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2008年5月15日 (木)

ティラミスに見る美味しい方程式(2008年4月19日・厨十兵衛)


作り手が美味しいものが好きである。

甘いものが好きである。

辛いものが好きである。

酒が大好きである。

生み出される料理は、美味しいものなのである。


【 厨十兵衛 】

翌日の多摩独酌会を控え、
早い時間から厨十兵衛で飲み始めました。
先日、13日の「春の宴」でご一緒させて頂いたご近所さんと共に。
いつもの土曜日よりも早い時間、
店内は混んでいて、
「予約しておきますね」のご近所さんの機転がなければ、
もしかすると入れなかったかも。

飲みの途中でどなたかと合流する事が多いのですが、
最初から一緒に飲む…と言うのは久し振りです。
こうした飲みは、
“飲み比べができる”…これが最大の利点。
楽しいものですネ。

【 秋鹿、隆 】

1

先ず一杯は、
大阪・秋鹿・純米吟醸“大辛口”無濾過生原酒、
ご近所さんへのオススメとして、
神奈川・隆(丹沢山)・純米吟醸生原酒“阿波山田錦55%”…を。

今、「厨十兵衛」メニュウ…
「これだったら誰が飲んでも、
 何かしらの高評価を得られるのだろうなぁ」と思って眺めているのは、
この神奈川の「隆(丹沢山)」と栃木の「姿(杉並木)」…
もちろん、他にもいっぱいあるのだけれど、
彼らは単純に僕が好きなだけ。

秋鹿、好きになりそうです。
ここ最近、厨十兵衛で飲む「秋鹿」は2本ともヒット…
ライナー性の素敵な当たりデス。
「大辛口」と言うほど辛味は感じませんが、
確かに辛く、スッカーン!と抜ける様な心地好さがあります。
それが香由来の甘さを伴う爽やかさではなく、
酒としてアルコールとして飲み口としての抜けの良さだから、
「あぁ、酒が旨い!」と言う感覚。
「フルーティ」にしても「ジューシィ」にしても、
それは芳しさゆえに「果実様」で、
「果実に対する何か」の表現だけれど、
こうして「米」の旨味を舌に届け、
酒が酒らしく旨い、その何とも言えぬ心地好さは、
「秋鹿」らしさ…なのかも。

良いです。

【 カワハギの肝和え 】

2_2

山葵で食べるお刺身も美味しいけれど、
せっかくカワハギの肝が美味しい時期ですから、
こうして食べるのも一興。

肝の味わいは深く、
対比するような一振りのポン酢は爽やか。
それだけで食べてももちろん美味しいけれど、
お酒が美味しく感じます!

秋鹿の辛味が肝の味を洗う様、
肝のぬくもりに似て染みる旨さを
辛味がじんわり、追い駆けて染め抜く感覚。
隆はポン酢との組み合わせが良いですね。
香の中から香が生まれる感じ。

【 七田、豊盃 】

3

佐賀・七田・純米吟醸無濾過生酒・山田錦×佐賀の華、
ご近所さんへのオススメとして、
青森・豊盃・特別純米生直汲み…を。

今年の「七田」を飲んだ事が無かったなぁ…と自分。
そして、しっかり旨味あり香ありバランス良し…
特に印象の良い今年…「豊盃」を。

「七田」…例えて、レーズンバター。
日本酒に似つかわしくない言葉ですが、
これが当てはまります。
次点で「ワイン様」…そうした香味。
度々、「これは白ワインっぽいねぇ」と言われるお酒に出会いますが、
ここまで白、レーズンを想像させるお酒は初めて。
ワインの様な酸味は無く、甘みも無く、
バターほどにこってりとは仕上がらずに、
あっさりとした酒質、
日本酒らしいライトボディ。
香味成分「酢酸イソアミル」「カプロン酸エチル」を、
ストレートに想像させる雰囲気ではなく、
(つまり、バナナやリンゴを思わせる香ではなく)
それのどれにも当てはまらない個性。
「クリームチーズの白和え」の香には、
たいへん好ましく合いました。
「ミルキー」ではない所が、
何よりも良いのだろうと思います。

「豊盃」はやはり旨い。
旨いからこそ2杯目以降、酒に口慣れてきた頃、
口に含み、香を楽しみ、
喉越しに透き通る圧力を、飲み応えを感じて、
更に次へと進む…進ませる、力のあるお酒ですね。

【 筍煮 】

4

春いっぱいの器を。
筍、アスパラ、焼き粟麩…ダシは最低限の香、
だからこそ春の香が移っている。

【 鳥取・鷹勇・純米吟醸なかだれ生 】

5

久し振りに飲んでみたかった「鷹勇」を。
やはり米味の出方、旨味のあり方…
力強く引き寄せられる様に見えて、
実は引く手の力は強過ぎない…そんな感覚。
「 おっ、強い酒か 」
そう思わせるけれど、
飲んでみると存外舌に合わせて来る。
食中酒的な雰囲気があり、
強い香などがなく滋味深さがほんのりと。
まだ、少し酒が緊張している感じ。
熟成が更に進むと、
もっとほぐれてくるのかなぁ…とも。
この緊張感に合う場合もあるだろうし、
ほぐれてからの美味しさに合う場合もあるだろうし。
熟成を踏まえたレンジの広さが、
「鷹勇」の特徴やも知れません。
お酒によっては、
熟成してから発売するものもあるそうですしネ。

【 上喜元、ばくれん 】

6

山形・上喜元・純米吟醸“五百万石”、
ご近所さんへのオススメとして、
山形・ばくれん・吟醸生“亀の尾”…を。

同じ山形であるのは偶然だけれど、
店主Idさん推薦のお酒で、納得の旨さだった「ばくれん」と、
先週に頂いて、出来の良さに喜んだ「上喜元」で、
この日の飲みを締めようじゃないですか。
そんな流れ。
「確かに美味しいと思えるお酒」を選んだ感じ。

蔵の個性、酒の個性が感じ取れます。
上喜元の旨味ある優しさ、
ばくれんの「超辛口+20」であっても、
辛味は程好く、
香味良くバランスを整えてキレる全体の捉え方、
趣向は違うけれど、
共に良い酒である!…そう話にオチが着く見事さ。

【 甘味・ティラミス 】

7

気持ち良く酔っ払ったあとに甘味を。
店主Idさん自身がティラミスが好きで、
試行錯誤と研究の末に行き着いたもの。

贔屓目ナシに美味しいです。驚きました。

クリームチーズの白和え、
厨十兵衛的オムライス…
それぞれに言える事なのだけれど、
洋のメニュウだけれど和のテイスト、和の心――…
フランス料理は限界まで塩を入れて旨味を出す、
日本料理は限界まで塩を入れないで味を出す…とするならば、
このティラミスも厨十兵衛的和のスィーツ。

プリンにしてもケーキにしてもチーズケーキにしても、
世間は「濃厚」を求める傾向にありますが、
何たるこのバランス良さ、ほぐれていく口解け、
ココアの香、洋酒の香、濃過ぎない甘さは、
日本酒をたっぷり楽しんだ後に、心地好いです。
美味しい!
美味しいけれど、もっと正しく表現するならば、
そう「心地好い」が正解!

コーヒーリキュールを使っているそうなのですが、
ラムやブランデーよりもなお糖分が混ざっていて、
度数の低いものだからこそ、
( ↑ Alc.20% )
「香付け」程度の使い方であるラムやブランデーと違い、
「味付け、重み付け」の意味すら、
そこにあるような…
いやはや、
大満足の「ごちそうさまでした!」の声、言えますヨ。

楽しいってすごい。

楽しいは美味しい、この方程式もまた幸せな感覚。

この頃はまだ少しだけ肌寒い松本の夜空、

ふらり歩いて帰りました。

美味しさが届けてくれた楽しさに感謝です。

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