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2008年12月24日 (水)

日本酒居酒屋で新酒を飲もう!(2008年12月・厨十兵衛)


冬は日本酒の季節。

日本酒が美味しい季節は一年中ですが、

醸される季節は冬。

出来立てのお酒を楽しもうと言う楽しみ方。

「ガネーシャ」のクリスマス限定醸造ビールに続き、
せっかく季節感のあるものだから、
今こそ飲み頃だから更新です!


【 12月6日・厨十兵衛 】

忘年会シーズンが本格化する12月第1週。
昼から夜にかけて、
ケーラン、書翰集、国営アルプスあづみの公園へと遊びに行き、
そうして厨十兵衛にて晩ご飯を。

厨十兵衛までの道のり、何軒かお店の前を通るのですが、
どの店も賑わいを見せ、声も光も、
店と言う箱の中に目一杯、集まっている感じ。
道に人がいないのは、お店に人が入っているからに違いない。
そうした風景は歳末感がある様に見えました。
そう言えば、アルプスあづみの公園から松本に帰って来る道、
車もよく混んでいました。
人出の多さも年の瀬らしい。

そしてやはり…と言うか、漏れなく厨十兵衛もほぼ満席。
滑り込み、テーブル席に通して貰いました。

例えば普段平日ならば、
全国の日本酒銘柄が並ぶIdさん直筆メニュウを見て、
「これはどんな感じですか?」と聞き、お酒を決めますが、
流石に今日はこの忙しさ、
そしてカウンター席ではないテーブル席ゆえの声の遠さ…
ならばこう言う時はどうするのか!!

「 Idさん、おまかせで!! 」

何を頼めば良いか、
今、美味しいお酒は何か……
厨十兵衛の日本酒を最もよく知るのは、勿論、店主Idさんに他ならず。

すると、
Idさんは今年の新酒を中心に取り揃えてくれました。

もし、ここで「 どんな酒が良い? 」と聞かれたなら、
何となくでも良いので言ってみるべき。
先んじる1杯目があれば、
それとの比較で「前よりライトで」と言ってみるべき。
そうして色んなお酒に出会って行くのは間違いなく楽しい。

【 静岡・開運・純米無濾過しぼりたて20BY 】

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リンゴ、アルコール、薄荷のイメージ。
若さがあり、張っていて表面上は硬いのだけれど、
含んで飲む先には柔らかさが見えている。
その柔らかさは「味」には到達していないけれど、
間違いなく先々の柔らかさから出て来る、
味乗りの良さに通じるのだろう、と思う。
飲み易く、生酒らしさ、程好く明るくて良い。

【 ウマヅラハギの刺身、肝ポン酢で 】

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画面右端が、肝ポン酢。
刺身の食べ方も色々で楽しい。
紅葉おろしと肝ポン酢の相性は…
もちろんウマヅラハギの刺身と一緒に食べて、
非常に良いバランス。
酸味、辛味、爽快さも持ち合わせて、
初手の酒肴にバッチリ旨い。

【 茨城・渡舟&青森・陸奥八仙 】

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渡舟・吟醸しぼりたて無濾過生、
Ykさん、自分ともに「これは美味しいね!」と飲んですぐさま、
もう1度口を付けたお酒。
基本的に日本酒の好みが違う僕らで、
お互いに考える事無く「美味しい!」と言えるお酒って、
実はそんなには無いと思う。

キラキラしたパイン系の良い香気があり、
味とのバランスも良い…って言うか、味そのものもバランスが良い。
甘さも程好く、キレも良い。
1年か2年前、同蔵元の「太平海」の純米吟醸生原酒、
その夏に飲んだ状態も、これに似た明快な雰囲気が美味しかったけれど、
その再来をこの新酒の時期に感じられるのは素晴らしい。

まだ検索途中だけれど、
Ykさんの好みのキーワードは、
「美しさ」「香」「ゆるやかで違和感の無い曲線」である気がする。
自分はおそらく「明快さ」「透明性」「統一された意思」である気がする。
そのワードには明らかにこの「渡舟」の新酒は含まれる。

陸奥八仙・特別純米おりがらみ生“槽酒”、
例年よりもやや硬いかも。
もう少し熟れた状態で飲んでみたい。
硬い…と言っても、喉の通りは滑らかで、
どちらかと言うと、よく発酵してアルコール度、
日本酒度共に高く出ていたりとか…
数値を見た訳ではないから分からないけれど、
そんな気もしなくも無い。
暴れる新酒の雰囲気、苦さや渋みはなく美味しいお酒ではある。
陸奥八仙、ベストの状態を捕まえると、
とんでもなく美味しいので、ついそれを探してしまいます。

【 タコときゅうりのゴマ油和え 】

Cimg4300

冬のヘビーリピート酒肴。
味、香、食感ともにパーフェクト。
叩いて割ったきゅうりの食感、
パリッと割れる心地好さにごま油の香が立ち上り、
塩みも日本酒に合って、たまらないものがあります。
器の中、簡単な構成なのだけれど、
だからこそ「すごいなぁ」と思わせてくれるお店の…
いや「厨十兵衛」Idさんの味。

【 島根・王禄“丈径(たけみち)”&栃木・大那 】

Cimg4304

王禄・純米無濾過直汲み“丈径”19BY、
大那・特別純米“五百万石”20BY新酒、

ふたつ並んで出て来て、飲んでみて、

「 ……? 」

Ykさんと2人で首をかしげる。
どちらがどちらか分からない。
強いて言えば、「どちらも新酒っぽい」…
…うえに「王禄」と「大那」の酸の違いは明らかなのに、
それすらも分からない。
「王禄」は春のものだそうで、自家熟成品。
どちらもかなり美味しいのは分かる。
「王禄」にしては、なんたる美しさ。
「大那」として、このバランスの良さは納得の域。

最終的に結論が見えたのは「発泡感」でした。
瓶内に閉じ込められ、また二次発酵で起こる発泡性。

「 Idさん、どちらが発泡しているんですか? 」

「 丈径だよ 」

これでようやく答えにたどり着きます。
より新酒らしいと感じられる、
瓶詰されて直ぐと思えるもの…発泡の強いものが、
1年前の冬に造られたお酒だと言う事実。
「直汲み」と呼ばれる酒を搾った後の工程が…
…そして状態の良い保存が、
「王禄」の息吹を強く長らえさせ、
とても美味しいお酒へと成長させてくれていたみたい。
そして、
「大那」も新酒らしさと共に、
熟れが始まっていて、美味しさにメリハリがあり、良い。

【 ひと口チキン南蛮 】

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【 生ハムカツ 】

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そして気になるメニュウを頼まずにはいられなくて。
僕らにしては珍しい揚げ物2品。
あまり揚げ物は得意ではないのだけれど、
どちらも油物ゆえのくどさが押さえられていて、
チキン南蛮は甘さが優しく、
ほんのりと感じられる油加減が酒には良く合い、
生ハムカツは生ハムの塩気の勝利!
歯触りの良さに何枚か重ねた生ハムの
連なる肉っぽいけど肉っぽくない、
特有の食感が美味しく、これも酒が進む。

これだけ食べればお腹はいっぱい、
これだけ飲めば体を成す日本酒分も充填完了!

この後、1日の最後に「摩幌美」に向かう訳ですが、
それはまた別の日に。

【 12月20日・厨十兵衛 】

続きまして、その2週間後。
弟と一緒に「厨十兵衛」へと向かいました。

この日も店内はほぼ満席で、
前回同様テーブル席に通されます。
座って気付いたのだけれど、
数年前初めて「厨十兵衛」に遊びに来たその時、
こうして弟とテーブル席に座ったんだっけ。
しかも座っている向きすらも同じと言う偶然。
記録をさかのぼってみると、
「2005年7月31日」が初回とある。
ブログ「92の扉」や「ANTI LIFE」を見て行ってみて、
その1週間以内の8月5日に、
「ぷるーくぼーげん(現:よよぎ)」で、
その当人「92の扉」のkuniさんにお会いしているので、
何とも運命的に思います。

【 埼玉・花陽浴・純米吟醸本生にごり&あらばしり 】

せっかく2種類の新酒があるので飲み比べを。

Cimg4389

あらばしり、
酢酸イソアミル系の香。
高く甘く、螺旋を描いて舌にまとわり付く様な香。
飲んでみると、新酒らしく暴れる感覚。
酒に落ち着きがないけれど、
その硬さ、柔らかさがまだ出て来ていないからこそ、
口内に感じる差異がイキイキとした雰囲気をも呼び込むような。
後味の苦さすらも、冬の新酒を楽しむそれらしくて良い。
暴れているからこそ良いと思える。

本生にごり、
「あらばしり」の苦味を全て濁り成分…
滓(おり)が包んで、バランスを完全補強、
圧力、勢力、全てにおいて美味しく感じられる。
香高さは持ち前の良さを如何無く発揮し、
甘さ、とろける酒質は絶妙にひきつけられるもの。
飲みやすさもある。
“一杯の説得力”が高く、満足させてくれる。
スィート、飲み口の優しさと、
米の香の求心力はグイグイッと飲んでしまう…けれど、
これは効くんだろうなぁ、とも思う。

kiyo10さんのブログ、
「ウィスキーライフ」にて記載のあった、
「濁酒とスイーツ」の考え方に照らし合わせれば、
この「本生にごり」は、
チョコミントのアイスクリームですら
美味しく頂けるのではないか…と思う。
記事にあった「翠露」のイメージよりもっと芳しい感じなので。

【 しめ鯖 】

Cimg4390

不思議なもので、
これが合う酒としては、
あんなに美味しいと思った
「花陽浴・本生にごり」ではなく、
「あらばしり」の方が良い。
僕は山葵の香を楽しみながら、
醤油はほとんど無く食べるのが好きだけれど、
弟は山葵もほとんどなく、
少量の醤油で鯖の香を楽しむのが好きらしい。

【 ウマヅラハギの肝酢がけ 】

Cimg4391

“巧み”…と思わせるのは、大根の存在でした。
ウマヅラハギの刺身と肝の組み合わせは、
ここ最近の定番になりつつあり、そして旨い。
よく分かっているから、先週に引き続き頼みます。
そこに大根の食感と瑞々しい水分のある香、
パキッと歯で割った時の爽快感は、
酸味もあり塩気もありコクもある肝酢とは相反するもので、
それが非常に好ましく、良い。

【 山形・十四代・本醸造“新本丸” 】

Cimg4392

バナナっぽい香ではなく、
一去年以前に感じたメロンソーダの雰囲気でもなく、
若いリンゴの雰囲気で、爽快、クール、少し冷ややか。
盛り上がりの少ない静かな雰囲気のお酒で、
良さはゆっくりにじみ出てくる様な。
香が基本的に静かで、強く感じられるものではない。
含んで、鼻から抜ける呼気の中に少し感じる程度。
あたたまって来ると、
その含み香の中にメロンソーダ系に近いものを感じ取れるけれど、
とかく静かな情感。
静けさは透明感に近いのだけれど、
熟れもまだ始まっておらず、淡麗なる酒の類。

【 鯛となすの揚げ出し 】

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茄子の揚げ出しは見掛けた事がある様な気がするけれど、
更に鯛は初めて見るような気がする。
甘みのあるダシ、茄子には茄子の、鯛には鯛の良さがあり、
それが存分に感じられるのが何より嬉しい。
揚げたての茄子って旨いですよネ。
熱くて口の中で飛び跳ねるし、それは苦しいのだけれど、
苦しいと分かっていてもトライしてしまう美味しさ。
鯛も白身魚特有の甘い香がダシの甘い香、
引いては使われる醤油の甘さとも相まって美味しかったです。

【 山形・くどき上手・純米吟醸無濾過しぼりたて 】

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美山錦と小川10号酵母の組み合わせ。
弟が頼んだ山口県「貴」の純米吟醸“山田穂”、
後半からご一緒させてもらったkuniさんの
「青森・豊盃・特別純米“直汲み”」と比べると、
実にバランスが良いのだけれど、
バランスが良すぎて、特徴がなく、
あまりに当たり障り無い感じ。
新酒らしさもなかなか無く、
上手にまとまっていて淡麗中口の雰囲気、
文句の付け所が無い、マイナス点が無いのだけれど、
個性も無いかも。
するすると入って、違和感を覚えない酒。
強い個性のある両者に挟まれると、
すっかり影に隠れてしまいましたが、
料理には無難に合っていました。

後半から、
「92の扉」のkuniさんがお見えになり、
この偶然性には驚くばかり、また嬉しいものです。

【 豚天・ねぎポン酢がけ 】

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天ぷら…なのだけれど、
この重さのない感覚は、アッサリ感は日本酒に良いデス。
豚の味を感じられる適度な塩加減。
普段、このサイズのトンカツを食べられるか…と言うと、
油物、肉物がやや苦手である自分には、
おそらくは限界ギリギリの量。
この“ネギポン酢がけ”…なら食べられそう。
1切れ、2切れとひょいひょい摘んで食べていました。
ネギ、そしてポン酢、大根おろしの効果、
揚げ方、それぞれが良いのでしょう。
濃いトンカツソースで食べるパワフルな食べ方も良いけれど、
こうした胃心地の良い食べ方も実に美味しいです。


2日分の日記を一気にまとめてみましたが、まだまだ!

日本酒造りは今が最盛期!
次々と出て来ます!
美味しいお酒を美味しいままに味わう!
蔵それぞれが醸す新酒の味わい、
旬味を探しては楽しみ、飲んでは味わい!

松本ならば、
「よよぎ」や「風林火山」でも、
きっと新酒を楽しめるはず!

さぁ、旨い酒を飲みましょう!

旨い日本酒を飲みましょう!!

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コメント

 十兵衛はおいしそうな日本酒が次々と出てきますね。次回の参考にさせていただいているのですが、ウチらは最近ちょっぴり浮気を。。。

 12月20日の晩は、松本の別の店で飲んでいたのです。SOJAさんもkuniさんも十兵衛にいらしたのですね。そうだろうと思ってはいましたが。

 月一程度では、定番のお店ですらも一巡りするのに苦労します。ガネーシャのクリスマス限定ビールも気になるところですが、今シーズンは行けそうにないなぁ。摩幌美も一度足を運びたいんだけど。悩ましいところです。

 ウチらが初めて十兵衛さんを訪れたのが2005年の2月だったと記憶してます。皆さん、似たような時期にあの辺に通いだしたのですね。不思議な気がします。

 では。

投稿: ゴマ@日の出工房 | 2008年12月24日 (水) 18時06分

この12月第1週と3週が十兵衛で、
2週は別のお店だったりしましたよ~。
色んな…そして良いお店が多いですし、
行きたい気持ちはどこに対してもあるので、
なかなか回らないです。
更に来松の機会が限られれば、
より一層募るものも、選択の難しさもあるものだと感じます。
悩ましいけれど、先々楽しみがずっと連なっているのは期待のある飲みの道ですよ!
これからもお互い楽しんでいきましょう!!

ゴマさんご夫婦も同じ頃だったのですね。
縁の不思議、大切さも感じます。
憩の場、ですね。

投稿: SOJA | 2008年12月24日 (水) 22時13分

登場したお酒の中では、かぶったのは豊盃だけでしたが、おいしかったですよ。新酒ならではの荒々しさが良いですね。

コメントを読んでいて、呑めば良かったなぁと思ったのは渡舟。
呑みたくなったのは、花陽浴あらばしりと丈径19BY。

文章にも食欲を湧かせる力が潜みますね。

投稿: YA | 2008年12月24日 (水) 23時07分

ありがとうございますー♪
花陽浴のあらばしりは酒屋さんのPBなのだそうで、
おそらくこの飲み比べ、贅沢なものだったかもデス。
王禄、ここ最近外しがない気がします。
流石の実力蔵と言う感じ。
だからこそ安定して感じていましたが、
この直汲みには驚かされました。
そうしたお酒との出会いがあるのも、素敵ですよネ。

また再びあのカウンターで酒を飲みましょう!
そう思えるし、そう言える場所ですよネ。

投稿: SOJA | 2008年12月25日 (木) 12時20分

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