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2010年7月4日 - 2010年7月10日

2010年7月 5日 (月)

選ばれたグレングラント(GLEN GRANT)(2010年2月21日・MC09:ダンカンテイラー)


「ウィスキーマガジンライブ」は2010年2月の事で、
今となっては全て思い出であるのだけれど、
マスタークラスで選び出したボトルが発売されました。

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これまでの「ダンカンテイラー・ピアレス」シリーズとは、
ラベルデザインが大きく違っています。

当日を振り返りつつ、記録を。


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まず、マーク・ワットはダンカンテイラー社の紹介から始めます。
これについては、
昨年「ウィスキーマガジン2009」で参加した、
同「ダンカンテイラー」のマスタークラスで記したブログに、
書いてありますので、そちらを参照してくださいませ。

( テイスティングって楽しい。とても楽しい!(2009年2月22日・MC4:ダンカンテイラー) )
( http://sake-soja.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/2009222mc4-f5e7.html )

今回は前回と違い、
社長さんが居ないからか、
マーク・ワットが実に楽しくウィットに飛んでいて、
面白いヤツだと知ることが出来ました。
( あくまで敬愛を込めての“ヤツ”呼ばわりです )

今回のテーマから集めた樽…ウィスキー原酒、
このマスタークラスにして「大盤振る舞い」だそうで、
通訳さんも一緒になって笑いながら訳して下さった内容は、
「アホかとバカかと」って位に出血大サービスなのだそうです。

実際、その当日にはあまり実感が無かったけれど、
今回、発売されたボトルは1本20000円程度。
自分がいざ買う時になって、
あの日、目の前に置かれていたグラスが、
貴重で、ハイレンジの、
シングル・モルト・ウィスキーだと思い知りました。
年代から言えば、
比較的安価で手に入りやすいイメージがある、
「ダンカンテイラー」社において、
20000円クラスって、やっぱり相当だと感じますから。

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“ The Selection Process ”

今回の趣旨、
これからテイスティングするシングル・モルト・ウィスキーは、
まだ瓶詰されていないもの…と言う事が要。

用意された「グレングラント」は3種類、
「グレンロセス」も3種類、
それぞれテイスティングしてアンケートを取ります。
マスタークラス会場が選び出した、
「グレングラント」、
「グレンロセス」を実際にボトリングし発売、
その裏ラベルに、
今日訪れた全ての人の名前を印刷する…と言う企画。

【 Glen Grant 1969 - Sample 1 】

むぁっとする香。蜂蜜と水。
強い。
好みとは遠いが、
デリシャスアップル系の雰囲気が
全てを制するように強く、モルト感も強い。
アフターに優しいモルトっぽさが残る。

マーク・ワットは、
満開のオレンジ。甘い、クリーミー…とテイスティング。
そして、
「何を言っても間違いではない」と感想全て正しいと教えてくれます。
これは去年と同じ。
テイスティングは思う全てが正しいんです。
権威がテイスティングしたからって、
それが何も全て正しいのではなく、
飲む人、その人が感じた全てがとても正しいんです。

Ykさんもこの言葉に自信を持って、
いろんなコメントを残してくれました。

Ykさん、
No.1は最初の強さが印象的で、
空気に触れてからは甘く感じ、バニラの香を思っていたとのこと。

その後のSOJAのテイスティング、
強めに香を吸い込むと確かにオレンジ、クリームの雰囲気。
香が控えめだ…と思ったけれど、だんだんと出て来る。
味わいどうにも強く感じる。
好みのバランスと比べて強い感じ。

マーク・ワットは言います。
今日、お持ちした樽は瓶詰前のものです。
ノン・チルフィルティング、ノン・カラーリングで、
カスクでのボトリングが、
ダンカンテイラー社のモットーです。
(無濾過、無着色、原酒と言うこと)

ダンカンテイラーは、
樽が持つユニークさ、独自性を重視します。
着色や濾過は一貫性のためのもの。
それは求めない。
一貫性…スタンダードな味を求めていないから、
スタンダードにするためのものは使わない。
そもそも、
スタンダードな樽は持ち合わせていないのです。

【 Glen Grant 1969 - Sample 2 】

僕はどこかプラスチックみたいな香と感じます。
より、香の開きが浅いと思う。

マーク・ワットは資料として書いて来たテイスティングメモに、
自ら疑問を投げ掛けていました。
パルマハムの香だって?
…たぶん、この時はお腹が空いていたに違いない。
当時の僕はマンゴーと書いたみたいだけれど、
スコットランドじゃあマンゴーを知っている人の方が少ないのに。
香は良いと思います。クリーミーな香、ライムも感じるね。

マーク・ワット、
冗談にも聞こえるし、それが当然の様にも思えるし。
そう、感じ方はその時々で変わるもの。
「テイスティングの思う答え全て正しい」と言う事は、
こう言う事なんです。
その時はそれ、今は今。
大切なことは、ただひとつ。

Ykさんはじっくりテイスティングしているうち、
果実っぽい雰囲気を感じ取り、
Sample1よりも好感触であると教えてくれました。

なるほど。
揺らして回して、
グラスの中で遊んでいるうちに、
これも段々と香が出て来た様に感じます。
マークが言う「ライム」は、
奥まった部分、フィニッシュに近付く手前で、
ワッと強い香が渋さをほんの少し伴って出て来るからかも。
共感できる部分。

木香もあって、どこか虫っぽい雰囲気。
艶やかで、ゆっくり甘さが広がるSample No.2…
マスタークラス:MC03で味わった、
ホワイトチョコレートとラフロイグのイメージも、
どこか浮かんで来ます。

Ykさんは聞くとNo.1は苦手であり、
No.2は甘くゆっくり伸びたフィニッシュが好ましいとのこと。
比べると、No.1は良い意味合いの攻撃性を感じさせ、
フィニッシュして行きますから、
このあたり、好みであるんだと言えます。
どんな時間を、手の中のモルト・ウィスキーで味わいたいか。

マーク・ワットは、
No.2を「鉛筆削り」の香と例えます。
オーク樽由来の香。
それはクリーミーで素敵と言う。
Ykさんと好みに近い部分があるかも知れません。

No.1は、この段になってフルーツ香が出て来ました。
けれど、強さが抜け切らない印象です。

今回、選ばれたボトルもそうだけれど、
ダンカンテイラー社のボトリング工場は、
ハントリー(Huntly)にあるそうです。
全て手張りで張られるラベル。
そう思うと、
手に取った“選ばれたボトル”の重みが増す様にも感じます。

【 Glen Grant 1969 - Sample 3 】

僕は更に重みを感じます。
現時点ではトップノートを満足に感じられない。
アルコールっぽい雰囲気、シトラス、強い香。
強く嗅ぐと目に染みるくらいの強さで、
もったりした印象で、味わいのスパンが非常に長い。
そして広い想像をさせます。
木、草、柑橘系まで香のイメージは届かず、
空間であるだけで情景が薄い。
ラストに渋味、ナッツ。
マーク・ワットが言う「若いナッツ」と言う言葉は、僕もも感じます。
他にはスモークチーズや少しのスパイスと言うマーク・ワット。
若さのあるモルトに時たまスモークの印象がありますが、
これに似たニュアンスなのかも知れません。

マーク・ワットが言うには、
ウィスキーに水を入れる事によって、
より香が立つこと、科学的に証明されているのだそうです。
少し加水して香の変化を探ってみても良い。
ダンカンテイラーの樽ならば、
どれだけ水で割って飲んでもらっても良いとのこと。
その分、どんどん買ってください。

マーク・ワットが以前、
クレイゲラヒホテルでアルバイトをしている時、
マッカランの24年にトマトジュースを入れて飲むのが好きな女性がいたそうです。
聞くと、
「もったいない!」と湧く会場。
マーク・ワットは言います。
その当時は「何と勿体無い!」と思っていたそうですが、
それで良いんだと。好きに飲めば良いのだと教えてくれます。
皆さんが飲みたいと思う飲み方が全て正しい。
ちゃんとお金さえ払えば…
自分のお金を払うんだし、好きにただし確かに楽しむ事が大切なんだ。
その女性は、
けして安くないマッカラン24年に、
トマトジュースを入れて飲む事が大好きだった。
それが幸せだというのならば、誰が止める事が出来るだろう。

大切なことはそんなに多くない。
最終的には楽しんでもらえれば良い。
皆さんは好きか嫌いかだけ知っていれば良いんです。

Ykさん、すごく感銘を受けたそうです。
味わう事に対して、
「こうでなくちゃ」とか「この表現は間違っているかも」と思う、
不安の黒い霧が晴れたと…
そばにいて、僕はそんな風に感じる事が出来ました。
その後、日本酒に対してもウィスキーに対しても、
一生懸命、自分の言葉で気に入ること、
気に入らないことを伝えようとしてくれます。

そう、「美味しい」はその人だけの特権です。

世界でたったひとりの自分だけが、

自分が思う「美味しい」を100%理解できるはず。

それを満喫しないなんて勿体無い!

残り時間がほとんどなくなって来ました。
マーク・ワットのみならず、みんな急ぎ足で試飲です。
選ばなくちゃなりませんからね。

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【 Glenrothes 1968 - Sample 1 】

マーク・ワットのテイスティング。
あたたかいストロベリー、糖蜜、
グレングラントと全く素養が違いますね。
アイアンブルームの香…って、
これはスコットランドのお菓子ですから、
分からないですよね。

なるほど、ストロベリーの芳しい香がする。
サンドペーパーのイメージ。
ドライで酸味があって、
クリームオレンジ、クリームっぽさオイリーさ、
中間部がずっと長い。
長い部分の均一性、アベレージヒッター、
飲んでゆっくり出来そうだ。
押し花、オレンジっぽい柑橘部分も少し。

Ykさんは試飲していると、チョコの香を拾った様子。
確かにトップにチョコレートの様な香がある。

もっと開けて来ると、
チョコレートが全体の印象に届いて広がる。面白い。
もしかしたら、
炭酸と合わせても楽しいかも知れない。
それはデイヴ・ブルーム氏の「ウィスキーとチョコレート」で知った事だ。

ここでマーク・ワットは再び経験から話をしてくれます。
以前、
こうしたテイスティング会において、
1960年のキャパドニックを楽しむ機会がありました。
15分間、真剣にノージングしたお客さんがいて、
質問時間になり、どんな質問を投げかけて来るのだろう…
…と言う所で、
「このウィスキーを蒸留した際の冷却水の温度は?」
そんな質問だったそうです。

正直、1960年当時、自分も生まれていない頃の事なんて分からないです。
悪いんだけれど、どうでも良いことに思うんです。
「うーん、冷却水は分からないけれど、君にとって美味しいウィスキーかい?」
そう聞くと「Yes」と言う。
それで良い、それで良いじゃないか!

大切なのはきっとウィスキーに対して、
好きか嫌いかをちゃんと思うことが出来ること。
テイスティングに答えはないと言うこと。
そのエピソード。

【 Glenrothes 1968 - Sample 2 】

マーク・ワットのテイスティング。
新聞。ちょっと塩味。ちょっとカラメル。レモンボンボン。

僕はそのコメントに甘味に近い印象を抱くのだけれど、
自分が思うものは、
もっとキンと張り詰めた感覚、イメージ。
現実に無いものでも香の中では存在して思い描く事が出来ます。
シロップとレモンの印象が開いて明るい草原のイメージが続く。

もう残り時間が無い!

…と更に加速してテイスティング。
Ykさんの感想をメモする時間もなくなって来ました。

【 Glenrothes 1968 - Sample 3 】

トフィー感がありつつスパイシーでもあり、
飲んでみると、硬い感覚もある。
これまで1時間、空気に触れていてこの状態。
中心に寄り集まって行くイメージの香。
よりあたたかい想像を描かせる。暖色。
ホイップした泡、メレンゲの白い色、
バランスはとても好ましいけれど、
余韻はモルト感が漠然と広がる感覚。

テイスティングメモはここまで。

僕はGrenGrantがNo.1、GlenrothesがNo.2を選びました。
YkさんはGrenGrantがNo.2、GlenrothesがNo.1を選びました。

過日、記入したメールアドレスに送られてきた、
発売のお知らせには、
会場アンケートの結果、
GrenGrantがNo.2、GlenrothesがNo.3が選ばれた…とありました。

買うのならば、
せめてYkさんがお気に入りとして選んだ番号と合致する、
「GlenGrant」にしようとして、注文を出しました。

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まだ開封してはいないけれど、特別な1本になりました。


マーク・ワットに投げかけられた質問。

「 何故、この6樽を選ばれたのですか? 」

「 たまたまオフィスにあったんだよ 」

そう、今、僕らが楽しんでいるのならば、

どこにあったって関係が無いわけで。

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