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2010年1月31日 - 2010年2月6日

2010年1月31日 (日)

かけがえのない時間を美味しくする洋食厨房(2009年12月23日・洋食厨房Spice)



クリスマス・ディナー。

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楽しかった。

美味しかった。

きっとそうだろうと思っていた。

代々、俺に語り継がれるだろう日を、

分かっていたけれど。

美味しかった!

楽しかった!

こころからYkさんと言い合える時間は、

かけがえがなく、

幸せで、

あっと言う間にお腹に収まり、

心から思う。


「クリスマス、関係ないな」と言うのが、
感想のいちばんにある。
ブログタイトルも、それにしようと思った。
季節感がなかったとか、
そう言うんじゃあないんだ。
“クリスマスだから美味しかった”とか、
そう言うんでもなくてね、
「洋食厨房Spice」だからこそ、
僕らはとても楽しむことが出来て、
美味しくて、
“きっとクリスマスでなくとも”、
この素晴らしい体験は出来たに違いないってことサ。

12月初旬、
スパイスの壁飾りの隣に張り紙がされる。
テイクアウトでクリスマス・ディナーセット、
2人前3150円が発売されると言う。
「それを買って家で食べよう」と、まず思った。
その後、
kenchieさん、Skさん夫妻、
実家の母親も注文したと聞く。

結局、
僕らはクリスマス・ディナーをお願いする事にした。
家で食べるのも素敵なのだけれど、
もうちょっと“スペシャル”感が欲しいと思った。
これまで「洋食厨房Spice」の、
夜メニュウを味わった事はあるけれど、
「コース」メニュウを味わった事がない。
良い機会だと思えた。

迎えた12月23日…
いや前日からも、
とても楽しみだった僕らを迎えてくれた、このプレート。

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いちばん座ることが多い席で、始まります。

【 前菜 】

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スモークした
ブリ、昆布〆サゴシ、昆布〆タラ、
自家製ピクルス、
クリームチーズとキュウリを生ハムで巻いたもの、
エビのほうれん草巻きボイル…の盛り合わせ。

タラの香はすごい。
スモーク香も感じられるけれど、
負けず、タラの香が“らしく”味わえる。
どこかタラの香そのものが、
鰹節っぽくも思えるのは、燻製の一種だからでしょうか。

サゴシは甘い。それこそが美味しさ。
ふわっと香る味わい。甘味が広がって行く。
やや厚手の鰹節を舌の上に乗せた時の様な香と、
舌の上でじわっと膨らんでくる味わい。

ブリは、とろっとしていて良い食感。
脂があったんだと分かる舌触り。
スモークされる事で、脂の粒子が変化したイメージ。

生ハム巻はオードブルらしい味わい。
ライトで爽やか。
生ハムの味付けにスパイス感があって快さを増す。
チーズにもキュウリにも、
独自の爽やかさがあって、組み合わさる。

ほうれん草巻の上に盛り付けられたものは、
“あられ”しょうか。実に香ばしい。
この“あられ”が先んじて味の道筋を決めて、
後続を引っ張ります。香ばしさを追いかけるほうれん草の風味。
海老もまたボイルされているからこそ、
相反する乾きものが生きている気がする。
塩の美味しさも感じる。
ほうれん草の味と言うより、
ファクタになっていて程好い。

ますますお腹が空いて来る前菜盛り合わせ。
ランチコースのカルパッチョは、
もっと品数が多く、
これに慣れているからこそ、
「次はなんだろう?」と思う楽しみが生まれました。

【 パプリカとトマトのポタージュ 】

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しっかりトマトを感じる。
味の入りはふっと入るけれど、
舌上で、強くトマトが根を張る感じ。
スープでなく、飲むというより食べる感覚もある。
味が強いんだけれど、
それが塩強いとか、じゃあなんなら化学調味料的な――…
そう言う強さではなくて、
味深いとでも言えば良いのでしょうか。
“飲み込む”と例えられ、それが「喜び」と言うルビを振られる。
飲む、喉を通るという流れのイメージと言うより、
お腹にしっかり入れたくなる、入って来る美味しさがある。

【 ポワレ:スズキ、ハタハタ 】

しばらく食べた後、
次を食べようと、
フォークで身を切っている最中、
思わずよだれが落ちました。

「シェフの気まぐれメニュウ」と共に、
黒板に書き添えられている「本日のポワレ」…
これまで頼んだ事がありませんでした。
実はあまり「ポワレ」に良いイメージがありません。
塩強く、バター強く、やや焦げていて…
日本人的味覚が過ぎるのか、
そのまま食べた方が美味しいんじゃないだろうかと、
魚を焼く事に対して、思う。

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スズキ、
皮の香ばしさは美味しい。
皮のみならず塩も上手に焦げた印象があり、
バター重さ、くどさがなく、
パリッとした外面の良さと、
皮内面の旨味が上手に仕上げられている。
白身と言えど、
強い魚らしい香が立ち上り、豊かに届けられる。
肉々しい脂の香ではなくて、
熱を加えられた白身魚の旨い香…
蒸し上げた湯気、
蒸し器の蓋を取って最初に溢れる湯気の中の、
凝縮した美味しさが、
ポワレされたスズキの身から立つ。

ナイフを立てた時、フォークを突き刺した時、
各々で感じられる弾力、身の張りが素晴らしい。
切るだけでソソる。
実際に、よだれを垂らしたのはまさにその時だ。
押し付けると、そっと肉汁が染み出してくる。
「うわぁ」って思う。

「 うわぁ、なんて旨そうなんだ! 」と。

焼き加減は完全に火が入る直前…といった印象で、
このスズキの身の香に合っているし、
塩の味わいとも合っていて見事。
それだけでも満足たる味わいがあって魅力的だが、
ソースと一緒に食べると、
パステルカラーと感じられる世界に、
更に濃淡が生まれ弾む。
おそらくは卵も使ったタルタルソース風のものだが、
共に食べて更に色を変える世界は、
スズキだからこそ、と言う感覚だった。
あくまで強烈ではない、
程好い“持ち前の個性”ゆえ…と言うか。
…このタルタルソース、
カルパッチョに時たま出て来る、
バルサミコ〆鯖の上に掛けてあるものと一緒だろうか。

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ハタハタはスモークしてあるもの。
スズキとは全く以って異質。
身の張り、脂、全てに置いて違う。
生っぽさも残してあったスズキと、
スモークも経てしっかり火の入った、
むしろ干物的要素も含むハタハタ…
この対比は非常に興味深い。
魚の味わいの差を感じられる。
ハタハタはよく熱が入っている、
焼いてある事もあって脂は少なめ、
スズキは生っぽくあっては脂に乗りがあり。

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この2匹が同じ皿の上に生きている事が素晴らしい。
ふたつあって、ふたつ楽しめる。
「ポワレ」と言う料理を好感持って味わう事が出来ました。
美味しいものを食べると納得できる。

野菜も野菜で相当美味しいと感じる。
いつものランチコースに添えられる、
ミニサラダと同じで、
いろんな種類の野菜が使われていて、
食感も楽しいし、味もいろんなカタチで出会う事が出来る。

【 ポトフ:南小谷産野豚を使って 】

見慣れない形状のキノコが入っている。
聞くと、
「アワビタケ」と「かぶ取りなめこ」とのこと。
かぶ取りなめこ、我が家の味噌汁人気素材です。
平たく圧縮されたなめこ…
特売時は50円程度で販売されるそれと比べ、
1パック148円前後は確かに高いのだけれど、
それだけなめこ自体が大きく香強く、
食感も茹でても残り続け、とにかく美味しい。
洋食厨房で出会えた…
なんだか僕ら、嬉しく感じていました。
「やっぱりかぶ取りなめこは美味しいんだなぁ」
…と言う実感と言うか安心感と言うか。

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まず、スープをひとくちスプーンに浮かべて飲む。
これが想像以上に美味しかった。
和ダシで美味しい…と思うことは、
「厨十兵衛」や「料理屋そらのかなた」…
松本の居酒屋さんで出会う事がままあるのだが、
洋ダシで上質…と言うのは、思えば少ない様に思えた。
総じて、これまで出会った部分は“味が強い”ように思える。
ランチメニュウが主だったものであるからだろうか。
コースに存在するスープメニュウだからだろうか。
いや、それ以上に雰囲気が違うんだ。
この日、
昼に「麺肴ひづき」でラーメンを食べていたのだけれど、
あの極旨ダシのスープとも毛色が違う。
麺に合わせるゆえの濃さと塩気の差…
…とも考えようとしたが、より一層ダシに近い。

そう、スープである以前にダシなんだと思う。

他店、ランチメニュウで出会うスープ、
「ひづき」のスープ…それぞれ飲むべくして、
味を調律してあるだろうもの。
そう言えば、
先んじて食べたポタージュスープもスープはスープだ。
このポトフのスープはダシであって、
おそらくは素材からにじみ出たものが生まれている。
ふくよかさ、柔らかさより、
シャンとした気配を持ち、澄んでいて美しい。

野菜がたっぷり入っていて、
三つ葉にはユーモアすら感じながら、
その存在、歯触りや清澄さを増す香は好ましい。
熱が加えられたトマトの旨味も際立ちすぎず、
一体の中で美味しく感じられる。

何より驚いたのは、
この“こってり”か“あっさり”か分けるならば、
“あっさり”カテゴリに入るだろう、
この洋食厨房のポトフの中での「肉」の存在感である。
「ポトフ」で“こってり”か“あっさり”を分けるならば、
大半が“あっさり”で店によっては“こってり”だ。
ただし、
見識としての「肉」ではどうだろう。
「肉」を思った場合、
チャーシュー、焼き肉、ハンバーグ、
様々なイメージから多くの人が
“こってり”を想像するのではないか。

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「やや脂っこいかな」と思って食べた。
食べるまでは間違いなくそう確信していた。
すこぶる柔らかくフォークで裂けていく。
よく煮込まれた豚肉だ。

ポトフ全体は優しくて、
温泉につかって、和んでいるイメージもあるのだが、
豚肉はとてもスパイスフルで複雑な香味。
中華料理の角煮の様に、
八角を始めとしたスパイス感を覚えるものだった。
このスープや野菜との風味の差は面白い。
スパイス感に持ち上げられて、
脂身すらも脂っこいとまでは感じなかった。
とろける最たる部分も
重さにあえぐことなく器の世界にいるままで味わう事が出来た。
このポトフは素晴らしく美味しいと感じた。

スープ、この透明度は漉しているのだろう…と思う。
漉してこれだけ美味しさが出て来るってスゴイ。
パンとの合わせも良く、
やや水分が低く感じられる生地との相性が良い。
提供時に「パンが必要になると思うので」と教えてもらったが、
まさにこの事だと思った。
パン自体が香ばしいと気付く。
焼いた香がポトフ・スープに引き出されて感じられ、
旨い。

【 温野菜 】

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コースに本来はないもののはず。
通常の夜メニュウに存在する「おんやさい」と言うメニュウ。
お願いして出して頂きました。
このたっぷりの野菜盛り合わせ、たまりません。
野菜の個性、味わい、
僕らが持っている欲求に応えてくれます。
家庭でこの種類の野菜を一度に食べるって、
なかなか出来ませんよね。
価値のある、
僕ら夫婦が大好きな一皿なのです。
毎回思うけれど、
「どれが一番美味しかったか」と言う事が無いんです。
どれもとても美味しい。
この甘味が、この酸味が、歯触りが、
野菜と言う個人に良い所が必ずあって、
そこに気づく事が出来るからです。

【 ローストチキン 】

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手前が胸肉、奥手がもも肉とのこと。
“クリスマス”と言う事でのローストチキン。
チキンはシンプルな味なのだけれど、
グレービーソースがその分、濃い味わい。
肉の素っ気無くも旨味がゆったり届く味に、
勢いを与えてくれる。
これぐらいの量、味加減でちょうど良かったです。
お腹いっぱいになりつつあるコースの終盤、
箸休めをしながら、ちょいとつまんで楽しめる感じ。

【 洋風サラダライス 】

いわゆる“食事”メニュウ。
コース料理のラストを飾るのはこちら。

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大振りのお刺身が乗るサラダライス。
キンメダイ炙り、カワハギ、カワハギの肝がご飯の上に乗り、
他、クロソイ、ホウボウ、〆鯖が彩る。
黒い粒はハタハタの卵の醤油漬けとのこと。
豪華さにコースの最後まで楽しみが続いて行きますネ。
ご飯は、
バルサミコ酢、アップルビネガーで味付けしたもので、
アップルビネガーの芳しさ、ほの甘さが印象にあります。
調律の根幹…
けれど、おそらくは塩などの絶妙なバランスの上に成り立っているのでしょう。
ほんの少しバルサミコ酢の香、
風味であるアップルビネガー、
コーンの甘味とも相まって、たいへん程好い。
ランチメニュウなどの野菜サラダも、
アップルビネガー由来と思われる甘味を感じます。
くるみとも相性が良い香、きつ過ぎない酢分、
油を使う必要が無いまとまりの良さ。

何より、今僕らが食べられる度量であること。
お腹のふくらみ具合は、そろそろ限界。
でも食べる事が出来てしまう、
“もうちょっと”を満たす感覚。
本当に全て美味しく頂きました。
満腹し過ぎても美味しく感じないものだけれど、
“美味しいね”とYkさんと正に言い合いながら。

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特に僕はハタハタの卵の醤油漬けが記憶に残ります。
その歯応え、弾力、どう表現したら良いのでしょう。
噛み潰すと「パチンッ!」と言う音がします。
非常に強い音、カプセルを砕く様な感じ。
辛味を付して醤油に漬けられ、
ピリリとし小粒でも存在感は格別の在り方。
白いご飯ではなく、
洋食厨房特有の酢飯こそが、
まさに最良の組み合わせに感じます。
米の温度もやや冷温。
それが良いんだと感じました。
温度があれば香も立ち上るのでしょうけれど、
食感や辛味の前に醤油だけでご飯を食べてしまいそうで、
ハタハタの卵の意味を考えてしまうかも。
この温度、洋食厨房のビネガーライスが良いのです。

ほんのりほの甘い酢飯だからこそ、
辛味あり醤油活きるハタハタの卵が最高に旨かったと思います。
そして感動したのが、
ハタハタの卵とカワハギの肝を一緒にして食べた時!
悶絶できました。
ハタハタの卵の一本、芯の入った硬派な味わいと、
脂の乗ったとろっとろの肝味、
どちらにどちらかの要素が欠如してなんかいない、
組み合わさる事で完成した相乗効果が、感動領域を突き抜けました。
「うわーうわー!」
食べている自分が信じられないくらい、
僕は美味しいと思ったんです。

【 クリスマスのデザート 】

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デザートの盛り合わせ。
ロールケーキを主体に盛り合わせてありました。
苺やキウイの生果実と共に。
ゼリーはリンゴの皮から色を取った自然色仕上げだそうです。


今日、
この1日、大袈裟に聞こえるかも知れないけれど、
また明日、これから頑張っていく為の、
“希望”と言う名の「欲」が芽生えたと思います。

また食べたい。
また来たい。

その「欲」、願うところ。

だから頑張る。
何があるか分からないけれど、
何があっても頑張れるように心を持っていて、
結果はどうあれ頑張って、
また、今日みたいに幸せな気持ちになれたら良い。

過ぎた時間は得た時間。

かけがえのない時間が過ぎ、
かけがえのない時間の思い出と得る。

かけがえのない時間を美味しくする洋食厨房。

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感謝。
そして、ごちそうさまでした!

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