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2009年11月15日 - 2009年11月21日

2009年11月18日 (水)

最近の洋食厨房。(2009年11月7日,14日・洋食厨房Spice)


僕の思うごちそうを食べに行こう。

味わう時間の楽しさも、ごちそうなんだって、思う。

光差す明るさを楽しみながら、
僕らは食べていて、
それは、とても美味しい時間。

食によって育まれる心。


【 11月7日・洋食厨房スパイス 】

夏から秋に掛けて、
食べに行ってはいるけれど、
こうして日記にしたためていなくて。
秋になって、冬が見え隠れしている今、
先週、先々週に食べに行ったメニュウを日記にします。

【 11月7日の前菜:カルパッチョ 】

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今日の内容は、ボタンエビ、
メバル、カサゴ、レンコダイのワインビネガー〆、
ソイ、タチウオ昆布〆でした。

時たまこうして海老と出会う時がありますが、
自分でも不思議なくらい「食べるようになった」印象があります。
嫌いではないし、味も香も好きだけれど、
揚げ物があまり得意でなくて、
海老天、エビフライ以外に海老って、
日常生活で、どれだけ見るかな?
お寿司屋さんに行けば?
シーフードパスタ?
“海老が入っている”ことはあるけれど、
こうして海老を海老として海老であるままに食べるのは、
何気なく少ないのかなぁ…

…と、今になって思う。
食べている時は「やっほーい!」とかそんな感じ。
甘味、優しく柔和に広がる。
ハリと滑らかさがせめぎ合う美味しさ。
タチウオはふんわり柔らかいイメージが先行するけれど、
昆布〆にする事で、雰囲気も変わりますね。

【 蕪と春菊のサラダ 】
【 キャベツとクレソンのポタージュ 】

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僕とYkさんにとっては、
「ここでも食べられるんだ」と驚かざるを得なかったメニュウ。

その頃、
山形村ファーマーズガーデンで、
ある春菊を買っていた。
「サラダ春菊」と書かれたそれが、
サラダ用なのかそう言う品名なのか、
よく分からないけれど、
隙間無くギュッとビニール袋に詰められた他の春菊と違い、
見た目に茎は太く、1本1本並べられて袋入り。
触ってみると葉も厚く美味しそうだった。
「なんだろうね」と言いながら、
興味本位で買ってみたけれど、
あの旨さ………
野菜の甘味を苦味党党首とも言える様な春菊が、
生のままで実現できているとは!
苦味はほろ苦い程度で、
苦いから爽やか…と言う事すらもなく、
「苦味?あ、あったっけ?」と言えるくらい。
香り高く…その香も丸みを帯びた印象で、
春菊を尊敬したくなった僕らの中で、
「スパイスでも春菊に出会えるとは!」
…と言う喜び。
数種の野菜、散りばめられたナッツ類の甘さ、
香付けと共に、
瑞々しさを湛える塩で頂くサラダ。

キャベツとクレソンのスープは、
緑のスープ…と言うイメージより、
キャベツやクレソンを食べて感じる旨味を、
スパイス加味も含めてボリュームアップさせている感じ、
青さと青さの彩りを感じました。
緑萌ゆる、青々とした…
ほら、そんな言葉をイメージする感じ。
目の前に飛び出す青の奥に青が隠れていて、
味の深まりを感じられるスープでした。

【 ワタリガニのペンネグラタン 】

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黒板の「気まぐれメニュウ」の中から、
Ykさんがオーダー。
中にはめいっぱいのカニの香と、
ペンネが詰まっています。
クリームが実に綺麗な印象でした。
もったり重いソースではなく、
サラサラとしていて、スープ仕立てに近い印象。
ミルクの美味しさもキチンと感じられて、
ソフトであり、
グラタンに対して言う言葉ではない気もするけれど、
喉越しが良く、
全体に染みるカニの香も広がりを見せて、
とても美味しい。

味が濃くバターもたっぷり使っていて、
ココット皿ぐらいが適量に感じる、
タマネギがまるで箸休めにもなり得る、
強く重いグラタンも良いかもだけれど、
お昼ご飯、
お野菜を美味しく食べたあとは、
ほっと出来る度量くらいがちょうど良い…と感じました。

【 ひきにくとかぼちゃのパスタ(大盛) 】

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「あと2皿分」…と聞いては、
「ベーコンときのこの和風オムライス」と言う、
未知のメニュウを前にしていても、
食べておきたくなってしまいました。
更新予定の
夏頃からの記事の中で、
特に熱っぽく書こうとしているメニュウが、
この「ひきにくとカボチャのパスタ」と、
「甘エビカレー」であるので、
詳細はその時に譲りたいと思うけれど、
カボチャに肉の味わいを組み合わせる…
僕の目には舌には、
カボチャと言うほんわか素材を、
とてもアグレッシブに感じさせてくれました。
ソースも味付けの為のソースでなくて、
支えであって風味であって、
とても感動したメニュウ。
以前書いた、
「カキときのこのパスタ」を、
「何味?」と答えるなら「牡蠣味」と答えたくなったみたいに、
「カボチャ味」以外の何ものでもなくて、
強いて言えば「塩味」だけれど、
たぶん、そんな事は思えない、
やっぱり「カボチャ味」の手仕事が美味しかった。

【 本日のデザート 】

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今日はパンプディングやゼリー、
リンゴとナッツ、柿などのテリーヌ、
葡萄に“ざくろ”と種類豊富に揃えられていました。

ざくろはお店の方の実家の木から採って来たものだそうで、
甘酸っぱさが何とも美味しかったです。
宝石のような赤い色、とても綺麗で、
目で見て楽しみ、
一粒一粒を大切に口に落として噛み締めていました。
ゼリーに使われる果汁、果肉、
加熱を経て、わずかに感じるテリーヌの酸味…
お皿に敷かれるバルサミコ酢…
ひとえに“酸味、酸っぱさ”と言っても、
様々な表現を感じることが出来ますね。

続いて、
朝方、地面の歩みが行進となって、
あたりを踏み付けているかの様な、
強い雨音を、
目覚めて直ぐに聞かされた14日のお話。
Ykさんは「天気予報では午後30%で」、
そして夕方は「0%」と言うけれど、
この雨は本当に止むのかと続くノイズ、
思いに耽る。

【 11月14日・洋食厨房スパイス 】

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Ykさんの言う通り、すっかり晴れました!
雲はまだ多く風も強く、
黒くも低くありながら、遠くに青空が見える。

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今日の黒板、
「シェフの気まぐれメニュウ」は、
気になるもの、それを狙って来たもの、全5種類。
もちろん、レギュラーメニュウもある訳だし、
僕とYkさんはよくよく悩み、今日の一皿を決めました。

【 11月14日の前菜:カルパッチョ 】

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今日は、
鰹のスモーク、〆鯖、甘エビ、
カマス、アオダイ、ホウボウ、ノドグロ炙り、
バイガイ、タチウオのスモークと、
あといつも添えられるピクルスに青トマトがあるカルパッチョ。

鰹のスモーク、
まるでハムの様な食感が面白いです。
あくまで“まるで”であって、違いはあるのだけれど、
パッと浮かんだのは、燻製香も手伝ってハムでした。
普段、「たたき」で見かける鰹ってもっと厚切りだけれど、
これはこの厚味が程好いと感じました。
適度に強く、弱すぎず味も拾いやすくて。
もっと厚かったなら、
燻製によって得た独特の食感を、
もしか「硬い、食べ難い」と思ったかも知れないと思うと、
適度なサイズ、嬉しいですよネ。

カマスはふわっと炙った香が飛び乗って来て、
2切れ、
小さな身なのに、美味しさが詰められていて、
1切れずつが実に印象深いです。
「おぉっ」と声が漏れるほどに。
醤油ベースのソースとの相性も本当に良くて、
炙りの香と醤油の豊かさの合致はたまらないものがありました。
同様に味のあるバイガイも美味しかった!
2粒のそれを、
まず1粒、「あぁ、美味しい」と食べ、
満足したあとに眺める、もう1粒。
まだ幸がお皿の上に存在する、
再び噛み締めるまでの、あと数秒間だけ続く幸せに喜ぶ。

カリフラワーのピクルスは食感が良く、
カリッと楽しく美味しくて、
こうした食べ方があるのか…と驚きました。
子供の頃から、
(大好きな)ブロッコリーの食感と味わいが微妙な白いヤツ…
…と言う印象があるだけに、
素直に美味しいと思える事は嬉しいですね。

【 白菜のポタージュ 】

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エスプーマ…スペイン語で「泡」と言う意味、
牛乳のエスプーマが添えられた白菜のポタージュ。
白菜に寄るのか、
濃厚に味わいが重ねられていて、
“もったりポタージュ”と言うイメージより、
塩や香辛料のカラッとした雰囲気で、
ポタージュであるし、
もったりしているけれど、
加速力がある感覚で、
液状なのに食べる感覚すら抱けるものでした。
エスプーマ分のまろやかさが絶妙。

【 紅芯大根のサラダ 】

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「コウシンダイコン」とは聞き慣れないもので、
写真の中央下部、薄桃色に見える千切りの野菜が、それ。

中国名「心美里」と呼ばれる、
丸みを帯びて蕪に近い形状の野菜で、
(いや、食べてみても蕪をイメージしたのだが)
栽培が難しくデリケートなものだそう。
甘味が強く生食、サラダに向くとのこと。
赤色は加熱すると消えてしまうので、
色を残す場合は、酢水にさらすか、
酸味のあるタレによる調理が必要…と言う野菜だそうです。

大根の千切りはシャキッ、シャクッ、パリッ!…
…だと思っています。擬音的に。
紅芯大根、そのどれにも当てはまらず、
やっぱり蕪を連想する歯触りで、
少しだけ濡れている舌触りに感じ、
甘味の強さも蕪の透き通るそれに近くて美味しかった。
一緒にサラダに入っていたレンコンとの、食感の差も楽しめましたネ。

【 ホワイトソースのチキンオムライス 】

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新作。

まずはオムライスらしからぬビジュアルに驚きます。

「洋食厨房スパイス」のレギュラーメニュウにある「オムライス」は、
チキンライスではなくピラフっぽい味付けのもの。
常々、思っていたのですが、
チキンライス版も食べてみたいなぁ…と。
そうして出て来たチキンライス版に更なる創意工夫を感じます。

チキンライスはチキンライスとして、文句ない美味しさ。
酸味と旨味が調和していて、かなり美味しい。
ホワイトソースは、
前回のペンネグラタンのそれの様に、
強烈に重くも強くも無く、
シチューの様なミルク特有の湯気の香を漂わせて、
そっとチキンライスに寄り添っている感じ。

もし、チキンライスに、
甘酸っぱくて、
隠し味にウスターソースを入れちゃう様な濃さを求めるなら、
逆行しているかも知れないけれど、
甘酸っぱさ、食べ疲れてしまいそうな味の濃さを、
常にミルク…じゃないホワイトソースが、
まろやかに引き伸ばすようにまとめて、
甘酸っぱいけれど、程好く感じ、
アッサリとした部分も生み出している。

とりあえず、無言で3口食べました。
一口目、第一印象の記録、メモを普通は取るのだけれど、
「あぁ、うまいなぁ、これ」と思って、3口食べました。夢中。

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割るとこんな感じ。
リゾットみたいな印象も持ちます。
それよりはずっとお米の粒の印象もあって、
やや「すする」ことが動作に混ざる「リゾット」より、
やっぱり「食べる」…オムライス寄りであったと思います。

オムライスにこう言う表現もあるのだなぁ…と感じました。
調和が美味しい。

【 香箱ガニのパスタ 】

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器を中心に広がる蟹の香。
磯の香、潮の香を通り越す、
蟹の強く青みがかったイメージのほとばしる様。
実に蟹の香が強く届きました。
ソースは更に蟹を凝縮した様な印象で、
蟹がそのまま息づいている様。
蟹の身、甘味、柔らかさの中に芯のある通り香をする、
そのイメージよりも、
味噌や殻から抽出される味わいが、
よく引き出た感覚です。

クリームや辛味スパイスなども添えられましたが、
何より、この器をときめかせてくれたのは、これでした。

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カルパッチョにも使われる、緑色のソース。
バジル、オリーブオイルを主体としたであろうソースを、
パスタに絡めると、また一段と美味しく感じました。

僕は普段、Ykさんが食べているメニュウ、
ひと口味見するくらいです。Ykさんも同様。
だので、最初のひと口以降、再び口にすることはあまりないのですが、
緑のソースを混ぜ、
Ykさんが首元までソースを絡めたパスタを持ち上げたとき、
湯気が見えました。同時に香が風となって対面の僕にも運ばれてきました。
蟹の香に加えて、
バジルとオリーブオイル…主要要素の融け合う素晴らしい香。
「これは食べさせてもらわねば!」と、
再びYkさんのお皿に手を伸ばします。

全て蟹、と言う世界に…
コーヒーカップをイメージしてもらって、
スプーンで液面をひと回し。
渦を巻く液面にミルクを落とすと、
ミルクも渦を巻いて、そして混ざり、
コーヒーの色を薄い小豆色に変えるイメージ。

蟹があり、確かにあり、
バジルとオリーブオイルの香も混ざり、
強く蟹が香った一直線インパクトの一皿に、
何重にも織られるグラデーションが生まれ、
実に食べさせる一皿になっていました。

後々聞くと、
Ykさんはクリームも入れてみるなどして、
自分好みに、
まろやかになったりする様を楽しんだそう。
一皿に、いくつもの局面を持つメニュウの様です。
それは、とても楽しい。

【 本日のデザート 】

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今日のデザートは、
リンゴとナッツのテリーヌ、
苺のテリーヌ、
イチジクのコンポート、
自家製アイスクリーム、
自家製スポンジ…のセット。

苺のテリーヌ、久し振りにお会いしましたが、
いやはや美味しい。
濃縮された苺、
生果実とは別の美味しさがあります。
甘酸っぱく、甘味も“少し濃い”くらいに調えられて、
デザートの中でも好みに感じるもの。
キウイの下に見える、
これくらいの大きさがちょうど良い感じがします。

この日は特にアイスクリームがお気に召したYkさん。
メイン料理までも嬉しそうな表情だけれど、
甘味と出会うときの表情って、
また別次元、別角度、別の切り口の表情になりますよね。

今日も満足!
食後のコーヒーを楽しむ時間も、
とてもゆっくり過ごして、「洋食厨房」を後にします。


まるで雨が降っていたことなんて忘れていた僕ら。
その日、夕刻の信州スカイパークには、
まだ雨足の忘れ物が残されていました。

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山に掛かる雲は低く、大きく見えました。
山よりなお雄大に見える雲の流れる景色。

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雨に叩き付けられ、絨毯になった木の葉。
木々が冬の景色をまとって行きます。
並木道に四季の色。

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日が山の向こうに落ちて行く直前の、
ほんの少しの時間だけ、
あたりが赤く染まります。
遠くの雲は赤く光り、
近く黒い雲はまだ重く、青空の中に、
色んな色合いが見えて、目に見えて幻想的。

美味しさを味わう時間、
季節を味わう時間、
光を味わい、冬の風を感じながら、
心を昨日より一歩、育ませて、
今日を楽しく生きよう。

…と思ったりするくらい、ごちそう気分。

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