常設されている。
アップルランド・デリシアでは、
「笹の譽」の酒粕も置いてあったりする。
かつて、
「松電」以外のスーパーと言えば、
「ササイ」があって、
僕の家からは少し遠かったけれど、
広告の内容によってだろう、
母の運転する自転車の後ろに乗って、お出かけをしたものだった。
なんだかんだで、
生活にしっかり融け込んでいる松本酒なのです。

今回は僕とYOKOさんだけでなく、
2010年11月3日の「第2回城下町酒楽まつり」、
「笹の譽」ブースで、美味しく楽しんだM本夫妻と、
同じく「おらが酒呑み歩き」で、
笹井さんの日本酒に注目するに至る、
大町は「横川商店」の呑ん子さんと共に蔵見学をお願いしました。
( ブログ「呑ん子の放浪記」の情報量、豊富です )
( http://blog.livedoor.jp/nonko0127/ )
造りの最中に蔵にお邪魔する…
本格的に蔵見学を行うのは、笹井さんも初めてだった様子。
僕らはいろんな気遣いをして頂きながら、
その1日、笹井さんの「笹の譽」を、
より深く知る事が出来ました。

当日を思い、思い、感謝。


【 2011年2月5日・ナワテ通り 】

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当日の僕らのランチ。
蔵見学の時間を、打ち上げ会に合わせて設定したので、
お昼ごはんを松本市内で食べることに決めた。

「アベニュー・ドゥ・ラ・リベルテ橋倉」
( http://www5.ocn.ne.jp/~a.l.hasi/ )

僕らがこのお店に「行こう!」と思ったのは、
笹井さんのTwitterでのつぶやきによる効果が大きい。

「厨十兵衛」のある緑町、
洋菓子の「マサムラ」横の路地を入り、
焼肉の「明月館」前を通ると、ナワテ通りに着く。
たまに猫がひょっと横切る、雰囲気の良い路地だと思っている。
この路地に、昔から気になってはいたけれど、
入ったことが無いお店があった。
元より、ワインを主体としているお店に見え、
あんまり食指が伸びなかった。
近年、「塩尻ワイナリーフェスタ」のおかげで、
ワインを家でも飲む様になり、
興味が増し、タイミングとしては良い頃合だったと思う。

笹井さんの実際に行ってみた感想と、
ナワテ通り「みたから」さんとの出会いもあり、
いよいよ行ってみたくなり、年末に初訪を果たす。
今回は、ランチメニュウ、
信州伝統野菜と使った、
「みたから」さんや「橋倉」さんの企画、
「菜々彩ごはん」を味わってみたいと思って、立ち寄った。

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日替わりで、この日のメイン料理はサイコロステーキ。

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様々な形態の野菜を使ったメニュウが添えられる。
いや、“野菜を使ったメニュウが彩る”と言いたい。
信州伝統野菜に触れること、
その美味しい食べ方を知ること、これは満足できる食事だった。
野菜にお肉でボリュームもたっぷりに感じ、
そしてお値段も、かなりお値打ちだと思う。
ごちそうさまです!



松本駅前に戻り、改札口でM本さんご夫婦と合流する。
呑ん子さんは大町からなので、直接、笹井酒造に向かうとのこと。
「初めて乗るかも」と言うくらい、
車社会信州においては、近場の電車路は馴染みが無く、
僕としては実家に近付く方向であるのに、
とても真新しい道のりに感じました。

【 JR大糸線・島内駅 】

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最寄りの駅は大糸線「島内」、音文ホールがある駅です。
そう言えば、小学生の頃に、
きっと音文ホールのパイプオルガンを見ていて、
その記憶があるけれど、
僕は歩いて行ったのか、電車で行ったのか。
大きなパイプオルガンの大きな音に感動したことだけ、
とても覚えています。
田川小学校からだから、歩いたのかも知れないなぁ。
本当に、地元、僕が育って来た場所近くに、
これから向かう「笹井酒造」がある。
…そう思う誇らしさって、なかなか文字には著しづらい。
ワクワク以上に嬉しくなる感覚なのです。

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徒歩では10分程度。
笹井酒造の煙突が見えてきました。
今は使われていないけれど、美しい煙突です。
松本平の山を背に置き、映える。

近くに奈良井川が流れ、
蔵の裏手にも川があり、水流に囲まれている蔵元。
僕とYOKOさんの旅第6回・信州SAKEカントリーツーリズムでも、
もちろん立ち寄った「笹井酒造」に到着しました。

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醸す銘柄は「笹の譽」と言います。
ここまでは“楽しみな気持ち”ばかり、
色んな事を細かく覚えています。
ここからは、いざ蔵見学。
夢中でした。
直に、杜氏である笹井康夫さんから蔵を…
「笹の譽」を案内してもらいます。
夢中で、記憶の濃度が深さが、
それまでと違っていて、
とても貴重な体験をさせて頂きました。

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夏にも訪れた蔵元併設の販売所。
当時はこの奥で、楽しそうに菰樽を仕込んでおられ、
その姿がとても爽やかに映ったものです。
道路から見える建物は、
そんな訳で「醸造」する場にあらず。
蔵の本懐は、向かって直進の建物でした。

僕らが到着すると、手を振って、
蔵から出て来られるのは、呑ん子さん。
ひと足早く、お着きになられていたみたい。
ここで、本日のメンバーが全員集合です。

早速、造りの真っ只中、蔵内に案内して頂きました。

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杜氏である笹井康夫さん。
「笹の譽」を醸す方です。
松本の呑み歩きで、大町でお会いしたのはこの方。
今、この方が醸す日本酒が美味しいと思い、
そうして縁あって、
僕らはここに、共に立っている。
それはとても嬉しい事だと感じます。

杜氏さんの奥に見えるものが、
米を蒸す道具、甑(こしき)です。

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甑の隣に洗米場があります。
現在はボイラー蒸気+吟醸甑を用いていますが、
旧来、煙突を使った和釜による釜場であり、
地下を通じて、屋外の煙突まで道がある様です。
広くありそうな地下。
酒造りの時代、息吹を真っ暗な地下から感じます。

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自分は初めてお目にかかりました。
蔵の麹室の入り口がレンガ塀です。
現代は外装も木造が主だと思いますが、
時代によっては、
レンガと言うものがたいへん流行した時代もある訳で、
こうしてレンガの麹室を拝見する事は、
とても興奮しました。
息づいている「笹の譽」の歴史を目の当たりにしている様。
重みがあり、酒造りの心臓部を感じないではいられません。
荘厳な空気。

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古い電流計も拝見しました。
自分が高校時代に見たそれよりも、
更に一世代古い印象があります。
今でもこうした形状はある訳で、
ここには「変わらないもの」を感じます。
ブレーカーの形状は、
今では珍しいレバー式ですよね。
むしろ、映画の中で拝見する形です。

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出麹を迎えた麹を冷ます…
「枯らし」と呼ばれる工程に用いられる場所。
湿度に掛かる換気や、温度などを管理します。
「笹の譽」は川の近くにあるため、
湿度には気を使わねばならず、
こうした遮蔽術は、見事なものに見えます。
各蔵、それぞれの工夫が見える、
そうして、酒造りへの情熱を感じる。
蔵見学の醍醐味は、
僕は試飲ではなく、蔵に触れる事だと心から思います。

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「平成蔵」と名付けられたもろみが育つ場所。

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その中に招き入れて頂き、もろみを…
いつか飲むであろう「笹の譽」を見学させてもらいます。
綿密な温度管理が出来るサーマルタンクが並び、
酒母もこちらで仕込んでおられる様子。

もろみの吐息だけが聞こえる世界は、
やはり神聖なものを感じさせます。
たくさんの生命が酒を醸す場所。
呑ん子さんが、日本酒の神様、京都の松尾大社で購入した、
酒造お守りも中心の柱に掲げられていました。

壁が木やコンクリートでない分、
湿度の管理には向いているかも…と眺めながら思います。
寒暖さ激しい蔵内でありながら、
水滴などが壁に出来る事も無いそうです。

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もろみを見せてもらったYOKOさん。
タンクから湧き上がる呼吸、
日本酒らしい良い香が風に乗ります。
爽やかな風。

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この平成蔵の中で、
僕らは長い時間お話を聞いていた気がします。
どこか神事の様に、
静かで穏やかながら、
真剣に酒の音と杜氏さんの声を聞く。
緊張でなく神妙。
この言葉の意味を感じられる貴重な時間でした。

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「笹の譽」はもろみを搾る際、
手間隙いとわずに「袋吊り」にて搾る場合が多くあります。
けれど、一般的に搾る道具は、
この「藪田式もろみ圧搾機」になると思います。
これはどのお蔵さんでも拝見するサイズ。

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しかし、仕込みの大小、都合を加味して、
小さいサイズの“薮田”も用意されていました。
一見、濾過器にも見えるサイズですが、
紛れもない「薮田」であり、
これも初めて拝見するものでした。

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薮田の先の窓から見える景色は美しく、
“野に花咲く”場所のイメージ。
春待ち遠しい日差しに照らされる水原。
みんな見入っていました。

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蔵内にはこんな場所もありました。
仕込みの建屋から、奥の杜氏室までの間に存在する空間。
とても不思議な空間でした。

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先程、“薮田”の先から見えた光景を、
もっと見やすい場所から見せて頂きました。
ここは杜氏さんが休憩する部屋「杜氏室」です。
天井が低く、隠れ家にも思える空間。
しかし、テーブルがあり椅子があり、
昭和初期のドラマの中でありそうな風景。
また、見晴らしの良い場所で、蔵の裏の景色が一望できます。
落ち着き、和む。
この部屋に入った時の、全員の笑顔を今でも思い出します。

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「お互にきれいに致しませう」

再び、釜場へ戻って来ました。
蔵の柱に掲げられた注意書き。
現代に、
奇をてらって「しませう」にした訳ではなく、
脈々と続く注意書きです。
そう言えば、
以前「佐久の花酒造」を拝見させて頂いた際も、
清潔感、その大切さを教えて頂きました。
酵母や麹、微生物、菌類を扱う蔵での仕事。
そうした目に見えないものへの心配りは、
今も昔も酒造りに大切だと感じさせてくれます。

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続いて、「笹の譽」の蔵内にある試飲ブースへ。
平成22酒造年度10月~1月仕込み分の「笹の譽」を試させて頂きました。

用意して頂いた資料には、
アルコール度数、日本酒度、精米歩合、もろみ日数が、
詳細に書かれておりました。

「S」は自分、SOJAが、
「Y」はYOKOさんが感じたコメント。

「橙」仕込み1&2号・普通酒原酒・美山錦/一般米
S:甘味、どんと感じる。コク。良い普通酒。なめらかさも。
Y:香が甘い。軽い感じ。美味しい。

「茶」仕込み3号・特別純米生・ひとごこち“番外品”
S:香ばしい。麦のイメージも…?酒の体はシンプル。
Y:ポップコーンみたい。カラメルみたい。

「黒」仕込み4号・純米吟醸生・美山錦“中汲み”
S:香あり、コシあり、好み。とても明瞭なイメージ。
Y:米の香、甘い香。砂糖のイメージも。最後に強い感じ。
小ヤブタで搾ったものだそうです。

「白」仕込み5号・純米議場生・美山錦“槽場詰”
S:セメダイン系の香。甘さと辛みの存在。こちらにもコシを感じる。
Y:さっぱりした感じ

「水」仕込み7号・純米吟醸生・美山錦“袋吊るし直汲み”
S:やや苦さを感じる。燗にも向くかも。全温度帯を楽しむ事が出来そう。
Y:甘い香。飲むと強い感じ。ちょっと苦いかも。

「桃」仕込み8号・純米吟醸生・ひとごこち“袋吊るし直汲み”
S:綺麗な香。美味しい!バランス良い。非常に上手に感じる。全体的に綺麗。
Y:甘い香。砂糖っぽい甘さ。

「-」仕込み9号・純米にごり・ひとごこち
S:とろ甘。甘酒っぽい。お米の味がちゃんとする。
Y:強い感じ。甘いけれど、甘すぎない。

「緑」仕込み10号・純米生・ひとごこち“しぼりたて”
S:これまでのどれともないイメージ。甘酸、強い、酸が立つ印象。
Y:米の香。強い。炭酸っぽい。

様々な「笹の譽」に出会い、とても幸せでした。
酵母はきょうかい9号や18号が主体。
それぞれ個性が明確で、美味しさがきちんと表現されていました。
後に、YOKOさんがいちばん気に入りだった「仕込み1&2号」を買い、
僕ら2人が気に入った「仕込み8号」も購入しました。

当日は、仕込み4号も好評であったり、
素敵な体験に、更に笑顔と花を添えてくれました。

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12月に発売された「仕込み6号」も非常に記憶に新しいです。

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「笹の譽」ロゴの吐き。
なんだか、これもこれでプレミアなイメージです。

杜氏さんの前で直にお酒を試させて頂き、
美味しさを言葉にさせて頂き、とても貴重で嬉しい体験でした。
名残惜しくも、次なる時間が迫っていた為に、
蔵元を後にします。

帰りには、蔵の皆さんで送って頂き、
何か何まで本当に感謝であり、感激でした!

本当にありがとうございました!

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その後は、
この蔵見学計画を立ち上げた段階から予約をしていた、
松本駅前「風林火山」さんの縁を紡ぐコタツ席で打ち上げ会。
蔵から松本市内に移動するタクシーも、
店主、N村さんが手配して下さり、ここにも感謝が尽きません。

その後、宴席に仕込みの合間を縫って、
お忙しい中、笹井さんも同席して頂き、
更に、いろんなお話を聞かせて頂きました!

また、数年前の笹井さんご自身の作品も、
「風林火山」N村さんは用意して下さっていたり、
本当に、関わる人全てに良くして頂いて実現して、
心の底から楽しんだ1日でした。



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今回、本当に象徴的なこの場面。

大好きな漫画「BASARA」の中に、
こんな台詞があったはず。
朱理の台詞で、
「オレもお前もタタラにあえてよかったな。
  同じ時代に生きてよかった」…これを思い出します。
笹井さんのいる時代に生きていて良かった。
それだけじゃない。
岩清水に出会って良かったと、思う。
更に本金、九郎右衛門、
同世代に、良い醸造家さんたちがいっぱいいる。
僕は今が今で良かったとすごく思う。
思わせてくれる出会いがあり、
こうして集まる事が出来、一緒に窓の外を眺めている。

一緒に蔵見学をした、
M本さん夫妻、呑ん子さん、
笹井酒造の皆様にも感謝だし、
松本駅前「風林火山」の皆様にも感謝だし。

本当に、楽しさ生み出される感謝が尽きない。

そして「今」にも感謝。


今回は、2010年内から計画を立て始め、
蔵元様と綿密に日程の調整などを行って、
蔵見学を行いました。
蔵の販売所はいつでも営業中ですが、
蔵内は、最も大切な酒造りの時期において、
忙しくて寝る間も惜しむ場合に、
突発、突然、電撃訪問では、
どうしてもお断りする場合もあると思います。
是非、蔵見学の際は、
蔵元様にお問い合わせの上で、
向かわれる事を書き添えておきます。
販売所は酒屋さんなので、
ある意味、どなたでも店番は出来ますが、
蔵の仕事、酒造りは、そうも行きませんから…。
手を止める事で、
美味しいお酒になる瞬間を逸してしまっては、
悲しいですからね。
どうぞ、よろしくお願い致します。



そんな「笹の譽」も参加する、
「ナワテ通り松本地酒会」が4月9日に開催されます!
詳細は以下参照!!

( http://sake-soja.cocolog-nifty.com/blog/nawate_2011.html )

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