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2010年11月14日 - 2010年11月20日

2010年11月19日 (金)

メイン料理は魚と魚で、あとは野菜をたっぷり。(2010年10月24日・洋食厨房Spice)



「 今日って何かの記念日なんですか? 」

…と聞かれて、

どちらかと言うと、

「 それはそうだなぁ 」と思っていた。

本当に何でもない日だった。
そうだなぁ、
強いて言うなら、
料理の楽しさに惹かれて、ここにいる…かなぁ。

そもそもあんまり肉を食べたがらない僕らふたり、
たっぷり野菜を食べたくて、
たっぷりお魚も食べたいと思っていた。
もしか、それこそ少し特別なのかも知れない。

ふと、
「洋食厨房Spice」のブログを思い出す。
コースのリクエストを思い出す。

「Ykさん、こう言うのはどうだろう?」

考える事は、とても楽しいことでした。

なんでもない日が、
もし、特別な気分で迎えられたのだとしたら、
期待している美味しさが、
僕らを楽しませてくれているのだと思う。

「 今日って何かの記念日なんですか? 」

「 まったくもって普通の日です 」

けれど、

楽しい料理と和やかな食卓を囲んだ日。

今となって、

あの日を思えば、

とても美味しい、“特別な日”です。



確か、前日に電話をしました。
まず第一に席の予約を。
2500円の基本コースに、
もう1メインディッシュの追加で、
+500円なので、
3000円のコースをお願いします、と。
そして、
「メイン肉料理を魚に変更してください」
…メイン料理は2品、魚と魚で…
そして、
「野菜をたっぷり食べたいです」と伝えました。

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「今日は何を食べられるだろう!」と待つ僕とYkさん。

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「洋食厨房Spice」までは、
松本駅から歩くと40分くらい掛かるのだけれど、
これで3度目。なんとなく慣れてきました。
そんな訳でキリン・ハートランド生から。

【 前菜:本日のカルパッチョ 】

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仕入れ先が鳥取方面に変わり、
見られるお魚たちの雰囲気も変わりました。
この日、前菜の皿に並べられたお魚は7種類。
そして、ミョウガを炊いたものも添えられました。
(バルサミコ酢などでシンプルに炊いたものだけれど、
 これがすこぶる旨い)

【 マトウダイ、カマス炙り 】

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写真上、マトウダイ。
食感は吸い付く様な感覚で、
ほの“もっちり”とした噛み応え。

写真下はカマスの炙り。
炙られた皮の旨いこと!
味わいの中核を成し、香も強いです。
身はふわっとした柔らかさを持ち、
噛んで昇る香まで柔らかく感じさせてくれる様。
そして炙りの香、塩の香、味わう内に、
身がほぐれて消えいく、切ない程に美味しい旨味。

【 コトヒキ、オキナヒメジ、サゴシ 】

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写真、上はコトヒキ(スズキの仲間)。
生の海老然とした、あの類のプリッとした食感。
淡白だけれど甘味もあり、全体に綺麗な感じ。

写真、中はオキナヒメジ(ウミヒゴイ、スズキの仲間)。
口に入れる瞬間、ちょっとした癖を感じます。
身は強い味わいを感じさせ、
先程の癖も含めて、とても良い意味で魚らしい匂い。

写真、下はサゴシの昆布〆+スモーク。
程好い塩梅。
食感、熟成、申し分ない身の美味しさ。

【 アカガレイ、セイゴ 】

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写真、下はセイゴ(スズキの幼魚)の昆布〆で酢〆。
スッキリ食べさせてくれました。
酢の入り方も実に軽やかで、ソースに合う。
“スッキリ”と思ったのは酢の効能?
身は味が濃く、もっちりとした感覚は、
紛れもなく昆布〆の効果が出ていると思います。
軽さ、味と言う重み付け、
添えられたオリーブとザワークラフトとも
美味しく頂く事が出来ます。

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アカガレイの昆布〆+スモークと卵。

スモークされたアカガレイは、
チーズっぽくも思う食感、雰囲気でした。
(チーズの種類にもいろいろありますが)
昆布で締めた場合のもっちり感が、
スモークによって別ベクトルで締められ、不思議な感じ。
面白いです。
魚の香はしっとり感じさせ、
食感と相まって、良い燻製を味わえました。
卵はメモには「どこかゼリーの様」と書いてあります。
果実系ゼリーと言うより、
かと言って、煮こごり的ではなく、
味はふっくら優しい部分もあるけれど、
タラコなどの強力な個性ではない、
脆い雰囲気がゼリーっぽいと感じました。
初めて頂くものでした。

【 スープ:白菜とリンゴのポタージュ 】

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背景に見えるリンゴの情景が美味しかったです。
リンゴの見えるスープ。
香にリンゴはありますが、
それ以上の部分にポタージュに生きる、
野菜や洋食厨房のスパイス使いがあり、
食の中央、中核地から余韻までに、
忘れられないリンゴの香が漂って心地良い。
まろやかなポタージュ、
そのまろみを甘さと酸味が上手に拾いますが、
それがリンゴ由来か、スパイス由来か、
その何とも言えない力具合の調律が、美味しいと思わせます。

【 メインディッシュ:1 】
【 ウスバハギのパネグリエ 】
【 クロホシフエダイのポワレ 】

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まずは何より、
「温野菜いっぱいが嬉しい!」と思う僕らふたり。
彩は何より、味もよく知っているから、
美味しいと知っているから、喜びが何倍にも増えます。

パネグリエ、
サクサクの食感と、熱気を帯びたしっとりの身。
このコンビネーションもさる事ながら、
パン粉の味の良さ、
強さがあって甘味もあって、
その甘味はウスバハギの甘味や香とは区別でき、
双方の香が交わって感じられます。
何とも言えない素朴さが全体にあり、
フライの、天麩羅の、
あの旨味の攻撃的な部分がなく、
「パネグリエ」と言う、
揚げ焼きの手法が、
ウスバハギにとって、とても良い相性であること、
僕らの味覚を以って、感じられました。

パネグリエに添えられた、
ウスバハギの肝のスモーク、これも素晴らしいものでした。
そもそも肝には旨味が詰まっていますが、
この密度のある、充実した旨味、
スモーク香と共に感じる「凝縮の美味」!
本来の美味しさより、より一層!
小粒でも弾ける様な印象を残してくれています。

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たっぷりの「温野菜」に隠れてしまっているけれど、
ポワレも存在感十分でした!
パネグリエ、肝と楽しむ中で、
王道とも言えるポワレには、
魚の魚らしい香がいっぱい!

メモには、
「なんだか海苔の様なニュアンス」とある。
塩の味、塩の香、
そうしたものもあるけれど、
味に乗って感じられる香もあるけれど、
どこか味付け海苔を焼いた風味の様な、
魚の皮目の香が、磯の香を漂わせつつ、
多様な香も伝えてくれる気がします。
身の美味しさは申し分なし!

大きな大きな“くくり”で言えば、
共に「白身」のお魚2品、
全く別の味わいで楽しむ事が出来ました!

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僕とYkさんはグラスワインを頂きながら、
2つ目のメインディッシュへ!
揚げ焼き、ポワレと来て、
次はどの様な魚料理で迎えてくれるのか!
この楽しみがたまらなくて、
洋食厨房にお願いしたんです!

【 メインディッシュ:2 】
【 ヅケガツオのスモーク、ロースト 】
【 プルーンとパイナップルのソース添え 】

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「ロースト」…
より一層、強いもので迎えるコースと言うものに従って、
続いて、僕らの前に届けられたのは、
カツオのローストでした。
盤上の“色み”も大きく変わり、
「焼き」の色彩を迎え入れます。

カツオと言う食材は、
思うに、
焼く事によって乾きを感じさせるもの…だと思います。
焼く事で乾いてしまって、パサつく。
だので、浸透している「タタキ」では、
「外硬内軟」の様相。

食べてみると、
バサッとした舌に乗る食感を感じつつも、
しっかり、運動から成る筋肉を感じさせる身の強さ、
ほぐれて、口の中に“肉”を思わせる強さと、
魚の香とが広がる風合、
香こそ魚の象徴に思え、
味、旨味の強さは肉に匹敵する部分もあり、
「カツオを食べる」行為に、
そのまま感謝を思える美味しさ。

添えられたソースと共に食べることで、
命への感謝から、味わいの感動に心は満たされます。

プルーンとパイナップルのソースは、
ただ、それだけで食べると、
酸味もあるけれど、極めて甘く、
冷温でないジャム…と言って過言はない感じ。
肉類と甘いソースは分かるし、
相性の良さを知っているけれど、
魚と甘いソースって相性が良いのか?
そう思えるほどに、
しっかりとした甘さがソースに感じられました。

共に食す、初めて感じる風合に、
塩や主たる味付けの素養は見られません。
食べて考える。
「なんだろう、この美味しさ」
ソース、いや最早ジャムは、
とても甘い。甘くて果実の香が美味しい。
カツオは前述通りにカツオらしくて美味しい。
それぞれが口の中に存在していつつも、
何かが口の中で主役になって感動させる。
ソースの甘味、
果実感、ジューシィさはカツオの身の乾きに、
豊潤な喜びを与えてくれます。

マグロの肉っぽさではダメだったかも知れず、
カツオの、焼くとやや淡白にもなりがちが雰囲気こそ、
この甘いソースに合っていると感じました。
素晴らしい一皿!

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これまでの野菜とバッティングしない、
更に多種類の野菜類。
エノキダケや舞茸などのキノコ類も、
非常に美味しく仕上がっていました。

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運ばれて来た時には、
下から見上げて、器の上に見えたニンジンやゴボウに、
「お、Ykさんが大好きな根菜たっぷりパスタか」と思う。

Ykさんの「根菜たっぷりパスタ」注文率は実に高く、
最近では「ナポリタン」に勝っているほど。
その色眼鏡で見るから気付くまで時間が掛かりました。

「 下がご飯 」

根菜の下にはご飯。

【 アカイカとキジエビのリゾット 】

洋食厨房曰く、
ベーコンを少し味付けとして入れただけで、
ほとんど、味付けとしては塩や胡椒だけ、と言うリゾット。

食べて思うのは、味の圧力。折り重なる力。
口の中で積算されて行く味わい。
まず旨味が強いと感じます。
イカを炊いた類の深い旨味と香。
ご飯ものに、お酒で使う言葉の
「ボディ」をあてがって良いのか分からないけれど、
まさに伝えたいと思うのは、
旨味ボディの充実さ。
ご飯の小高い山の中には、キジエビがゴロゴロと入っていて、
とろっとした食感と共に、
そこで更に旨味の素養が変わって美味しい。
ボディの強さがあるのに、
添えられた根菜類、
香の変化がとても楽しく感じます。
ご飯を食べている中で、
イカ飯の様な、それにしては穏やかに、
たとえば醤油を焦がした様な攻撃性がなく、
コースの食事、として、
満足してスプーンを運ぶ所作が、何とも言えずに心地が良い。

2品目のメインディッシュが終わったあと、
コースが「くどい、重い」などと言う気持ちは、
これっぽっちも思わなかった訳だけれど、
―― これだけ食べて来て、それはすごいこと ――
「お腹の具合はそろそろ満足手前」と言う段階。
そこに来て、スプーン運びに淀みがない。
リゾットとしても、
重みがあるものでなく、適度な量で、
最終局面、
食べ終わって、食後のコーヒーを望む気持ちは、
「ごちそうさまでした!」と空いたお皿を眺める気持ちは、
心からの感謝。
とても幸せになれるものでした。

ただ、このリゾットの隠し味が実に巧妙で効果的で。

言われてみると、香を拾うけれど、
元々、オムライスで実現した旨味を、
こうして使ってくるのは、洋食厨房の才、冴え渡る!
…そんな気がしました。

答えを教えてもらった時の驚きは、
楽しさに等しいものでした。
分からなかったなぁ♪

【 本日のおやさい:インゲンとブロッコリーのサラダ 】

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こんなにも野菜を食べてきた中で、
普段のコースにも添えられるサラダも捨てられません。
こうして食べるお野菜も大好きです。
馴染みの雰囲気が、どこかデザートの様にも感じられました。

ここ最近、
僕のお弁当にブロッコリーや、
スティックセニョールを入れたがる傾向があるのは、
こうして「洋食厨房」で美味しさを再認識しているからに、
他なりません。

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食後にはコーヒーを頂きつつ、デザートを。

【 デザート盛り合わせ 】

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完熟キウイフルーツのピューレ、
アイスクリーム、
林檎と柿、クリームチーズを挟んだショートケーキ、
イチジクのコンポート、
巨峰のコンポート、甘く煮たレンズマメの一皿。

どれも美味しいのだけれど、
果実が光る一皿でした。

特に完熟キウイのピューレは、
知っているキウイの果実そのものよりも、
ひょっとすると美味しかったかも知れません。
「キウイってこんなに美味しかったっけ?」と思ったほどで。
甘味の強さと香の高さ、豊かさ、
優しく感じられる酸味はピューレにした手腕の中で、
果実と技量とが相乗効果で生まれたものだと思います。
それだけをずっと舐めていたら幸せかも…
…と思える程に、魅惑的な味わいでした。


以上、
何でもない日に、
忙しくなりそうな11月を目前にして、
元気を付ける意味でもお願いした洋食厨房のディナー・コース!
たっぷりの栄養、心に伝わりました!

洋食厨房に、僕とYkさんは感謝をし、

「 ごちそうさまでした! 」

―――と伝えて、久し振りの更新「酒 宗夜」は以上。

多摩独酌会や城下町酒楽まつり、
大町・アルプス三蔵呑み歩きなど、
書きたい記事がたまっています。
第6回~第12回までの信州SAKEカントリーツーリズムも!



“楽しいこと”をより多く知っている。
知ろうとしている。得ようとしている。

それは目標への選択肢を、
目の前に自らぶら下げるニンジンを、
多く有することに違いない。

どれもこれも?
どっちつかず?

みんなまとめて、前に進んでみれば良い。
楽しい事について、急ぎすぎる事はない。

楽しさの数だけ、元気になれる!

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