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2009年5月16日 (土)

最近の日本酒(2009年・冬~春)


シリーズ、
「最近の○☆△」…

…今回は日本酒の回


【 長野・佐久乃花・純米吟醸“手詰直汲”無濾過生原酒 】

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初めて「佐久の花酒造」に遊びに行った翌年、
名古屋のくま@牛乳さんと共に再び蔵見学をお願いした際に知ったボトル。
定番「純米吟醸・無濾過生原酒」も美味しいけれど、
自田栽培された酒米で醸す「手詰直汲」ボトルは、
より一層、華やぎと透明なメリハリ、
“酒、ここに息吹落とし今在り!”と感じさせるもので、
「そろそろあるかな」と思って酒屋さんに行き、
目に留めた時には喜んだものです。
4合瓶、あっと言う間に飲み干してしまった1本。

【 滋賀・七本鎗 】
【 純米しぼりたて生原酒うすにごり20BY“山田錦” 】

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「七本鎗」の頒布会、冬の届け。

甘い香。
滓の絡む酒の雰囲気を持つ甘さが在りながら、
メリハリも感じられる香。
甘く優しく、また柔らかい。
全体から受け取る色のイメージは冷色であるのに、
どこかぬくもりを感じさせ、
例えるならば、森林浴に似たリラックスできる香味を思う。
酒蔵の味…と言うか、そうした場面を思い浮かべる。
酢酸イソアミル系を基本とし、
カプロン酸エチル系が少し混ざるか。
柔らかさの中に、キリリとした雰囲気もある。

飲むと、
ぷっくらとして膨らみ、
膨らんだ泡の材質が張る…と言うか、
ダレずに硬くなる感じで良い。酒の体がきちんと立ち上がる。
飲む事によって全体が盛り上がり、
キレの刻に押し味きちんと残す様で、
最後の印象は柔らかさに落ち着く。

【 滋賀・七本鎗 】
【 純米吟醸搾りたて生原酒木槽垂れ口直汲み20BY“玉栄” 】

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これも冬の頒布会のお酒。
飲むたびに印象が変わって行く感じで、楽しい。
温度の変化や空気に触れることによって、
様々な顔を見せてくれました。
その都度に良い部分があり、温度が変わるとまた旨い。
酒質がしっかりしている感覚は、
「七本鎗」らしくあり、
かつ、今年は香にしつこさがなく美人である感じもします。
これまでがしつこかったか…と聞かれると、
もちろん、そんな事はないのですが、
どこかクール、冷ややかな雰囲気を持ち合わせた
美しい人を思い起こさせ、
サバケ、キレなどが鋭過ぎずに存在し、
飲み手、心地良く、
味が乗って柔らかさをも持ち合わせていて、
「あぁ!感動したー!これはうめぇ!」…となるのではなく、
「あ、これ美味しい…」と穏やかに酒の良さを知る感じ。
味の基盤、土台がしっかりとした様な。
今年も「七本鎗」には期待できそうな味わいでした。

【 滋賀・七本鎗・貴醸酒 】

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秋の頒布会のボトル。
19BYに初めて挑戦した「貴醸酒」です。
一般に「清酒」は水だけで醸すもの。
「貴醸酒」は水の他に更に日本酒を使って醸しています。
ワインの世界では、
「フォーティファイドワイン(アルコール強化ワイン)」と呼ばれ、
特有の香味のある「シェリー酒」「ポートワイン」や「マディラワイン」が、
この分類とされています。

蜜の香、古酒用のお酒に多い雰囲気の香。
まだアルコールが勝っているのか、
熟れる酒の前のイメージと、粕の香、
果実感とも取れるワインに似た、
渋味と樽の香…
僕が知っている白いワインの葡萄を抜いた感じの香。

飲んでみると、
実に甘さが素直に入って来る。
糖類を意識する甘みでなく、
餅やポン菓子にありそうな米の甘味。
ボディも柔らかく、
膨らませた味の伸びも良い。
どこかチョコレートや苺と合うイメージを、
酸味から得る。
以前に広島県「華鳩」の貴醸酒生を頂いた事があるが、
比べると、
熟成年数の若い貴醸酒らしさ、とろける甘み、
ワインの様な構成に類似点はあるが、
熟成1年以内の現段階で、
熟れて行く過程を想像できる感覚は、
生と火入れ酒の差である様にも感じました。

開封後、1ヵ月ほどして、
また飲み直してみると、
更に落ち着いた感じを受けます。
ただ、熟成香に近いニュアンスも出始めていて、
時たま、こうした熟れた酒に出会う事もあります。
加えて、とろける舌触りの濃度…
長野県の普通酒を常温で上手に熟成すれば、
2年後にはこんな感じになるものもあるかも…と言った風情。
今後も楽しみな試みですネ。

【 和歌山・黒牛・お燗用大吟醸16BY 】

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これまで飲んで来た燗酒とはまた別の感覚。
引き出しが多いボトルと感じました。
「多摩独酌会」で10種類程度の燗酒試飲をした経緯、
そう言えば、「燗酒楽園」なるイベントに参加した経緯を紐解くと、
あぁ、確かに思い当たる燗酒はあるのだけれど、
これほどのまとまり、まろやかさはなく、
荒々しい部分も、やや顔を覗かせていたと記憶にあります。

冷温で試してみると、
酸が強く、ミルク感、ヨーグルトの乳清的な風味、
老ね香などはなく、
かと言って、綺麗に熟成した…と言うお酒でもなく、
どこか奇妙な印象もありました。
「燗酒用」と言う先入観があったからでしょうか。
もしか…大吟醸、かつ16BYと言う時間経過が、
この状態を作り出しているのかも。

燗酒にしてみたところ、
温度帯に左右される部分もありますが、
高過ぎても、低過ぎても、あまりよろしくはない。
良い温度帯をしっかり射止められると、
冷酒で感じた部分が扇を開く様に、
そのまま広がって感じさせてくれます。
感じた酸は艶やかに跳ぶ様な………
言葉で書くから違和感がありますが、
ヨーグルトをあたためた良さを感じます。
例えば、カレーに入れるヨーグルトであったり、
まろやかさを引き出すための、
コク味を行き渡らせる為の酸味、
それがこの「黒牛」の燗酒から感じられました。
熟れて行く酸。
鳥取県「千代むすび・完熟純米」にも、
似た酸の具合を感じましたが、
「千代むすび」は、より甘みを想起させるものがあり、
ある種燗酒らしいイメージ上でした。

「黒牛」の酸の組成、感じさせ方は、
甘みがない事に由来するのではないか…と思います。
同じ大吟醸燗酒として発売されている、
石川県「黒龍」の「九頭龍」も、
冷酒では似た酸味を持ちますが、燗酒にすると、
コクが全面に伸び、違う。
滑らかなクリーム、サワークリーム様の、
甘さの伸び行く感覚、
「黒牛らしい」と例えるよりも、
誂えたこの酒だけの美味しさと言えると思います。

【 岩清水・本醸造・袋採りおりがらみ生 】

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【 岩清水・特別純米・袋採りおりがらみ生 】

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2月、中野市の「三幸軒」で開かれた、
「食酒楽会」後に購入した今年の新酒。

この「本醸造」と「特別純米」は、
互いに逆位置に存在するお酒…と言う印象です。
ひとえに辛口甘口以上に、
純米、本醸造と言う区切りの差以上に両極。
甘味、ボリューム感を感じる「特別純米」と、
酸による辛味、ザックリとした全体の「本醸造」と。
「おりがらみ」ゆえの滑らかさが、
共に酒の全体を支え、料理を食べたときに、
物足りなさのない、食を持ち上げてくれる感覚。

蔵元、少人数ながら、
並々ならぬ気合を見せ、
非常に手間の掛かる「袋吊り」を敢行するなど、
例年以上に期待して良い年になりそうな予感です。

【 愛媛・寿喜心・特別純米うすにごり“ことほぎ”雄町 】

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若い粕の香。
カプロン酸、さわやかな香に、糖の雰囲気。
酒だけに感じられる甘みと、
果実が交じり合った果糖蜜の雰囲気。

口に含んで、まずイメージが浮かぶ。
萌える緑の浅い色あい。
そして、酸が湧き、果実を思わせる力強さを飲む。
発泡感が旨さになり、またキレもいい。
ドライで硬さも確かにあるのに、香の伸びが実に良い。

これ、かなり美味しい日本酒だと思う。

これが米から出来るのか…とすら考える。
…あの「土佐しらぎく」を思い出す。
数年前の1度きりの経験だけれど、
「はせがわ酒店」の東陽町でのイベント、
出品酒仕様大吟醸だと言うお酒。あれは感動した。
あの感じ。
でも、これは「純米」だし。
このスマートさはまさに「雄町」らしいのだと思う。
2日目になっても開封時に「ポン!」と空気が弾ける音がする。
なお成熟感があり、ほんのりと落ち着きながら、
味の良さはこれでもかってくらい自己主張してくれて、
たまらなく美味しい。
酒肴と合わせたい…と言う気持ちが起きず、
もう、このままこのお酒だけを飲んで美味しくなりたい!
…そんな感じ。


以上、最近の日本酒でした。

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