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2010年7月25日 - 2010年7月31日

2010年7月31日 (土)

旅第4回・信州SAKEカントリーツーリズムツアー後編(2010年5月15日・佐久)


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前半より更新お時間頂きましたが、続きましては後半戦!
いやいや戦じゃありません。
Ykさんと楽しむ信州蔵元を巡る旅!
晴天一波、佐久平を駆け抜けて、
向かうは千曲錦、深山桜、亀の海、
澤の花、初鶯、佐久乃花、
続いて何処へ参りましょう!
SOJAとYkの旅4回目のお話、"続き"でございます。


【 信州SAKEカントリーツーリズム公式サイト 】
( http://www.nagano-sake.or.jp/tourism/ )

( 信州ディスティネーションキャンペーン・HP )
( http://www.nagano-tabi.net/sc/dc/ )


【 2010年5月15日 】

前編はこちら。
( http://sake-soja.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/4sake2010515-d4.html )

佐久、臼田の蔵巡りを終えた僕とYkさんは、
旧・望月町を目指します。
そうして、あと1蔵、その先に松本に戻って、
いつもの土曜日恒例の飲みに出たい。
そんな算段でした。

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僕は運転中なので、
助手席のYkさんに撮影してもらった佐久平。

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僕がこの道を初めて通ったのは、
たぶん、「よよぎ」の大将に
「佐久乃花」に連れて行ってもらった時だと思います。
すごく懐かしい、良い思い出。
大人の遠足、初めてでしたから。

こうしてYkさんと走る佐久平、
また再びスタンプを集めに、
また旅を楽しみに訪れる事でしょう。

予定最後の蔵元に行く前に、
僕とYkさんは遅めのお昼ご飯を。

【 佐久市望月・職人館 】

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田畑の多い地域にある「職人館」へやって来ました。
停められている先客さんの車、
ナンバープレートを見ると県外からのお客さんが多い様子。

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引き戸を通って中に入ります。
民芸雑貨が多く使われ雰囲気たっぷり。
囲炉裏のお席もある様子。

お昼、混みあっていた時間帯を上手に免れ、
僕らは眺めの良い席に案内して頂きました。

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窓枠がないと風景写真でしかないけれど。
瑠璃色の羽を持つ小鳥が何度か訪れたり、
自然に抱かれる場所にあるお店でした。

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お茶とお茶請けのお豆。お塩。
お茶は黒豆茶の様な風合を感じました。
お塩はお蕎麦を食べる際に、
蕎麦の味をより理解して欲しい故のお塩とのこと。
血圧が気になる僕は、
あまり試したりしなかったけれど、
お塩大好きYkさんは、風味の差、
塩の持つ旨味と香の差を感じた様でした。

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まだほんの少し肌寒かった季節。
薪のストーブが動いていました。
人が多い時分には熱気で点けてはいなかった様子。
静かになり始めた店内で、
ほんの少しの寒さに暖、Ykさんには嬉しかった様です。

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木造の店内。
お店の中と言うよりも民家と言う雰囲気…
…でも洒落た艶があり汚れの少ないテーブル。
田舎の隠れ家的食事処…
そんなイメージでした。

【 そばと何かほしい膳 】

僕とYkさんががお願いしたメニュウは、
「そばと何かほしい膳」と言うメニュウで、
お蕎麦の他に、お豆腐と、
そして"何か"がセットになったもの。
1人2625円のセットだけれど、
"何か"部分の充実、確かに感じる構成でした。

「職人そば」は890円。
「石臼挽十割そば」が1365円。
大盛りは475円増し。
膳は他にも4200円までのセットがあるけれど、
それぞれ十割そばの設定です。

【 みまき豆腐 】

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まずはお豆腐から。
甘味のあるお醤油もよく合っていました。

【 山菜のサラダ 】

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山菜とアスパラと蕪のサラダ。
ゆで卵を潰した黄身と白身が彩りに更に華を添えていました。
大きなアスパラに目を奪われる一皿で、
膳の中の"何か"に当たるもの。
ビックボリュームのサラダは嬉しいです。

【 山菜のあたたかいサラダ 】

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もう1品出て来た"何か"の一皿。
今度はあたたかいサラダ…
煮物、煮びたし、炒め物とは確かに違う毛色でした。
"あたたかいサラダ"が確かにしっくり来ます。
山椒の葉のアクセントが良く、
たっぷりの山菜、特にタラの芽は嬉しく感じました。
とても良い山の香が充満する一皿。

ほとんどこの2皿で満足の内容でしたが、
そうです、まだ本陣要のお蕎麦を食べていないのです。

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シンプルな蕎麦猪口。
葱と辛味大根は薬味として。

【 十割そば 】

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Ykさんの普通盛り。

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これが僕の大盛り。十分な量がありました。
そば粉は村内産の玄そばを100%使用しているそうです。
石臼挽きにて。
角のしっかりしたお蕎麦でした。
つゆはそっと蕎麦に添えられる印象。
何か特に香が強い訳でもないバランスタイプのつゆ故に、
蕎麦を食べて欲しい気持ちがあると感じます。

メニュウには地酒「職人館」と言うものもあり、
地元の大澤酒造が醸しているそうです。
最後、フロアに出て来た店主殿。
「これから大澤酒造に行くんです」と伝えると、
「そうかぁ!よろしく言っておいてくれよ!」と笑顔で送り出してくれました。


【 佐久市茂田井・大澤酒造 】

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入り組んだ道の中にある大澤酒造。
「信濃のかたりべ」や「明鏡止水」、
「大吉野」と言う銘柄を醸す蔵元です。

至近にはスタンプラリーには参加していないけれど、
「御園竹」の武重本家もある土地柄。

【 大澤酒造民族資料館 】

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この中に入ると…。

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アンテナショップになっております。
ここでお酒が買えます。

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店内にはいろんなものが並べられています。

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資料館入り口には佐瀬式の搾り機。
この日、後々の予定もあったため見なかったけれど、
他にも資料館が2つ併設されていました。

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壁には大きな「明鏡止水」の扇。

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壁には様々な額が掲げられていました。
歴代首相が書いている「国酒」のサインも、
何枚もあり、
首相の字を比べて眺める事も出来ました。

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日本最古の日本酒も展示されていました。
創業時のお酒が詰められていた白磁古万里の徳利だそうです。
昭和44年に280年ぶりに開封され、
酒造史に欠かす事が出来ない偉大な坂口謹一郎先生によって、
"日本最古の酒"と評価されたそうです。
元禄2年、1689年の造り。

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1階のショップフロアでは試飲も出来る様子。
Ykさんに試飲してもらって、購入するボトルを選びます。

【 大吉野・純米吟醸"ひとごこち" 】

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中でも僕らの好みのバランスに感じた、
白いラベル、純米吟醸"ひとごこち"を選びました。

さて。本日の蔵巡りはここまで!
初めて通過となる和田峠のルートを選びます。

前にいたトラックが程好いスピードを保ってくれていて、
岡谷まで安心してドライブできました。
そして塩尻に戻って来た後は、土曜日恒例の飲みに出ます!


【 松本市・よよぎ 】

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今晩は市役所近くの「よよぎ」にしました。
僕の中の思い出、佐久の思い出を再び体験し、
大将の顔が浮かんでいました。

【 長野・麻輝 & 群馬・結人 & 長野・豊賀 】

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長野・川中島幻舞"麻輝"・純米吟醸無濾過生原酒・直汲中取り、
群馬・結人(桂川)・純米吟醸無濾過・直汲本生、
長野・豊賀(米川)・特別純米生原酒、

まず日本酒は3種類を飲み比べ。
僕は「麻輝」、今年は特に好みで…
いや、元々大好きな蔵元なのだけれど、
より一層、美味しく頂いています。
香、メリハリ、味わいのインパクト、
本当に「旨い!」としか伝え様がないです。
Ykさんも気に入ってくれている銘柄。
「酒千蔵野」の他の銘柄「川中島幻舞」も、
好みが違う僕とYkさんで、
ふたりとも好んで飲む事が出来る貴重な蔵元さんです。

「結人」や「豊賀」は、
比較的Ykさんよりの好みだけれど、
僕も好きな蔵元さん足りえています。
「豊賀」の香ある厚味、伸びのある酒質、
「結人」の勢いのあり方、スマッシュ感、
共に好ましい味わいでした。

【 天然わさびおひたし 】

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メニュウにある時期には、
頼まずにはいられません。
辛味と言うより、
山葵の香が味わいたくて仕方がない。
すりおろした山葵にはない、
何とも柔和で青々しく、
海苔、鰹節、醤油の香と相まって、
素敵な香を届けてくれるんです。
大好物。
でも、今、この夏に食べたいとは思わない。
季節を味わうから、幸せに感じる気がします。

【 玉葱まるごと田楽焼 】

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わりと昔からメニュウにあるけれど、
そう言えば、1度も頼んだ事が無かったメニュウ。
Ykさんの「食べてみたい」がなければ、
今後も頼んだかどうか…。
玉葱の甘味と味噌の甘味、香ばしさの組み合わせは、
とても美味しかったです!
お酒に合わせる前に、
美味しさにつられて半分以上食べた気がします。

僕が何故頼んでいなかったかと言うと、
これに到達する前に満足していたからですネ。

【 尾赤あじたたき 】

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大将のあじたたきやなめろうは美味しいです。
酒に合うし、香も立つ。
香酒系の華やかなお酒にも乗って来ると思っています。
今書いている酒を使った落語に載せてしまいました。
(あじたたきは美味しいですが、落語の出来は散々です)

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途中、フキノトウのお味噌も味見させて頂きました。
これがまた苦味と香の芳しいこと、この上ない!
こうした地の味に触れる事が出来る、
大将の店、「美味しい!」と笑顔になれる場所。

【 長野・佐久乃花・辛口吟醸無濾過生原酒 】

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続いて、僕は「佐久乃花」を頂きました。
つい先程、旅をして来た佐久平。
お会いして来た蔵元さんのお顔が浮かびます。

さて、そして本日のメインディッシュ。
大将にお願いして、
山菜の天ぷらを揚げてもらう事にしました。
都度、揚げてもらえるので、
熱く、そして歯触りが最高に良い状態。
本当に美味しいんです。
春の楽しみ。
ただ、お店が混んでいると、
ちょっと難しいので、
タイミングは運次第、人の流れ次第と言った感じです。

【 山菜天ぷら 】

【 フキノハ、コシアブラ、モミジガサ 】

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フキノハのパリっとした歯触りは、
揚げたてだけの特権なんだそうです。

【 ヨモギ、ハリギリ 】

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見た目は似ていても味香はまったく違います。

【 ノビル 】

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甘味!芯の甘味と茎の野趣、コントラスト!

【 コゴミ 】

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自分の知っているコゴミと違う…と思うほど、
生きた甘味が存在していました。

【 ハンゴンソウ 】

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苦味と甘味が共存しています。
漢字で書くならば反魂草。

【 ユキザサ、フキノトウ、山ウド 】

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写真に撮り忘れているけれど、
「コシャク」ももらっています。
種類たっぷり!
それぞれ味わいに差があり、
ひとつ苦味と言っても様々で、
とても楽しむ事が出来ます。

Ykさんも大満足だった…
…と言うのは嬉しそうな声以上に、
何より満面の笑みでした。

【 ノビルと味噌 】

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最後にノビルとお味噌を頂いて、〆。
ノビル、カリッと良い音を立てて口の中に入って来ます。
そして始まる刺激的な元気いっぱいの野の味わい。
辛い玉葱と例えれば良いのか、
それ以上に野趣がありますよね。
「職人館」から続く山野草の1日になりました!
ごちそうさまでした!!

続いては松本の宿木へ。

【 松本市・摩幌美 】

【 第157回・モルトの会 】

ストックホルムから帰って来た酋長。
帰って来てから初のモルトの会が開催されました。
ストックホルムのお話を聞きつつ、
頂いたウィスキーはこちら。

【 Mackmyra・Special 】

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Svensk Single Malt Whisky

ストックホルムのBar「Akkurat」の
( http://www.akkurat.se/ )
ミッキーが来日した際にもたらした
「マクマイラ」…
スウェーデン製のウィスキー。
酋長は「モルトの会」のために、
その「Special」をお土産に持って来てくれました。

【 PRIZE OLD ALE'2001,2000,1999 】

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ブログ「ウィスキーライフ」のkiyo10さんが、
「プライズ・オールド・エール」と言うビールを持って来て下さいました。
醸造年、その後の熟成期間がすごい!
特に2000年が美味しく頂けたのだけれど、
中には「?」と思う味のボトルもあり、
古ければ良い、新しければ良いと言う事もなく、
ボトルコンディション、熟成の神秘を感じました。

そんなこんなで夜は更け、
たぶん終電あたりまで飲んでいたのだと思います。

以上、楽しく1日を過ごした、
旅第4回信州SAKEカントリーツーリズムツアー後半でした!



以上、
信州SAKEカントリーツーリズム、
SOJAとYkの旅第4回後半では1蔵を回りました!

スタンプ全76個制覇まで、残り53蔵です!


【 信州SAKEカントリーツーリズム公式サイト 】

( http://www.nagano-sake.or.jp/tourism/ )

蔵元情報や、推奨ルート、
最も重要なスタンプ台紙などは、こちらから!

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2010年7月26日 (月)

新川川、鎌倉山、作並の空、竹鶴の声。(2010年7月18日・宮城峡・ニッカウヰスキー仙台工場)


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人が歩いた後に歴史と言う道が築かれるならば、

その道を歩むのも、また人だと言う事を知る。




その時代を僕らは見た。

今年いちばんに暑い日差しの中を、
あの日、竹鶴政孝が歩いた道を追い掛けた。

「宮城峡」が育まれる作並の清流を眺めた。
竹鶴の声を僕らは聞いたはずだ。

グラスに命が吹き込まれた。
ただ、川のせせらぎをすくいとっただけの、あぁ、なんと輝かしい光。

竹鶴が佇む情景が蘇り、
「うまい!」
その一声、忘れられない呼吸、鎌倉山が見える緑多き熊笹の野に響く。

僕らが感じたのは、
工藤さんの喜びだろう。
喜びに託された命の歴史、
自然を思う心、時代そのものを見たんだ。

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僕らは、

僕らは、何を見た?

思い返してほしい。

あの日、竹鶴政孝を見たんじゃないか?


松本市駅前にある「Pub.摩幌美」、
「モルトウィスキーを楽しむ会」で行く蒸留所ツアー!
第3回目は「ニッカウヰスキー・仙台工場」、
「宮城峡蒸留所」に行って来ました!

【 Pub摩幌美 - Wonderful Scotland - 】
( http://www.mahorobi.com/ )

まずは僕らが訪れた「宮城峡蒸留所」について。

蒸留所の沿革をホームページより。

【 蒸留所の歩み 】
( 参考:NIKKA WHISKY ホームページ )
( http://www.nikka.com/ )

1967年(昭和42年):4月19日:建設候補用地発見
1967年(昭和42年):5月12日:竹鶴政孝視察。建設決定
1967年(昭和42年):11月:第1期工事着工

1968年(昭和43年):3月:起工式
1968年(昭和43年):9月:上棟式

1969年(昭和44年):3月27日:蒸留器火入れ式(操業開始)
1969年(昭和44年):5月10日:竣工式
1969年(昭和44年):6月:地番が「ニッカ1番地」となる

1975年(昭和50年):9月:第2期大増設工事に着手。

1983年(昭和58年):6月:工場緑化推進で通商産業大臣賞受賞
1986年(昭和61年):6月:工場緑化推進で内閣総理大臣賞受賞

1989年(平成元年):シングルモルト仙台宮城峡12年発売。
(操業20周年)

1999年(平成11年):グレーンウィスキー製造設備が西宮工場より移転。
(操業30周年)   (カフェスチルの移転)

2004年(平成16年):6月:Scotch Malt Whisky Societyの認定ボトルとなる。

2009年(平成21年):操業40周年

2010年(平成22年):現在

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昭和42年5月12日の記憶を知る旅となりました。
また、
カフェスチルの見学もさせて頂き、非常に有意義なツアーでした。


・   

過日、
僕にとって「宮城峡」とは?…そう問われるならば、
「思い出のひとつ」であると答えただろう。

蒸留所にYkさんと共に、酋長やAkさん、モルトの会のメンバーと共に赴く事で、
より深く思い出の輝きを今、感じている。

【 だいたい1年前を思い出したい(2009年4月11日・洋酒店醇)】
( http://sake-soja.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/2009411-5f1e.html )

上記の記事はお付き合いする前、
Ykさんと初めてカウンターに肩を並べた夜からだいたい1年後のお話。

ローマ人は「鉄は熱いうちに叩け!」と言ったとか言わないとか。

感動の記憶、
「摩幌美モルトの会で行く宮城峡蒸留所ツアー」、
記録を書き残して行きたいと思います!

長くなりますが、よろしくお付き合い下さいませ!


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【 2010年7月18日・旅2日目 】

前日17日に上京し、
大塚の「地酒屋こだま」、
両国の「麦酒倶楽部POPEYE」を楽しんだ僕とYkさん。
翌18日、
10時56分東京発の新幹線に乗る。
今回の旅は、「摩幌美」の酋長が取りまとめてくれたため、
全席指定の新幹線、みんな並んで旅に出る。

(僕らにとって至極普通で当たり前かつ当然のことですが、
 摩幌美のマスターを“酋長”と呼んでいます)

東京に前泊したのは僕とYkさん、そしてT田さん。
麦酒倶楽部POPEYEへ3人で行って来ました。

当日、始発の「特急あずさ」に乗って松本から上京したのは、
酋長、Akさん、Kn田さん、K根下さん、Kb田さん。
Y岡さんとは大宮で合流しました。

前日に仙台入りしていたkenchieさん、Skさんは、
途中のバスでA木さんに会い、
N澤さんは家族と一緒に先に宮城峡に到着したとの一報も入ります。

また東京からは麦溜さん、
( 麦溜 [Bakrew] の呑み歩る記。 )
( http://maltwhisky.usukeba.com/ )
K谷さん夫妻が集まり、大所帯となった旅。

新幹線の座席で落ち着いた頃合、
旅の祝砲一発、プルタブをひねる音が聞こえます。
旅路を楽しくさせる麦酒礼賛。
お昼ご飯は思い思いの「駅弁」で。

僕とYkさんも皆にならい、
お昼ご飯は駅弁を食べる事にしました。
車内販売であっても数種類あり、
選ぶのならば食べ比べてみよう!と言う発想から――…

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2種類あった「わっぱめし」とビールで。

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蓋を取るとこの様な佇まい。
美味しく頂きました。

東京から仙台までの乗車時間は、およそ1時間40分。
以前、八戸に向かった際は3時間であったので、
距離の比で考えれば妥当な時間だけれど、
それにしても、あっと言う間に感じました。
隣り合ったKn田さんに宮城県・石巻への電車道などをお聞きし、
更に翌日、松島までの道のりを思い、期待が膨らみます。
そんな車中、眠る間もなく仙台に到着しました。

仙台-山形を結ぶ仙山線へ乗り換え。
乗り換え案内による時間案内は8分間。
意外に遠い新幹線ホームから仙山線までの道。

無事に乗車してから40分程度の「作並」までの道は、
快適でゆったりとした休憩時間の様でした。
見る景色全てが初めて目に入れるもの。
好奇心が刺激され、今感じる時間そのものがとても楽しい。
車窓から見える景色は緑の景色、
山や丘が見え、家屋が間に分け入るように建っている。

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いよいよ次なる駅が目的地である
「作並」とのアナウンス。
胸躍らせて電光掲示板を撮るも、こんな按配に。
面影だけ捉えた様な。
まだ見ぬ「宮城峡」、写真でしか知らぬ「宮城峡」、
まるでそれを表すかの様に、
電光掲示板に集まり切らない文字。
いよいよ舞台に到着です。

【 JR仙山線・作並駅 】

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山形へ向かう電車を見送り、ホームを降りようとすると、
出迎えてくれるのは大きな顔のこけし。
また「作並」駅は現在に続く機関車の「交流電化」の礎として、
重要な場所であるそうで、記念碑が建てられていました。

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電車の時間に合わせて、
蒸留所へ向かうシャトルバスが待っていてくれます。

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この日、この時間、バスは満席でした!
みんなで乗り合わせる感覚は、
なんだか旅らしさを一層、感じさせてくれますね。

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作並駅からは10分も要さずに、
宮城峡蒸留所の入り口まで辿り着きました。

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自然を愛した竹鶴政孝の声が届けられた蒸留所。
入り口から、仕込み棟、蒸留棟の裏を通り、
守衛、ロータリーのある敷地内まで、
川沿いに長く道が続きました。
今、棟の裏からでは何も分からないけれど、
次々と目の前に飛び込んで来る銀色の配管、
背中へと伸びて行く木々の連なりは、
蒸留所との出会い、気持ちをはやらせます。

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ニッカウヰスキー仙台工場「宮城峡蒸留所」に到着です!


【 見学受付待合所 】

見学の受付を行い、
またロッカーがあるので手荷物を預けました。
自分はロッカーに入り切らない程の
大きなトランクを抱えていたのですが、
受付に預かってもらう事で、
無事、蒸留所見学に臨む事が出来ました。

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蒸留所の施設、ガイドマップ。

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竹鶴政孝の肖像と蒸留所が映像で紹介されていました。

【 蒸留所散策 】

「摩幌美」、
酋長のツアーは一般の見学ルートより、更にスペシャルなツアー。
まず僕らは事務棟に向かう事になります。

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奥へ長く続く広い道路。遠くに山が見えます。
雄大であり、この場所が山に抱かれている事を実感する風景。

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メイン道路に沿って赤レンガ造りの連峰が聳えます。
手前からキルン塔、グレーンウィスキー醸造棟、ミル棟。
写っていない範囲では手前にグレーン蒸留棟、
奥に仕込み棟、蒸留棟、混和棟など。

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木々生い茂り、草花光り。
緑の絨毯に照る日差し、夏の陽光は強く降り注ぎますが、
多く生きる木々の影に守られて進みます。
池のカルガモが庭を散歩する光景も見ることが出来ました。

【 事務棟 】

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宮城峡蒸留所の「事務棟」に案内して頂きました。

【 NIKKA WHISKY SENDAI DISTILLERY 】

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入り口に輝くエンブレム。

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会議室に案内され、
訪れた宮城峡蒸留所について、講義を受けます。
これから巡る蒸留所ツアーを、
もっと有意義なものにする為の知識。

【 仙台宮城峡の魅力について 】

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~ 竹鶴政孝が選んだ“約束の地” ~

2008年ウィスキーマガジンライブ、
マスタークラスにおいて使用した資料を元に、
「宮城峡蒸留所」の沿革を学びます。

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解説して下さったのは、品質管理を行う瀧瀬さん。
後の見学も含めて、丸1日、とてもお世話になりました。


まずニッカウヰスキー、
第1の蒸留所「余市」について。

竹鶴政孝著・実習報告書より、
「余市」を選定した理由は以下。

水質佳良にして、その量豊富なる所。
原料大麦を集め易き所。
石炭又は薪を得易き所。
鉄道の便あるところ。
附近に河水の便ある所。
その他に、ピートが取れる、樽材(ミズナラ)が豊富。

北海道・余市の、
「適度に湿潤な上に冷涼で澄んだ空気とその気候風土」により選ばれる。

第2のモルトウイスキー蒸留所である「宮城峡」が必要とされた、
着工までの時代背景は以下の様。

1934年、北海道余市郡余市町に「大日本果汁株式会社」を設立。

1940年(昭和15年)に第1号ウイスキー「ニッカウヰスキー」が発売。
しかし、製造販売制限が掛かり蒸留所が海軍指定工場になってしまう。
→大麦の配給を受け、原酒製造は継続。

1949年(昭和24年)、酒類販売の自由化。3級ウイスキー市場の拡大。
1952年(昭和27年)、本社を東京に移す。
「大日本果汁株式会社」から「ニッカウヰスキー株式会社」に社名変更。

1956年(昭和31年)、「丸びんウイスキー」発売。
洋酒ブーム到来。ニッカ・バー等の飲食店が増え市場が拡大。

1962年(昭和37年)、スーパーニッカ発売。
1964年(昭和39年)、ハイニッカ発売。
1965年(昭和40年)、ブラックニッカ発売。

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スーパーニッカ、ブラックニッカは、
大好きなブレンデッド・ウィスキーです。
今もなお愛せる、愛されているブレンデッドって、
「すごいなぁ」…と感じます。
続いている事実こそ魅力の証明。

ウイスキーが民間に浸透し、嗜好品として好まれる様にもなり、
更なる良質のウイスキーを提供して行くこと、
味わいの奥深い世界、表現の多様化を狙い、
スコットランドのウイスキー地域「ハイランド」の個性に近い、
「余市」に対して、
第2の蒸留所は「ローランド」をイメージし、必要としたそうです。

新たな蒸留所の選定、基本条件は、
平均気温は年間平均10℃前後、
気候条件は冬季の積雪とモンスーン気候の影響を受けない内陸で、
地域条件は栃木県以北の本州。
現在の仙台・作並地区以外にも候補地は幾つかあったそうです。

選定に必須の条件は、
水質の良い豊富な水があり、
湿潤な風土、清浄な空気と緑豊かな環境であること。

また、竹鶴政孝のこだわりとして、
“日本人の主食「米」を育てる水田を潰してまで蒸留所は建てない”
…と言うルール。

仙台工場の場所は、
天啓の様に開けた土地であり、深い緑と清浄な空気に育まれ、
靄の立つ湿潤な風土であったと。
四季折々に風景がありますが、
仕込み棟の廊下に、蒸留所職員さんの素敵な写真がありますので、
赴かれる際には必見です。

仙台工場は広瀬川と新川川の交差するところにあります。
メイン道路の向こうに見える鎌倉山は標高520mで、
交通の便としては国道48号線沿い、
JR仙山線「作並」の近く…は、
今、僕らが通ってきた道。

湿潤を表す指標として、
東京の年間降水量は1,466.7mm、
余市の年間降水量は1,372.5mm、
宮城峡の年間降水量は1,520.2mmと言うデータがあり、
年間の降水量グラフはおおよそ東京に近いカーブを描く。
3月~6月、10月~11月はむしろ東京の方が降水量が多いが、
6月から10月までが実に潤いを持っていると分かる。
「去年は梅雨が明けなかった」…とは瀧瀬さんのコメント。
梅雨明けは気象庁の判断次第だから、
やはり湿潤豊かなる土地であることが分かります。

朝は霧が多く発現し、
5月から梅雨直前あたりが最も気温が高くなるそうです。
よって、
僕らが訪れた7月18日梅雨明け宣言の日、
データから言えば、最も暑い日となるかも…とのこと。
実際にかなり暑く感じて汗だくでツアーを行いましたが、
でも、それもまた「現場」を感じられる雰囲気で、
長袖、長ズボンの作業服を着ていた瀧瀬さんが、
一番暑い思いをして、
頑張って蒸留所を解説してくれていたんだと思い、更に感謝。

豊かな広葉樹林に恵まれた土地で、
故に自然保水力が高く、
常に湿度は60-70%程度であるそうです。
全敷地面積は約54000坪、
施設レイアウトは自然の起伏を活かし、
竹鶴政孝の命による、
“必要以上に木を切ってはならない”約束を守って建設。
現在は緑化優良工場として、
通産省大臣賞、内閣総理大臣賞で表彰を受けているけれど、
何か頑張って取り組んでいる…と言うより、
竹鶴政孝の命題のまま、木を切っていないだけであるとのこと。
それが何より素晴らしいと思います。

現在では主流であるけれど、
醸造や蒸留に際して、
コンピュータ制御を行うべく「中央制御室」を組み込んだのは、
本場スコットランドよりも早くかった。
当時は職人の勘や技術が信じられていた頃で、
スコットランドから、あまり良く見られなかったそうだけれど、
そう“現在では主流”、
後の世の流れをいち早く取り入れていたのだと分かります。

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しっかりニッカウヰスキー仙台工場を学ぶことが出来ました!
写真は全体図。
羽ばたく鳥を横から見た図に見えるのは僕だけでしょうか。

さて。いよいよ蒸留所ツアーに出発します。
手渡されたのは「NIKKA」ロゴのヘルメット。

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似合う人、似合わない人様々。
自分はどうだったでしょうか。
Ykさんはとても似合っており、思わず写真を撮りました。
携帯電話の待ち受け画面にしようか悩んでいます。

ヘルメットは一般の見学者さんでは、
安全上の理由もあり、立ち入れない部分にも入らせて頂けるが故の保全措置。
また瀧瀬さんが持つマイクの声を受信する、
トランシーバもひとりひとつ受け取ります。
おかげさまで声を全て拾うことが出来ました。

醸造、蒸留の工程に沿って見学して行きます。
僕らが向かった最初の場所は、
製造工程よりももっと先、
「宮城峡蒸留所」が誕生するきっかけとなった場所。

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【 新川川のたもと 】

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「ニッカ仙台工場建設決定の地」
…と言う記念碑が木陰に建てられていました。

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宮城峡蒸留所の場所が決められたエピソード。
諸説ある様ですが、
現地を視察した竹鶴政孝が、
「おい工藤、その川の水を汲んでこい」と言い、
水を試し、決定したそうです。

記念碑にも、
「昭和42年5月にこの地を訪れ、清流を汲み飲んで、
 あまりにも清冽で磨かれた味に驚嘆し、
 北海道余市に続いてニッカが求めた第2のウイスキーの故郷、
 仙台工場の建設を決定した記念の地」とあります。

Cimg0766

工藤光家さん。
竹鶴と共に、作並の野に立ち、
竹鶴の命で水を汲み、差し出した方です。

今回の蒸留所ツアーのスペシャルゲスト。
この場、この地、時間、
呼び掛けた酋長に、応えて下さった工藤さんに、
全て感動に感謝が溢れます。

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工藤さんにその日、
昭和42年5月12日のお話をお聞きします。
文献に書かれた紐解く、ページをめくる史実ではない、
工藤さんの声は、全て実体験した記憶の声。

「 本当にこの場所はあの頃のままなんです 」

工藤さんは持っていたグラスで、川の清流を汲み上げます。

「あの日、竹鶴に言われ、こうしてグラスを差し出しました」

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岩魚も住むと言う清流。
5月12日も、こうした陽光を浴びて水面は輝いていたでしょうか。

Cimg0767

ここで麦溜さんに竹鶴政孝役を演じて頂きます。

あの日この場所で工藤さんから手渡された水と同じ、
新川川の水を受け取ります。
あぁ、注がれる…と思いました。
命が注がれている、手と手で繋がれる、渡される。
時代が見えている。

竹鶴政孝は、まず水の香を試しました。
黙して試し、
そしてポケットからブラックニッカの小瓶を取り出すと、
数滴、グラスの中に落としました。

ぐい、とグラスの中に生まれた命を飲み、
大きく「うまい!」と発したそうです。

それが「宮城峡」誕生の瞬間。
同時に竹鶴は「鎌倉山」を指差し、
「広い道路をあの山に向かって建てよう」と言ったそうです。

工藤さんの声、
喜びを感じさせる声は、誰しも胸に響いていたと思います。

Cimg0761

ここでひとつの時代が生まれた。
“変わらない景色”の中に、竹鶴政孝を見た…と僕は思う。


工藤さんから、その2年後のお話も聞かせてもらいました。
ニッカウヰスキー仙台工場が完成し、操業。
初めてのモルト原酒を竹鶴政孝が試す…と言う記念すべき日。
工藤さんをはじめ製造に携わった社員は、これ以上ない緊張の中にいたそうです。
そこでテイスティンググラスに鼻を近づけた竹鶴の一言。

「 違うぞ!! 」

…には、驚き、すくみ、どうしたものかと思ったそうです。

「 これでいいんだ 」

第1の蒸留所「余市」と違うから良い。
モルト原酒は竹鶴が望んでいたものだと認められる。

しかし、竹鶴政孝は香を嗅ぐばかりで試そうとしない。
再び、工藤さんを呼び寄せて手にしたグラスを渡します。

「 川に注いできて欲しい 」

「 まず最初に飲むのは自分ではない 」

「 俺が造ったウイスキーではない 」

「 ニッカワが造ったウイスキーだから、川に真っ先に飲んでもらうんだ 」

「 工藤、感謝を込めて、この酒をニッカワに注いで来てくれ 」

そう言ったそうです。
工藤さんはそうして再びこの地に、
岸辺に戻り、ウイスキーを川に戻しました。
竹鶴は自然への感謝を大切にした人。
その思いを強く感じました。
竹鶴に学んだ自然への深い感謝。
川に一礼、宮城峡で生まれた命の雫を、元あった自然の中に戻す。
とめどなく涙が溢れたと言います。

ちなみに「新川川」は「ニッカワがわ」と読みます。
「ニッカ」の蒸留所を建てるために、
川の名前が変わったのではなく、
この名前は本当に偶然だったそうです。
実際、以上の流れで建設地として決め、
近所の農家に川の名前を聞きに行き、口を揃えて「ニッカワ、ニッカワ」と言うので、
本来極秘扱いにされるべき蒸留所建設計画が漏れたかと思ったそうです。
(極秘扱いであるのは地価などに影響があるからだとか)

ただ、蒸留所のある
「宮城県仙台市青葉区ニッカ一番地」と言う住所は、
1969年6月に条例が改正されて贈られた番地。
以前は宮城県宮城郡宮城町大字作並戸崎原上…と続く長いもの。
当時、企業誘致を積極的に進めていた宮城県知事「高橋進太郎」氏。
庄子長吉宮城町長との竹鶴政孝の会談の中で、
「ニッカの宮城県進出記念に贈り物がしたい」と申し出があり、
竹鶴は「番地名をニッカにして欲しい」と答えたことがきっかけ。
「番地の変更」と言う発想も奇抜であるし、
それに応え実現させた宮城県も器が大きいと感じます。

新川川にある岩。
この岩にも逸話があり、聞く事ができました。

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宮城峡蒸留所の建設を請け負った企業が、
「何かお祝いをしたいんだが、ご希望ありますか?」
…と竹鶴政孝に聞いたことがきっかけ。
竹鶴は「では、あの岩を池に移すのはどうだろう?」と答えます。
写真で見てもあまり大きくない岩です。
実際に見た僕らもそう見えました。
「お安い御用ですよ!」と答えた建設会社の仙台支店長。

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池に移動した岩。ただし半分。
実際に岩を運ぼうとした所、
意外にも地中深くに入り込んでいて掘り起こせもせず、
どうにもならない大きな岩だったそうです。
竹鶴威に企業から「折り入って話があります」と連絡があり、
発破して半分を砕いて池に移す事でも良いか…とのことで。
竹鶴政孝は大笑いして快諾したと言う逸話のある岩。

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新川川のほとりから蒸留施設のある敷地内へ戻ってきました。
存在感を増す鎌倉山。
あの日、竹鶴政孝が指示した
「あの山に向かって広い道路を作ろう」…その風景。
ただ違うのは今は実現された道路があり、赤レンガの建物があるだけ。

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「木をなるべく切らず、林を残せ」

出来るだけ自然に手を加えないように。
工事し難くとも自然を残して。
木の1本1本にも「これは切らない」と印を付けて回ったそうです。
自然を愛する竹鶴政孝を感じるエピソード、
たくさん残っています。

【 グレーン蒸留棟 】

Cimg0775

グレーンウイスキー蒸留棟にやって来ました。
「宮城峡」の特色として、
必ず上げられるのは「カフェ式連続式蒸溜機」、
この建物の中にある連続式蒸留機です。
開発者「イニアス・カフェ」の名が付けられた蒸留機。
1962年に導入され、1999年に兵庫県の西宮工場より移転されて来たもの。
導入当時としても連続式蒸留機としては、
極めて旧式のシステムで蒸留する機械。
(カフェ式が開発されたのは1830年代とされている)

連続式蒸留機の誕生は単式蒸留器に対して効率を重視させたいからこそ。
蒸留効率を求めるシステムゆえ、
アルコール精製度は高められるけれど、
香味成分までをも除去してしまう可能性があります。

カフェ式を導入した竹鶴政孝は、
「本物の美味しさ」へのこだわりから、
旧式で蒸留効率は劣るが、穀物由来の香、成分がわずかに残るカフェ式を採用したそうです。
事実、後ほどテイスティングさせてもらったモルト原酒には、
見違えるほどの差がありました。

僕がこのカフェ式蒸留器によるウイスキーに出会ったのは、
2008年3月19日、もちろん「摩幌美」にて。
ブログを始める前の「mixi」上の日記、
テイスティングノートを抜粋して掲載します。

【 NIKKA Single Coffey Malt 12 years Old 】

Cm

高いカラメルの香、木の香。
強く濃い雰囲気。
甘くて…なんだか美味しい感じの香。

何とも言えない甘さの話を酋長さんにすると、
的を得た答えが返ってきた。

「 ん、クッキーみたいな香するよね 」

「 あっ!!それです! 」

香ばしいタイプの…折ると欠片が飛び散りそうな、
ややハードタイプのクッキー、マーブル模様で、
ココアが練り込んである…あ、それだ。それに近いんだ。
この甘い香。
「バニラ香」と呼ばれるのも頷ける。
よく日光を吸ったワラ束の中に手を入れたような…。

飲んでみて驚く。
ものすごくクリーミーだ。
舌触りが柔らかくて、でも香は高い。洋梨系の良い香が上って来る。
うん、「柔らかい」…と言うよりも、
刺激を感じさせない、そんな優しさを思う。
余韻がまとまったまま、収束する事無くあたたかみを持ったまま、留まる。

カフェモルトは原料の香が出やすい…と言うけれど、
その味わいの強さが、このクリーミーさと、
伸びて行くのではなく、
留まる風合を作り出してくれているのかなぁ。

何より、
12年を思わせない香の重さ、重厚さがある。
酋長さん曰く、
“おそらくバーボン樽での熟成なのだろう”…けれど、
「どうかなぁ」と思う所もあるみたい。
あまり僕は分かっていないけれど、
バーボン樽だけにしては、香の移ろいが芳しい気がします。

水を口に入れた瞬間の甘い味わいは、
ビックリする良さがあります。
チェイサーが美味しい。
余韻を水で膨らませて和らげて飲み干す感覚。
それでいてせせらぎの様な心地良さ、透き通る感覚、
水が通り越した先の舌に残った、ほのかな甘さ。


――と、自分は感じていた様子。
「酋長さん」と書いている自分も居た事に驚きつつ。
実際、ダンカンテイラー社のグレーンウイスキー、
「キャメロン・ブリッジ29年」が自宅にあるけれど、
比べてみても、
12年、29年の熟成年数の差以上に、
大きな差が味わいにあり、
世界唯一とされるカフェモルトの稀有で美味な存在を実感しています。

グレーンウイスキー蒸留棟内部の模型が、
単式蒸留棟にありました。

Cimg0820

内部、本当にこんな感じです。
足場が更に細部まで組み込まれていて、
ただ箱が立ち並び、塔やらビルやらそうした方形の建物、
建物の中に建物が更にある様な感覚でした。
カフェ式内部は銅製で、
銅の肉厚をチェックして入れ替えを行っているそうです。
ランニング・コストは高めであるし、
蒸留効率もけして良くないけれど、得られる原酒は僕らが知っている美味しさ。
内管を通るもろみで蒸留液を冷やして行く。
熱効率が良い仕組みだそうです。そうした自然の冷やし方と、
コンピュータ制御によって上手に蒸留して行くシステム。

銀色の銘盤が貼られていました。

BLAIRS LIMITED
GLASGOW
1963

1963年グラスゴーのブレアー社。
導入の歴史を紐解くと1962年とあるが…?

→導入が1963年とあり、
 実稼動が1964年とある。
銘盤からもHPにある1962年は、
注文や購入決定の年号かも知れませんね。

【 キルン塔 】

Cimg0725

続いて訪れたのはキルン塔。
大麦麦芽を乾燥させる施設。

Cimg0792

蒸留所のシンボル的な形の建物です。
内部には炭の匂いが漂っていました。
焼いた炭、木の匂いと言うよりも、
ピートを焚く匂いに近い感覚。

Cimg0794

【 ミル棟 】

Cimg0798

麦芽を破砕するミルが含まれる棟。
奥にサイロがあります。

【 仕込み棟 】

Cimg0799

製造がお休みの日である事から、
仕込み棟内部にも入る事が出来ました。
ミル棟から送られて来る麦芽の次段の処理。
「糖化」が行われます。

Cimg0801

間近でマッシュタンを見学。
ここで麦汁が作られ、
更に別室で発酵を行い蒸留の過程へ送られます。

Cimg0816

製造工程を表すパネル。

Cimg0817

マッシュタンの隣に制御室があり、
更にその先に醗酵室があります。

Cimg0818

仕込み棟出口には、
「KING OF BLENDERS」のロゴ。

【 蒸留棟 】

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続いて「蒸留棟」に案内して頂きました。

Cimg0822

先んじて初溜釜、奥に再溜釜があります。

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蒸留器にはしめ縄が為されています。
これは「余市」蒸留所も同じだそうです。

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蒸留器を見上げるモルトの会のメンバー。

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ポットスチル、単式蒸溜器の構造図。

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初溜、再溜の図。
仕込み棟から送られて来るもろみは、
2度、蒸留され、次工程の「貯蔵・熟成」に移ります。

参考に、
昨年訪れた秩父蒸留所のポットスチル。

Cimg6398

Cimg6383

軽井沢蒸留所のポットスチル。

Cimg6499

一昨年に訪れた白州蒸留所のポットスチル。

Cimg3302_2

「宮城峡」のポットスチルは「バルジ型」と言うスタイルです。

Cimg0830

対して「余市」蒸留所のポットスチルは「ストレートヘッド型」、
上部ラインアームは下向きに設置されています。
「余市」のポットスチルとラインアームの組み合わせは、
重厚でコクのあるモルトを作り出すと言われています。

Cimg0832

「宮城峡」はバルジ型で上部ラインアームは上向きに設置されています。
軽やかで、華やか、スムースなモルトを作り出す設計です。

更に加熱方法にも「余市」と「宮城峡」には差があり、
「余市」はスコットランドでも珍しい「石炭直火蒸留」、
「宮城峡」はスチームを使った「蒸気間接蒸留」で、
「石炭直火蒸留」より低温の約130℃で時間を掛けて蒸留を行うそうです。

【 貯蔵庫 】

Cimg0841

続いて、貯蔵庫に向かいます。
貯蔵庫は仕込み、蒸留施設とは反対側に立ち並んでいます。

Cimg0843

静かに樽出しを待つ熟成中の樽。

Cimg0844

作並の大地の上、
森、土、霧、全て自然の空気を吸って育まれている、
宮城峡のウイスキー。

Cimg0845

それぞれの貯蔵庫に幾樽もの夢が眠っています。

Cimg0846

これにて製造工程に沿って見学した、
蒸留所ツアーは終了!
素晴らしい体験の連続、限りない感謝を!!


【 再び事務棟:応接室 】

Cimg0754

蒸留所を1周し、事務棟に戻って来ました。
応接室に通して頂き、
宮城峡蒸留所のウイスキー原酒をテイスティングさせて頂きました。

Cimg0851

中央、
透明なボトルはカフェグレーン原酒未貯蔵。
まだ硬い感覚だけれど、
飲むと実に厚く、甘みがあって美味しい。
未貯蔵の原酒とは思えない美味しさがありました。

右、
貯蔵されたカフェグレーン原酒は、
非常に素晴らしい、美味しいと感じました。
瀧瀬さん曰く、おそらくは5年程度の熟成年数とのこと。
キャラメルミルクの華やかで甘味豊かな香。
Ykさんもその香に感嘆。
マザーウォーターである宮城峡仕込み水で割ると、
更にミント様の香が立ち、優しさと香に変化。
柔らかさを伴って伸びて行きます。

Cimg0849

ニッカウヰスキー仙台工場のモルト原酒。
写っていない未貯蔵のもの、
中央の5年貯蔵、右の12年貯蔵のものを比べて行くと、
その色合い、熟成の差を感じられます。

未貯蔵のモルト原酒は、
イチジクや酸い香があり、
同じ未貯蔵の原酒と言えど、
カフェグレーン原酒とは大きく違った雰囲気。
ヒリヒリする感覚もあるけれど、
これまで飲んできたニューポットの中でも飲みやすい、
穏やかさも持っていると感じられました。

5年熟成の原酒は甘くも華やかで、
若い感覚と強いアルコール感が元気な感覚とを持ち、
美味しさと華やかさを拾います。

5年熟成も十分美味しいと思ったのだけれど、
12年熟成の香、味を試すと、
「完成」とは何か…と言う事の真意に気付く事ができます。
華やかさだけでなく複雑さも持ち、
余韻の伸びて行く木の香は長く続き、幸せな気持ちになります。

また仕込み水が非常に美味しく感じました。
暑い日、汗だくで周遊した蒸留所内、
その後の水だから美味しいか…と思うにしても、
透明感、喉越し、甘み…全てにおいて、
非常に美味しい水であったと感じます。

座席には思い思い座っていたのだけれど、
工藤さん曰く、Akさんが座っていた場所が、
当時、竹鶴政孝が座っていた場所だそうです。

最後にみんなで記念写真を撮影しました。
工藤さんを中央に、
その両脇に酋長とAkさん。
瀧瀬さんにシャッターを切ってもらいました。
「はいチーズ!」ではなく、
「ニッカウヰスキー」だからこそ「ニッカ」と言って笑顔の写真。
その後は思い思い、
ゲストハウスでお土産を買うなどして、蒸留所を後にしました。
楽しい時間は本当にあっという間ですね。
夢中で過ごしたニッカウヰスキー仙台工場の見学でした。

工藤さん、瀧瀬さん、本当にお世話になりました!
ありがとうございました!
僕らはとても…
心から感動する、素晴らしい体験を味わうことが出来ました!


その日、作並では国道上で事故があり、
道路が渋滞していて、
シャトルバスの時間間隔などを加味した結果、
乗りたい電車に間に合いそうもないお時間となっていました。
タクシーを呼ぶも、
特異な状況下の今、1台しか派遣できないと言われる状況。

諸事情により、
僕とYkさん、kenchieさんとSkさんが、
そのタクシーに乗せてもらうことになり、
他、酋長をはじめ、モルトの会のメンバーは、
作並駅まで歩いて向かいました。
心から感謝。

僕らがしばらくしてやってきたタクシーに乗り、
作並駅に着くと同時に、
本当に偶然ながら、
“歩き”のメンバーも作並駅に到着しました。

Cimg0861

黄昏るモルトの会メンバー。

Cimg0863

充実した蒸留所ツアー!
酋長、Akさん、
そして共に楽しんだモルトの会の皆様、
本当に本当にお疲れさまでした!



【 BLACK NIKKA aged 8 years 】

Cimg1079

今回、僕が購入したお土産のボトル。
8年のブラックニッカは初めて見ました。
荷物が重くなるとしても我慢できずに購入です。

Cimg1060

旅の後、いつも通りの毎日を経て週末、
いつも通り「摩幌美」での夜を楽しむ僕とYkさん。
A木さんが応接室で撮影した集合写真を印刷し、
持って来てくださいました。

みんな笑顔です。
僕は写真写りの悪さに抜群の自信があるのですが、
そんな僕ですらも笑顔。
心から楽しんだ表情を誰からも感じます。
こんなに良く撮れた集合写真は初めて見ました。
そう、誰か1人くらい目をつぶっていたりしたって良いのに。

僕らの笑顔、笑顔の記録は、
もしかすると、
竹鶴政孝が僕らに与えてくれた、
素敵な贈り物なのかも知れません。

きっとみんな、もっと「宮城峡」が好きになった事でしょう。

以上、

「ニッカウヰスキー仙台工場・宮城峡」見学記、

長い記事になりました!

お読み頂きまして、本当にありがとうございました!


「Pub.摩幌美」
モルトウイスキーを楽しむ会で行く蒸留所見学、過去の記録。

【 森の蒸留所を歩く!(2008年7月21日・白州蒸留所) 】
( http://sake-soja.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/2008721-7f17.html )

【 つくることは、やはり無限の可能性なのだ、と。(2009年7月19日・ベンチャーウィスキー “イチローズモルト” 秩父蒸留所) 】
( http://sake-soja.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/2009719-52fd.html )

【 軽井沢よ、君はこのまま眠ってしまうのか(メルシャン軽井沢蒸留所)】
( http://sake-soja.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/2009720-4d0d.html )

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