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2008年5月 6日 (火)

酒の結ぶ縁は偉大だっ!


昨晩の写真。

1

店に誰かが入って来たのを背中が感じた。
明るい声で大将に声を掛けると、大将の顔もパッと輝く。
「誰だろう?」と思う。
大将はカウンターから出て来てハグ。
あまりのフレンドリーさに答えが出ない。

Huubさん(フープと皆は呼んでいた)はオランダ人で、
音楽の先生。
1年から1年半の間隔で日本にやって来るのだそうだ。
松本で音楽のイベントがあったらしい。

今をさかのぼる事…
あぁ、どれぐらい前なのだろう。
奥さんがお店に立っていた頃だから、
少なくとも僕が「ぷるーくぼーげん」に通い始める前だったんだろうな。

教師として日本で暮らしていたのだそうだ。
「ながた鮨」の隣のアパートだったのだとか。
その時に「ぷるーくぼーげん」に来て、
大将曰く「友人」と呼べる仲になったらしい。
2年ぶりに「ぷるーくぼーげん」に立ち寄ったフープさん。
今は「よよぎ」が定着しつつあるけれど、
やはり「ぷるーく」と言う呼び方をする。
それが何とも僕も含めて時代を感じさせてくれる。

フープさんがやって来た当初、
店は混んでいて、
隣同士に座ることになった。
袖振り合うも多生の縁。
何気に話をすることになる。

ふたりですっかり酔っ払って写真を撮ってもらった。

「 奥さん、ちょっとコンビニ行って来ます! 」

そのまま僕は近くのセブンイレブンに走り、
デジカメプリントをして、
大将のおとぼけた顔の写真と、この写真を贈った。

本当に嬉しそうにしていたフープさんの笑顔が忘れられない。

一緒に「獺祭」を飲んだ。
何故「オッターフェスト」なんだろうね…と言う話をして、
上手く答えられなかった。
「貴」を飲んだ。
これは1杯分しかなくて、
僕がもらい、回し飲みの要領で飲んでもらった。
海外がどうか知らないけれど、
素晴らしき日本の呑んだくれ文化だと思う。
「貴」の名前のおおよその由来は知っている。
ラベルにも「杜氏名」で書いてある。

「 貴ってどう言う漢字ですか 」

そう言われて言葉に詰まる。
「貴い」ってなんて言ったら良い?
帰宅後調べてみると、
honorableとかPreciousと出る。
「Proud」みたいな意味…としか言えなかった。

名前ってすごく大事だ。

味わいの表現についても、
モルトの表現であったり、
フィリップ・ハーパーさんの本をざっと読んだだけしか、
海外的な言い回しが分からなくて、探ったりする。

でも、そうした事はあったんだけれど、
この笑顔だもの。
僕はすっごく楽しく飲んだ。
日本酒の楽しさって縁なんだって心の底から感じた。

ちょうど滋賀県「七本鎗」の蔵元ブログに、
「世界酒!?」と言うタイトルの日記が公開された。

こうして日本に数年住んだ方だとは言え、
海外の方が僕とほとんど同じ感覚、時間を共有して、
日本酒を美味しいと思ってくれる。
更に金曜日、土曜日のこと、
外国の方が「よよぎ」にはお見えになって、
1日目は通訳の方が居たそうだが、
2日目は外国の方だけで再訪されたのだそうで、
お互いに言葉は通じなかったけれど、
でも日本酒を飲んで行った…のだと思う。
日本酒のお店に2日、来ていたら飲んでいるはずだと思いたい。
そして2日、続けて来てくれているのだから、
気に入ってくれたんだと思いたい。

日本酒の海外輸出が増えている…と言う話は、
去年には報じられている。
そう言えば「七本鎗」の蔵見学に赴いた数年前も、
以下のようなラベルを見せてもらった。

2

七本鎗の蔵元ブログのタイトルは、

「日本の国酒を世界の酒に ~日本酒ってこんなにおもしろい~」

…である。
今回のブログ記事の中に、
「日本酒を日本酒のまま、世界酒へ」
…ともある。

世界的に米で醸造したアルコール飲料が蔓延する事が狙いなんじゃない。
例えば、敬愛するスコッチウィスキーは、
きっとスコットランド国民の誇りと願いが込められている。
僕らがスコットランドの方に出会い、
「美味しい!」と言えば、すごく誇らしい気持ちになるだろう。
気持ちを伝えた僕らも嬉しい。
これが「和」なのだと今を以って思う。

昨日の僕は2人で…いや、大将も含めて3人で飲んだ。
日本酒を飲み、
大将の採って来た山菜を食べ、
再び日本酒を飲み、蕎麦をすする。
僕はいつもと同じ、いつもより旨い酒を飲んだ。
美味しいと言ってくれるフープさんを、嬉しく思った。
日本酒が「世界に通用するじゃん!」って野心めいた気持ちではなく、

「やっぱり日本酒って美味しいんだよ!面白いんだよ!」って、

それがすごく…
叫びたいほどに、
心の殻を破って爆発しそうなくらい――

…うん、すごく嬉しかったんだ。

先日、中野市の“岩清水”の蔵元と話す機会があった。
小古井さんは言う。

「 酒を造ることは、日本の文化の一端を担っていると思う 」

酒造り、日本酒を飲むこと、楽しむこと、
それそのものが文化だ。日本の文化。
きっと「七本鎗」の蔵元さんも、
そうした気持ち、あると思う。
生活であり文化であるから、心から伝えたい。
生まれる和の喜びを、その存在を伝えたい。
僕は、酒造りを芸術だと書いた時もあった。
だけれど、それ以上に「文化」なんだと思う。

蔵元さんはみんなそうした気持ちを抱いているのだろう。
クリエイターには違いなかろう。
だけれど、
「製造者」ではなく「創造者」により近い。
ただその「創造」は、
ゼロからの「誕生」ではなく、
常に蔵元さんが時代を引き継ぎ、
時代を形作って行く…あぁ「想造」が合うのかなぁ。

文化、人を“想い”、酒を“造る”…それが仕事だと感じた。
素敵な仕事だと思う。

「 日本酒って素敵だな! 」

「 酒が結ぶ、繋ぐ縁は偉大だな! 」

…ってすごく思う今日の日。

ここにこの言葉を残せることも、僕は幸せだと思う。



ブログ上であまり顔写真って載せないものだと思うけれど、

何より、

昨晩の思い出を隠してしまうこと、
モザイクでぼかしてしまうことだけは、けしてしたくなかった。

公明正大に僕らは日本酒を楽しんだ!
酔っ払った!
素晴らしい時間だった!!

あぁ、日本酒は素晴らしい!!

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