« 2010年3月7日 - 2010年3月13日 | トップページ | 2010年3月21日 - 2010年3月27日 »

2010年3月14日 - 2010年3月20日

2010年3月20日 (土)

八戸に僕らの味覚が恋をする。(2010年12月4日・青森・がんこおやじ)


ブログを書くことが、こんなにつらいなんて。

食べたい。

思い出す。

「陸奥八仙」のうまい酒、
「がんこおやじ」のうまい料理。

12月旅行記第4弾。
「摩幌美」酋長のメールに端を発する、
「イカを食べたいじゃないか」
そんな青森の目的のひとつ、「がんこおやじ」での夕食。


「八戸酒造」を、
駒井さんに見送られて後にした僕とYkさん。
気持ちがとても晴れやかです。
「素晴らしい体験をさせてもらった!」と言う充実感。

今晩の食事は、駒井さん自身が書く、
「陸奥八仙」公式ブログを見て、決めました。

( 09.9.12?がんこおやじNo4 )
( http://www.mutsu8000.com/blog/2009/09/09912no4.html )

そもそも、
今回の旅に「青森」が決まった理由は、
ある日、「摩幌美」の酋長が送って来てくれた、
青森でのイカ刺の写真です。
「食べたいなぁ」と。
計画段階でYkさんのプッシュがあり、
僕が「青森に行くならば、陸奥八仙も行きたい!」と言い、
こうしたスケジューリングになっています。

だからこそ、
夕食には美味しいイカを食べられる場所が良い!

そう思って探そうとした矢先……、
いやいや探すことなんてありませんでした。
「八戸酒造」から徒歩5分も掛からない距離に、
正に欲する“美味しいイカ”を食べさせてくれるお店があったのですから!

決め手はやっぱり駒井さんのブログの、

素敵な笑顔ですネ。


【 居酒屋がんこおやじ 】

Cimg7985

「八戸酒造」と「陸奥湊」駅との間に位置する「がんこおやじ」、
店頭には「朝獲り」のイカの入荷を知らせる看板がありました。
こみ上げてくる期待感に、ワクワクしないではいられません。

【 お通し 】

Cimg7955

お通しの鯖の味噌煮もとても美味しく頂きました!
しっかり味のある味噌煮に対して、
お隣の青菜は、あって嬉しい存在でした。

【 SAPPORO・サッポロビール生“東北ホップ”黒ラベル 】

Cimg7957

夢中で楽しんだ「八戸酒造」の蔵見学を終えて、
まずは“お疲れさま~”の勢いで乾杯。
ホップの栽培と聞くと、
長野県山ノ内町「志賀高原ビール」の取り組みが浮かびますが、
東北地方でもホップが栽培されているのですね。
全量東北育ちのホップで醸造した東北限定ビール!
飲まずにいられず、です。
ピルスナー系のスタイルで、
ホップの香が爽やかに利いていて、美味しかったです。

【 八戸前沖・寒ヒラメ刺 】

Cimg7958

頼まないではいられない!
各種あるお刺身の中から、悩んで悩んで3種類選びました。
他にも食べたいものはいっぱい。

【 活ホッキ刺身 】

Cimg7959

「解禁」と書いてあったのも気になって。
調べてみると、
青森では12月1日からホッキ漁が解禁になるのですね。
素晴らしいタイミングで訪れていたみたいです。

ヒラメもホッキも、身の部分以外にも、
縁側であったり貝紐であったり、
捌くからこそ出て来る部分が添えられていたのが、
心底嬉しかったです。
捨ててしまう場合もあるかも知れない、
この部分だってすこぶる美味しいものです。

ヒラメの香は良く、
身の弾力…歯に返す力と、
伝わって来る、優しくも大きい旨さ。
“大味”と言う意味にあらず。
日本酒で言うなら味幅が広い感じ。
舌いっぱいに感じられる、広がる美味しさがありました。

ホッキは甘味となめらかさが、
過去において未体験の領域。
貝類のお刺身は好きだからこそ、
よく食べてはいるのだけれど、
心地良い強い歯応えに喜んでいた中で、
柔らかさと弾力感が両立しつつ、
噛むたびに甘味がとろけて出て来る雰囲気は、
もう、たまらない美味しさでした。

あぁ、本当、また食べに行きたいです。

【 八戸前沖・鮮!真イカ刺(イカのふ付) 】

タイミングさえバッチリ合えば、
「朝獲り」を越えて「昼獲り」の場合もあるそうです。
本当に獲れ立て直ぐを食べる事が出来るのは、
港が近いが故に!ですね。

Cimg7964

朝獲りのイカ。
実に美味しかったです。
「これを食べに来たんだ」と思いながら写真を撮り、
「食べに来て良かった」と味わう。
歯触りの良さや食感もたまらないものがありますが、
そこかしこに感じる甘味にやはり惹かれます。
比べると、ヒラメのあの甘味ですらも、
どこか野性味に捉えられます。
もっとふんわり、どこか華やか、
そっと踊る味わいの歓喜。

Cimg7965

イカの肝…「イカのふ」も添えられました。
見ることで、たまらなくなりませんか?
これを食べたら、さぞかし美味しいんだろうな…
…と、思える感覚、湧き上がりませんか。
フレッシュさと濃厚さの相反する味わいこそ、
生命の輝きに感じられます。
今でも喉から手が出そうです。

それぞれのお値段も比較的お安く、量もたっぷり。
すごく満足できました!

【 青森八戸・陸奥八仙・特別純米“槽酒”無濾過生原酒 】

Cimg7967

お刺身だけでも心の底から喜んでいたけれど、
まだまだ、“嬉しい”は、いっぱい待っていてくれました!
駒井さん、本当にありがとうございます!
「陸奥八仙」が生まれた場所で、「陸奥八仙」を味わう。
その土地の旨き食と共に味わう。
心の底から幸せを感じます。
今回の旅行、4月の結婚から繋がるもの。
Ykさんと共に今が在ることを、喜び合える時間でした。

【 たこキムチ 】

Cimg7968

Ykさんが「どうしても」と注文した「たこキムチ」…
居酒屋定番メニュウの様に思えて、
あまり乗り気ではなかったのですが、
いやはや、頼んで正解でした。
頼まなかったなら、後悔したかも知れません。
この時期、ハマッていた
「厨十兵衛」の「たことキュウリのごま油和え」に通じる構成、
「たこ」と「キュウリ」、
そして「キムチ」味はYkさんが特に好きな辛味系。
ある時、Yoさん夫妻が、
「タコきゅう」を再現しようとして、
結果、「キーポイントはタコにあり!」と言う答えに行き着いた…
…そんな風に仰っていました。
「厨十兵衛」の「タコきゅう」の根幹には、
「タコそのものの美味しさがある!」と。

正に通じ合う感覚です。
タコの旨さが飛び切り光り、
だからこそ食感の違うキュウリも美味しく、
全体として、
とても満足が出来るものに仕上がっていました!

【 がんこ特製イカ塩辛 】

Cimg7969

前日も「酒徒庵」で食べていますが、
今日もまた再び。
「イカのふ」の差でしょうか。
松本で、また東京で出会う味わいより、
ずっと肝の雰囲気が若々しく、
塩辛であるのに重たさを感じさせない。
「ご飯にちょっと乗せて、かっ込む」
…そんな“おかず的重量物”のイメージが塩辛にある中で、
肝に張りがあり、それを漉した印象が芽生えるのは、
これまでの経験から初めての感覚でした。
松本「よよぎ」で食べる塩辛も大好きで、
柚子の香が実に爽やかで心地良いと思っています。
以降、「塩辛に柚子」と言う組み合わせは、
塩辛をグッと芳しく、
爽やかにさせてくれるものと思っていました。
言うならば、「酒徒庵」や「よよぎ」の塩辛は、
技巧の旨さがある美味なる塩辛。

「がんこおやじ」の塩辛には、
おそらく柚子は入っておらず、けれど爽やかさがありました。
それがきっと青森の地の味、
海の幸が豊富に、そして元気いっぱいに育って獲ることが出来る!
その証明だと感じてなりませんでした。

【 フレッシュグリーンサラダ 】

Cimg7971

サラダも!
「野菜を食べよう」と何気なく頼んだものでしたが、
たっぷりの野菜がとても嬉しく、
それぞれが美味しく感じました。
この時点で、
「がんこおやじ」がかなり気に入っていた僕らは、
「流石だなぁ」なんて言いながら食べていたはずです。

【 枝豆 】

Cimg7977

引き続き、
前日の「酒徒庵」でたっぷり食べたのに、再び枝豆。
好きなものは好きなんです。
全体的に良い粒揃いの枝豆でした。

【 陸奥八仙・飲み比べセット 】

Cimg7981

右から、
陸奥八仙・純米大吟醸“伝承南部仕込み”
陸奥八仙・特別純米中汲み生
陸奥八仙・特別純米“伝承南部仕込み”…の飲み比べセット。

これもどうしても試したかったメニュウ!
「陸奥八仙」の蔵元を訪れ、
食卓に「陸奥八仙」を並べ、
思い出、体験をも肴にしながら、楽しむ。

晩酌、
夜になり、眠りに向けて落ち着いて行く時間。
安息のソファに身体を預けて味わう大切な時間を、
心から優しく向き合わせてくれる日本酒。

思い出が加われば、これ以上幸せな夜はありません。

【 八戸せんべい汁 】

Cimg7974

今日の締めとしてお願いしたのは、
「B-1グランプリ」でも有名になった「八戸せんべい汁」!
これも旅のどこかで食べられたら…と思っていたので、
メニュウに掲載されているのを見て歓喜しました!

すまし汁+醤油+つゆせんべいと言う構成でしょうか。
更にはごぼうなどの風味もあって、
スープとして、何たる美貌の持ち主か!!
僕もYkさんもあっと言う間に夢中にさせられました。
粉や米による結束力…と言うか、
例えば、
“おこげ”などをスープに落として美味しかったり、
アイスクリームのクランチだって似た印象があるけれど、
塩気や甘味などを、
相反するように組み合わせて、調律させれば、
ものすごい美味に成ります。
野菜の旨味も肉の旨味もひっくるめて、
せんべいの米の風味も甘さと香ばしさに繋がり、
何とも言えない…
味噌汁よりも澄んでいて、
味噌汁よりも味の色彩が濃い感覚。
もちろん、お味噌汁も具材の取り合わせで、
千変万化の味わいが出るものだけれど、
すまし汁と言うベースであるが故に、
美味しさがとてもシンプルに胸に胃に届けられる!
これは本当に良いものなるぞ!…と。
1人前頼んだのだけれど、
2人前頼めば良かったかも、
お腹いっぱいだけれど、
これならもうちょっとと言いながら、
もう1鍋食べられると思いながら、
すべて満たされました!

せんべいの、
ちょっと硬くてくにゅくにゅっとする食べ心が、
また旨いんですよね~。


最近分かって来たことですが、
僕とYkさんの「飲み」って、
1軒に対して、長くても1時間30分程度の様です。
飽きる訳ではなくて、
それ以上、食べられない感じ。
お酒でもお腹いっぱいになる。
だので、時間にしては短かったかも知れない。
でも、超充実の「居酒屋がんこおやじ」での晩酌でした!


Cimg7986

この心地良さの中で、

ただ電車を待つ、と言うのは、松本と一緒。

陸奥八仙、がんこおやじ、八戸に来て良かったなぁ。

そう思う気持ちは、
外気の寒さも日中のサバイバルも全て忘れさせて、
ただ満ち足りていて。

そして数ヵ月後の今、
繰り返す思い出の食卓が、
八戸への気持ちを呼び起こしています。

“ブログを書くことが、こんなにつらいなんて”

“食べたい”

“思い出す”

だからこそ、あの日、幸せの食卓。

人、酒、海の恵み、あふれる八戸への感謝。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年3月15日 (月)

酒袋の重さは“育まれるもの”と言う重さ、酒心。(2010年3月13日・笑亀・ナガブロ・酒コラボ)


ズン、と醪(もろみ)が入って来る。

流れ込んで来るそれが、だんだんもっともっとと重くなる。

2月6日に器に生まれ、
3月13日から2日ほどを掛けて、世に滴りいずる。
育まれて来たお酒のお手伝いを僕らはしているんだと思う。

田が太陽を浴び土を造り、
稲が水を吸い、空に向かって育つ。
蒸された米が麹となり、器に掛けられ、
酵母を始め自然が日本酒を醸して行く。
蔵人さんが大切に育てた、そして今。

Cimg9134 

笑顔も育まれていた、塩尻「笑亀」蔵の一角。

前回:
【 笑亀・ナガブロ・コラボレーション!(2010年2月6日・笑亀酒造) 】
( http://sake-soja.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/201026-9470.html )


良く晴れました。
季節外れの大雪のあとの快晴は、実に待ちに待ったもの。
良い報せ、良い気分。

Cimg9116

3月13日、再び「笑亀酒造」に行って来ました。
今日はある意味でも“晴れ”の日で、
この「酒林(さかばやし・杉玉)」に意味がある日。
新酒が醪(もろみ)から清酒に成った時、
「今年も新酒が出来ましたよ!」の意味で、
青々とした杉玉を吊るすことが、酒蔵での“ならわし”です。
12月に同蔵で開かれた「蔵祭れ!冬の陣」のイベントで、
「笑亀」の新酒と共に吊るされたはず。

今日は2月6日に、
「ナガブロ酒を造ろう」で仕込みを行ったお酒が
「搾り」を迎える日となりました。

Cimg9118

「門出」は2種のナガブロ酒のうちの1つ、
「女酒」と謳われるもの。
この醪を搾ります。
はて、どの様に?

Cimg9122

この様に。
醪を酒袋に取り、タンクに投げ込み、染み出て来るのを待つ。
袋には酒粕が残り、
染み出して来たものは日本酒となり。

このお手伝いを
「ナガブロ酒を造ろう」の皆さんの中にお邪魔して、
体験させて頂きました!

Cimg9117

さぁ、行きます。

Cimg9126

大きいジョウゴに醪を流し入れる。

Cimg9124

流れ落ちる醪を、しっかり受け止める。
ズシリ、重みを感じます。
蔵人さんは慣れた手つき…と言うよりも、
逞しく受け止めていました。
僕らは慣れないと言うよりも、
重いと言う感動こそ味わい、
酒が落ちて来る、作業の中にいる自分に気付き、
実感、それが嬉しいんです。

酒袋の口を折りたたみます。

Cimg9128

紐でクッと締め上げて、

Cimg9129

「よいしょっ」とタンクの中へ。

Cimg9130

これを繰り返す事で積み上げられる酒袋。

Cimg9133

幾つもの酒袋を重ねて行きます。
すると、その自重によって重力によって、
お酒が搾り出されて来る。

Cimg9123

タンク下の開口部から、ちょろちょろと始まります。

Cimg9132

薄く濁った生まれたての日本酒。
冬から春に掛けて見掛ける
「おりがらみ」「うすにごり」と書かれたボトルは、
実にこれに近いものになります。

実際に市販されている日本酒のほとんどは清澄、
透明な色をしていますよネ。
これはその後に、
「滓引き(おりびき)」などの作業を経ているからです。

Cimg9119

後半はこの石を乗せて搾って行きます。
おおよそ2日間掛けて、「搾り」の工程が行われます。

Cimg9120

粕剥がし中の「ヤブタ」…
本来、もっと大きな造りであれば、
この「薮田式自動醪搾機」を用います。
こちらの方が大容量を早く搾る事が出来ます。

ただ酒袋に取って自然な力で搾った方が、
丸くなる、まろやかになる…と言われています。
そのため、
特に丁寧にあつらえる場合は、
「袋吊り」「首吊り」と言った手法を取る場合があります。
酒屋さんに行った時、
ラベルや瓶の細くなった部分、
首の部分にそう言ったラベルが貼られている場合があります。
それはそんな意味なのです。
「吊り」の工程は酒袋に醪を取る所までは、
今回と一緒なのですが、
空間に吊るし上げ、そこから垂れる日本酒を集めて搾る、
極力、無加圧で搾る作業を「吊り」と言います。
非常に手間が掛かる作業なのです。

Cimg9135

引き続き、ちょろちょろと。
石の荷重で、少しだけ勢いをましました。
“かさ”が増してくる「ナガブロ酒」…
次々に生まれて来ます。
このお酒を飲むことが出来るのは「検定」後。

正式なお披露目は4月10日の「おらが酒呑み歩き」の会場にて!
当日までに、
ラベル貼りなどの作業も行われるとのこと。
情報は、以下「ナガブロ酒を造ろう」の更新をチェックです!

【 ナガブロ酒を造ろう 】
( http://nagaburozake.naganoblog.jp/ )


造りを知るから、知り得る酒心もありまさぁねぇ。

「酒の一滴は血の一滴」なんて言葉もございます。

ちょろちょろ出て来る酒を眺める。
酒は酒でしかないけれど、
携わった自然も人もみんな心を込めて、
すごく心を込めて、ほら手のひら、
その器の中に日本酒を食卓に届けているのです。

お酒は楽しく飲んでもらうために生まれて来る。
楽しく飲んでもらいたいと言う気持ちが込められている。
どうか美味しく飲まれますように。

あの日、搾った僕らもきっとそれを願っていたと思うのです。

受け取った酒袋の重さは“育まれたもの”と言う重さ。
酒の心。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2010年3月7日 - 2010年3月13日 | トップページ | 2010年3月21日 - 2010年3月27日 »