このセレクトの正しさは、酒の旨さに繋がっている(2008年6月14日・チョウゲン坊)
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歩く先に見える夜空、その透明感。
充実した日に見える景色は、濁らない。
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2007年12月27日のmixiメッセージが残る。
「わびさび」さんからのメッセージ。
「マイミクになりませんか?」と言うもので、
その後、
「チョウゲン坊」と言う居酒屋さんの店長だと知る。
日本酒に明るそうな感じがしたので、
マイミク登録をさせてもらった。
「チョウゲン坊」なる居酒屋さんがどんなものか、
聞き覚えはあったが、想像すら湧かなかった。
出来ればマイミクさんには、
1度お会いしておきたいな…と思っている。
逆を言えば、
お会いした人とマイミクさんになりたいと思っている。
会っていない方からのマイミク申請を、
おこがましくも断ったことが何度かある。
やや構えた感じの文章を僕は返していた。
これはハッキリ覚えている。
2月10日のわびさびさんの日記、
長野の蔵元「勢正宗」の記事をきっかけに、
「たけ9243」さんがマイミクになる。
たけさんが、「92の扉」のkuniさんと同席したお酒の会もあり、
何だか色々繋がっていく事に驚きがある。
酒の縁は偉大だと思うし、そして楽しい。
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「チョウゲン坊」は埼玉県蕨市、その駅前にある。
東京時代、
北戸田に住んでいたことがあり、
蕨の友人の家まで自転車で向かったこともあった。
これも何かの縁なのだろう。
そもそも「チョウゲン坊」と言う名前、聞き覚えはあった。
山口県の「貴」の蔵元を囲む会が開かれると言うことで、
「貴が好き」のコミュニティ内で案内があった。
ただ、それだけの記憶だった。
今、自分が蕨に降り立って初めて「あの時のお店に行くのか」と思う。
その数年前の音にして覚えた言葉以外、
全く発する事さえなかった名の場所に辿り着いた訳だ。
しかも、今はとてもとても楽しみにしている。
わびさびさんからのメッセージが無ければ、
この場、この時間、この高揚感はけして在り得なかったろう。
もしか、いつか必ず辿り着いたかも知れないが。
わびさびさんのメッセージを受けた時に見えていた選択肢、
マイミク「 承認 」or「 拒否 」
そのセレクトの正しさは今を以って確信に値する。
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新宿、関内、東京駅八重洲地下街から辿る、
6月東京行、その最後。
【 旨い酒Dining チョウゲン坊 】
駅前にホテルを取ったが、駅の対岸。
もう1度、駅の改札まで上り降りた。
調べてきた地図には駅前直ぐとある。
どこだろうかと階段を下りて行くその中で、直ぐに見つかった。
駅前徒歩1分と言った所。
「ここかぁ、ここなんだぁ!」と思い、
いろいろ写真に収める。
ここ最近、ラーメン屋さんの店構えすら、
どこか面倒くさくて撮影しなくなっているのに、
何枚も……
道行く人達に稀有な視線を浴びせられながらも撮った。
自動ドアの向こうには壁、右手、階下に伸びる階段がある。
その先に見えた光景は日本酒の瓶。
見慣れた瓶から見慣れない瓶までも。
日本酒を求めてここにたどり着く、それを実感する。
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中央の円卓上の席に案内される。
背中には宴会が開かれるだろう、広い座敷席。
目の前には半個室…と言うか、
4人卓で区切られたテーブルの空間がある。
目に見える誰か…
性別も、きっと目的もバラバラで、旨い酒に興じている…と思われる。
「 やっべー、落ち着かねー 」
…と、当然に思っていた。
初めてのお店ってだいたいそうだよネ。
居場所と言うか空気感が分からない。
だので、じっと眺めている。
“賑わっている”感覚だった。
店員さんも上を向いて前を向いて、
走ることなく、
何かに急かされる事無く急いでいる。
「次に何をやろう」と考えている目線。
いろんな人が居て、いろんな楽しみがあり、
このフロアにいるのだな…と、楽しんでいるんだなと、
今も、あの時も思っている。
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店長さんであるわびさびさんと
「はじめまして」の挨拶を交わし、
まずは一献、注いでもらった“わびさびセレクト酒”…
グラスも洒落ている。
【 秋田・まんさくの花・純米吟醸“限定原酒おりがらみ” 】
まんさくの花、
まず、香から―――…と鼻先を近づけて驚く。
ソーダ的な芳しさ、「日本酒か!?」とメモは残る。
この爽やかさは日本酒の可能性の広さを思わせる、
素晴らしい風だと思った。
すごく良い意味で、化粧品っぽい。
スペシャルな香。
歩き過ぎ去る女性のまとう風のイメージ。
これまでの「まんさくの花」のイメージを壊してくれる。
今までも良いけれど、これからも良い。
その嬉しさ。
口中にて膨らませると米味が、
あり>なし>ありと転変して行く。最後には“あり”で。
気付く、という当たり方。
温度が上がってもまったくブレない。
これもまたすごい。良いお酒だっ。
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【 日本酒リスト 】
「洋酒店 醇」にも似た、お酒のリスト…
種類の豊富さ、見事なものです。
しかも、全国のお酒がそれぞれ散りばめられていて、
「風林火山」で観光客さんの頼み方などに出会っている自分、
現在、小旅行真っ只中の自分からして、
地元のお酒、その名前を見かけるのは嬉しい。
人によっては、青春時代住んでいた土地かも知れない。
何か思い出に引っ掛かる土地、そして酒。
そうしたものに出会える可能性があるのだろう。
更に、メニュウには載っていない、
“わびさびセレクト”もある様子なので、
きっとお店に遊びに行ったなら、
何か「今“これ飲んで”ってお酒ありますか?」と聞くと、
笑顔の素敵な店長が、
ほいほいっと何かを持ち出して来てくれると思います。
そしてそれが美味しいかどうかは、
そのセレクトが正しいかどうかは、飲んでみて知る感じで。
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【 クリームチーズ酒盗 】

どれを頼めば良いか分からないので、
まずは手始め…と言った感じでお願いしました。
あっと言う間に「まんさくの花」がなくなり、
次なるお酒をお願いしたところ、
届けられたのはこちら。
【 茨城・来福・純米吟醸生“夏の酒” 】
「まんさくの花」の後に口にする今、
その前者のイメージを思い描いたまま香に近付くと、
「わっ」と開く香にビックリさせられた。
セメダイン、カルダモン、スパイス、
ほのかに甘味が乗る香。
飲んでみると、その体、思いの外に厚い!……
束の間、その前半が通り過ぎた先に、
すり抜けて行く味わいへと…
上手なキレへ導くライトな抜き加減、去り際!
あえて酒のごつさを抜いてみせたみたいな…上々のバランス。
これもすごく良いお酒。渋みも一切残らない。
清涼飲料水と並べても勝てるんじゃないかって爽やかさと、
酒としてのハイバランスぶりは、
流石は「来福の酒」と思わせる。
この調律は半端じゃない!………
…強いて言うなら、「来福」らしくないかな、とも思う。
“いつものお酒”ではなく、
夏のスペシャルバージョン…
だからこそ、お酒の楽しさ、感じますね。
去年は甘さが追い掛ける、加水が余韻とメモにはあるけれど、
現在は、水の流れるイメージ、夏の酒。
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【 チョウゲン坊サラダ 】
ボリュームがあり、お刺身まで乗った上で、
かなりお値打ち値段だったはず。
店名が入ることで、
それだけの自信があるメニュウであり、
その自信を受けるだけのクオリティが食べて感じられました。
お野菜がいっぱいであることも嬉しく、
外食、外飲み…その贅沢さを味わえる、
それはとても大切なことで。
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【 群馬・浅間山・特別純米“若水” 】
…香に思う。
それぞれ似た系統の…爽やかな香がする、と。
暑くなり始めた、この季節に良いな…と思える感覚。
その香に包まれている。
飲んでみて、お酒の感想よりも先に、
出て来るお酒がだんだんと、
厚味と味、コクを出したチョイスになっている気がした。
「浅間山」…芳しく、キレを持たせている印象。
含んだ時の味としての
平面的な広がりがまさに食中…と言うより、
飲みの中盤に心地良く飲める酒だと思う。
重すぎず、しかし、物足りなさがなくて。
香は花酵母で感じやすいものかも。
比較的、「若水」と言うお米を使ったものには、
苦手な仕上がりになるお酒に当たり易いのだけれど、
この「浅間山」には、その雰囲気を感じない。
飲み込むとやや渋いかも。
また甘さとコクが、やや塩気への反応を鈍くさせるかも。
その分、違う楽しさを提供してくれると思う。
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【 海老しんじょ揚げ 】

続くお酒に合わせて。
【 佐賀・天吹・純米吟醸“ちょい辛口”生 】
香を嗅ぎ、そして思うは「熟れ」の気配。
クリーニング後の衣類、その洗剤の香の立ち。
ややウェットな面立ち。
飲んでみると、なおのこと熟成感が立つ。
コクも強いし、甘味、
ズドンとパワフルな重さも持ち合わせている。
これは料理がないと疲れてしまうかも。
いや待て、卓上には料理が並んでいるではないか。
これと楽しめと言う酒なのだと思う。
まさに花酵母っぽい印象で、
香による重厚感が、やや苦手か。
そのまま飲み進めて行くと、
空気、温度、アテであるしんじょの油か?
生熟の“らしさ”は相変わらずだけれど、
味にキラキラとした片鱗が見えた気がした。
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【 エリンギと銀杏の酒炒り 】
“もう少し”の感覚を埋める、つまみやすい酒肴を。
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最後に出してもらったのはこのお酒。
【 埼玉・九重桜・純米古酒10年原酒 】

カラーコピーラベル。
美山錦らしい。
蔵元に遊びに行ったわびさびさんが持ち帰ったもの。
秘蔵酒と言えばそうなのだけれど、
むしろ、蔵に忘れ去られた宝物…と言う感じがする。
蔵元さんも「たぶん美山錦…」と言うシロモノ。
香、意外に若い。
すごく綺麗に年を取った品のある香を思う。
例えば、大吟醸古酒あたりにありそうな香。
美しい。
飲んでみて、常温での提供に喜びながら、
やはり美しさを思う。
庭園大輪の桜と言うよりも山息吹く世界の桜の雰囲気。
きっと、キリキリと冷やしてしまっては、
栗の花の様な苦手な香が出て来そうだ…とも思う。
モルト的な刺激も感じられ、そう若さがあるんだ。
酒の体力、まだしっかり生きている。
全体の輪郭がかなりハッキリしていて、
熟成された経年味とごく味の友好がある。
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この後、
閉店後の店内にお邪魔させてもらいました。
お土産となるこのウィスキーを飲みながら、語らう。
この時、スタッフの皆さんの夕食にお邪魔する形で
申し訳なくも思いながら、
だからこそ、スタッフさんから愛されている
店長わびさびさんを見たと思います。
和気藹々、わびさびさんを中心に和やかに。
会社とか一個体としての統率、その充実。
だからこそ提供できる楽しい時間。
“すごいなぁ”と思いました。

直前のリカーズハセガワで購入したもの。
「GLENDORONACH」の2世代前のラベルです。
現行のグレンドロナックよりも気に入った印象が残っているのは、
そのお酒が美味しかったこともあるかも知れませんが、
楽しめる空間、そして人を前にして
飲んでいたからに違いないでしょう。
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夜遅くまでお話させていただき、気分良くホテルへ戻ろうとします。
すると、
夜間、蕨駅の改札付近が閉鎖され、駅の向こうに戻れず。
ここで、
わびさびさんの案内が無ければ駅の向こう側に辿り着けませんでした。
対岸にある“生酒の名店”も気になりますし、
また東京において、足を運びたいお店が増えました。
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お酒も人も店すらも「選べる」時代にある中で、
出会うことは、
運命などに選ばれたことなのか、自分で選んだものなのか。
どの考え方に基準を置くか、
そうして心のあり方は変わっていくのだと思う。
このセレクトが正しいと思う夜、
満ち足りた夜、
心地好い東京の夜空を見上げていた僕を思い出す。
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